MVNOとサービスの連携で見えてくるネットの公平性の変化

モバイル事情の疑問にケータイジャーナリスト石野純也が答える「ただしいMOBILE市場の歩き方」。モバイル市場は技術革新が速く、技術も高度で複雑な用語も次々と生まれる。本企画ではそれらの用語や市場背景から、最旬のモバイル事情について“ただしく”解説する。

低価格競争の次にくるサービス連携の仕組み

大手キャリアから回線を借り受け、「格安SIM」とも呼ばれるMVNOだが、料金プランでの差別化はもはや限界を迎えている。データ通信だけなら、各社の設定価格は3GBで900円となり、すでに十分すぎるほど、価格は下がったからだ。そんな中、新たな一手として注目を集めているのが、自社が持つサービスとの連携。大手キャリアでは難しかった、通信とコンテンツ、サービ
スを紐付けた動きも見られる。

トレンドとなっているのが、自社で展開するコンテンツを、ユーザーが利用した際のデータ通信を通信量としてカウントしない仕組みだ。ここに先手を打ってきたのは、KDDIグループでケーブルテレビ事を行なうジュピターテレコムの「J:COM MOBILE」。同社はネット上でも動画配信「J:COMオン
デマンド」を行なっているが、ここへユーザーを誘導する手段として、au回線でMVNOを始めた。

同社は回線だけでなく、端末まで一手に手掛けており、LGから折りたたみ型のテンキー搭載スマホ『Wine Smart』を調達。本体のボタンの1つにJ:COMのキャラクターである「ざっくぅ」を刻印した。このボタンを押せば、J:COMオンデマンドにワンタッチでアクセスできるというわけだ。

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▲折りたたみケータイ風の端末だが、Android OSを搭載するれっきとしたスマホ。Google Playからのダウンロードも可能。「ざっくぅ」ボタンを押すことでJ:COMオンデマンドにアクセスできる。

単にアクセスが可能なだけでなく、動画サービス利用時のデータ通信料は無料。2980円で3GBがパッケージされたプランが用意されているが、J:COMオンデマンドなら、このデータ量を消費することなく、映像を楽しめるJ:COMのユーザーは50代以上のいわゆるシニア世代が多い。そのためスマホの利用率が低かったこともあり、自らMVNOに乗り出したというのが、サービス開始の背景だ。同社が得意な訪問サポートも行なっている。一般的なキャリアとは違い、通信ありきなのではなく、サービスありきで通信料や端末が設計されているのがわかる。

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  • 石野純也

    石野純也

    出版社勤務時代に数々のケータイ関連誌を立ち上げた後、ケータイジャーナリストへ転身。近書は電子書籍「ソーシャルゲームの最新トレンド!」(KADOKAWA)。雑誌版デジモノステーションにて「ただしいMOBILE市場の歩き方」を連載中。

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