怪物電動バイク『zecOO』のデザイナーに直撃「やっぱりAKIRAとかトロンは意識した!?」

アニメからそのまま出てきたかのようなスタイルで、公道走行も可能な『zecOO』はどのような経緯で生まれたのか? デザイナーであり、企画の発起人でもある根津孝太氏に話を聞いてみた。

『AKIRA』の世界観に共感して生まれたバイク

独創的なデザインで、バイクに興味のない人からも注目を集める『zecOO』だが、そもそもどんなコンセプトで生まれたものなのだろうか? そしてデザインの際に“金田のバイク”はイメージの中にあったのだろうか?

「最初にzecOOの元になるCGを描いたのは2005年のことでした。その時は“なんで21世紀になって何年も経つのに電動バイクが走っていないんだろう?”と思い、それなら自分で作ってみようと考えたのがきっかけでしたが、頭の中に“21世紀には電動バイクが走り回っている”というイメージがあったんでしょうね。それは確実に少年時代に見た『AKIRA』だったり、『トロン』といった作品の影響だと思います」と根津氏は語る。
 

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は2005年に描いた『zecOO』の原型となったCG。こちらのほうが“金田のバイク”に近い印象だ。自身の中にもイメージはあったと根津氏は語る。

 
長いホイールベース、そして低い車体といったスタイルも“金田のバイク”と共通するものだが、そこには電動バイクをレイアウトする際の必然性もあったという。電気で動く乗りモノにはバッテリーが付き物だが、重量のあるバッテリーはできるだけホイールの間に、それもできるだけ低い位置に搭載したい。と、なると必然的にロー&ロングなデザインになってくるためだ。

「そういう意味で、金田のバイクは理にかなったスタイルなんだと思います。ちゃんと考えられているというか、必然性があってあの形になっている。ただ、一般的なテレスコピック式のフォークだと、あそこまで角度が寝てしまうと絶対に曲がりませんよね。だから劇中ではドリフトしているのかもしれませんが」

そこで『zecOO』では、前輪をスイングアームで支えるハブステアリング方式を採用。これによって長いホイールベースでもきちんと曲がれるマシンに仕上がっている。また、前後の沈み込みが少ない方式のため、バッテリーの重さが前輪にかかり過ぎてしまうこともない。

「その辺は当初の狙い通りですが、僕1人ではこのバイクは形にできなかった」と根津氏は言葉を続ける。『zecOO』の製作を担当するオートスタッフ末広の中村正樹氏との出会いによって、企画は実現に向けて大きく動き出した。

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「僕がイメージしていたものをちゃんと動く形にしてくれた。展示会に出したいと急いでCADデータを作ったら、3ヶ月でプロトタイプを完成させてしまったのには驚きました」

とはいえ、そこから製品化にはさらに3年の月日を要する。電動バイクの心臓部であるモーターやバッテリーの調達に時間がかかったことが大きな理由だ。
 
「僕も中村さんも、モーターと電池を繋げば動くものだと単純に考えてたんですが、そんな簡単なものではなかった。モーターとコントローラー、インバーターなどは相性もあって、それらをトータルでセッティングしないといけないんです」

その部分を担当したエリック・ウー氏に出会わなければ、マシンは走っていなかったかもしれない。電気自動車を製作する会社のエンジニアを務めていたウー氏の力により、『zecOO』はパワフルでありながら扱いやすい特性に仕上がっている。

「それ以外にも多くの人の協力で、このバイクは世に出ました。それは皆がこのバイクの“夢”に共感してくれたから。すんなり夢やイメージを共有できたのは、やはり『AKIRA』のような作品があったからという要素は大きいと思います」。

znug design 代表
根津孝太さん
トヨタ自動車にて2005年の愛・地球博に出展された『i-unit』のコンセプト開発リーダーなどを務めた後に独立し、znug designを設立。乗りモノ以外にもTHERMOSのケータイマグやAfternoon Teaのランチボックスなども手がける。

根津氏がデザインした乗りモノたち

コンセプトと基本デザインを担当した愛・地球博出展の『i-unit』。

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2008年に製作された3輪バイク(トライク)『Ouroboros』。

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トヨタの3人乗り電気自動車『Camatte(カマッテ)』。

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トヨタがミラノサローネに出展した『Setsuna(セツナ)』。

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超小型モビリティ『rimOnO』は協同創業者で企画やデザインを担当。

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文/増谷茂樹 撮影/松川忍

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公式サイト

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