“移動する”から“住む”へと進化。未来のクルマは家を目指すのか!?

移動手段から趣味のツールへと変化してきたクルマに、再び大きな変革が訪れようとしている。それが“住める空間”への進化。これはまさにクルマのサードウェーブと呼ぶべき変革だ。コンセプトカーやキャンピングカーだけでなく、コンパクトカーにも訪れている世界的なこの波。乗るしかないでしょ!

単なる移動手段ではなく、クルマは空間を買うものに

純粋な移動手段として使うのがクルマのファーストウェーブだったとするなら、本誌デジモノステーションでは、趣味の道具を満載して遊びに使うのをセカンドウェーブ。そしてクルマに住むというスタイルをサードウェーブと呼びたい。「クルマに住む」というと「あんな狭いところに!?」と首を傾げる人もいるかもしれないが、クルマを巡る状況は確実に変わり始めている。例えば「クルマに住む」と聞いても、そこでセダンタイプのクルマを想像する人はもはやいないはず。1990年代後半に始まったミニバンブームを経て、クルマは家族で過ごせる広い空間を持つものという認識が広がっているからだ。

このように、クルマに対する人々の意識や、クルマを取り巻く環境は確実に変化している。ミニバンのブームは一段落したといわれているが、それでも販売台数ランキングの上位に複数の車種が名を連ね、近年は景気停滞の影響もあってか車中泊がブームといわれるまでになった。クルマメーカーもこうした状況を意識してか、コンパクトカーのジャンルでも広い車室を持ち、フルフラットな空間を作れるモデルをラインナップするのが当然のようになっている。

快適な空間をアピールするコンセプトカーも増加中

将来的なクルマのあり方を提案するコンセプトカーに目を向けても、日産は今年10月に電気自動車の『e–NV200』の車内をオフィス化した『e–NV200 WORKSPACe』を発表。これはイギリスのデザインワークショップ「Studio Hardie」とのコラボで生まれたもので、将来的な働き方のスタイルを提案するのが目的だ。

室内には現代の仕事に欠かせないスマホ充電器などのほか、冷蔵庫やコーヒーマシンなどの快適に過ごすための装備も搭載。高い家賃を払って都市部にオフィスを借り、通勤に体力や時間を消費するくらいならクルマをオフィスにしてしまおう! というのが、その提案だ。そこで寝泊まりするわけではないが、これも「クルマに住む」スタイルの1つといえる。

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日産
e-NV200 WORKSPACe
日産とイギリスのデザインワークショップ「Studio Hardie」がコラボして製作した“オール電化モバイルオフィス”がこちら。将来のワーキングスタイルを提案するのが目的で、クルマをオフィス化することで賃料や交通費を抑えられるとしている。何より、こんなオフィスなら働いてみたい!

電気自動車の「e-NV200」をベースにPCやオフィスで使用するOA機器、冷蔵庫やコーヒーマシンも搭載し、車両のリチウムイオンバッテリーから給電する。

電気自動車の『e-NV200』をベースにPCやオフィスで使用するOA機器、冷蔵庫やコーヒーマシンも搭載し、車両のリチウムイオンバッテリーから給電する。

また、毎年人気が拡大しているキャンピングカーショーでは、ホンダが出展した『N–BOX』ベースのキャンピングカー『N–TRUCK』と『N–CAMP』もメーカーの予想を遥かに上回る反響を集めた。「住めるクルマ」に対する興味は、着実に高まっている。

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ホンダ
N-TRUCK & N-CAMP
2013年のキャンピングカーショーに出展されたコンセプトモデル。軽乗用車『N-BOX』の全長を50cmカットしたピックアップトラック『N-TRUCK』と、そこに接続するキャンピングトレーラー『N-CAMP』という組み合わせ。この合体する感じがグッとくる!

軽自動車ベースながら車内は大人2人が寝られるスペースを確保。インテリアは自由なアレンジが可能な設計とされ、住みたくなる空間が広がる。

軽自動車ベースながら車内は大人2人が寝られるスペースを確保。インテリアは自由なアレンジが可能な設計とされ、住みたくなる空間が広がる。

クルマを単なる移動手段と考えると、駐車場代などの維持費もかかり割高に感じるが”移動可能な自分の部屋”と考えれば決して高価な買い物ではないと思えてくる。そんなクルマの新たな付加価値に気付いているのか、自動車メーカーも空間としての価値をアピールするモデルをリリースするようになってきた。

最近発売されたトヨタの『タンク/ルーミー』のキャッチコピーは1LDKをもじった「1LD CAR」。持ち運べる一部屋という部分を強く押し出す販売戦略だ。同じく2016年秋リリースのホンダ『フリード/フリードプラス』も居住空間の広さや多彩なシートアレンジを売りにしている。キャンピングカーに限らず、住めるクルマの裾野はどんどん広がっている。”クルマに住む”というサードウェーブは確実に到来しつつあるのだ。

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トヨタ
タンク/ルーミー
価格:146万3400円~
1000ccクラスのスモールカーだが、大人2人が横になれる空間と、アレンジ次第で自転車2台が積める大きなスペースはまさに「1LD CAR」。

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シートはリクライニングしてリラックス空間を作れるほか、前方に折り畳んで広大な荷室として活用することも可能だ。

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ホンダ
フリード/フリードプラス
価格:188万円~
最大7人が乗れる室内スペースを確保し、シートアレンジ次第でフラットな空間や広いラゲッジスペースを作り出すことが可能。4WDやハイブリッドなど選択肢も豊富に用意している。

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5人乗りの『フリードプラス』はシートを格納し、付属のボードを敷けば大人2人が横になれる「おやすみモード」に変更可能。アレンジの幅広さも魅力だ。

文/増谷茂樹

※『デジモノステーション』2017年2月号より抜粋

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