本誌2010年3月号(2010年1月25日発売)掲載
ウェブ掲載日:2010年2月12日

“求められたのはありきたりの満足ではなく、期待を凌駕する驚嘆”
昨年11月の発売以降、話題が沸騰し市場では入荷待ち状態となるほど好調な『YSP-4100』は、地デジ、Blu-rayの音を余すことなく再現する、7・1chサラウンドとHDオーディオに完全対応。ハード、コンテンツともにHD化が進む中、求められる性能を全てカバーするだけでなく、あらゆる面での進化を強く実感させるフルスペックモデルとなっている。市場で、ここまで高評価を受ける製品コンセプトはどのように産まれたのか?
音イズムを語る

ヤマハ株式会社
AV機器事業部
商品開発部
TV周辺機器グループ
技師 村田守啓
シリーズの初代機『YSP-1』を始め、『YSP-3000』や『YSP-4000』など歴代シリーズの開発に携わる。2年の歳月を費やし、多くの苦難を乗り越えて完成させた『YSP-4100』に対する格段の想いを存分に語る。
フルスペックホームシアターの真実
豊富なHDMI端子で メディアセンターに
HDMI端子を入力4系統、出力1系統装備。レコーダーやプレイヤーはもちろん、ゲーム機、デジタルチューナーなど、さまざまなAV機器をまとめて接続が可能。メディアセンターとしての役割も果たせる多機能も売り。

Blu-rayの 7.1chサラウンドに対応

「YSP」シリーズでは初めて、Blu-rayで採用されている7.1chサラウンド再生が可能に。音のビームを壁面に反射させてサラウンド環境を生み出すのは従来通りだが、7.1chに対応したことでより豊かな音場を構築できる。
iPodやiPhoneをリモコン代わりに もっと快適なオーディオ環境を
iPodやiPhoneを手持ちで操作しながら「YSP」をコントロール。音声データをデジタルロスレス転送して高音質再生するiPod用トランスミッター 『YIT-W10』と、重低音をワイヤレスで再生可能なサブウーファーキット『SWK-W10』を別売で用意。
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便利なユニボリューム機能を搭載
ヤマハの新開発技術、ユニボリューム機能を搭載。番組からCMに切り替わった時に感じる音量差を自動的に補正するほか、番組間やチャンネル間での音量補正も行ない、ボリューム調節の煩わしさから解放された違和感のないスムーズな視聴環境を実現する。


「前モデルYSP-4000の発売後、次のモデルの目玉となる機能を何にするか、まずはそこから始まりました」と開発当初を村田は振り返る。
「お客様がYSPに求められるのは何か?それは常に“最高のモノ”だと考えています。音質はもとより、機能、仕様も含め、全てが高い次元でまとまっていなくてはならない。そうなると、次はともかくHD化は必須。それもビットストリーム、マルチチャンネルリニアPCMにも対応した上で、7・1chの出力も楽しめないとおもしろくないよね、というのがコンセプトでした」
Blu-rayソフトが持つ新世代サウンドソースを最高の状態で鳴らし、7・1chをいかした臨場感豊かなサラウンド再生能力を実現するため、開発陣はかなりの時間を要したという。
「7・1chにすることで、その増えた2ch分の音をどのように組み込ませるか。いろいろと試行錯誤しましたが、YSPシリーズ特有の機能である左右の音のバランスを設置した場所によって補正する機能を応用し、従来の5ビームにファントムの2chが生み出されて、7・1chとなったのです」
5・1chならではの音の回り込みに上下感を加わえることで、より立体的でリアルなサラウンド環境を創出。特に雨や風など自然の音は、まるでその場にいるかのような再現力で驚かされた。音作りの名手・ヤマハの真骨頂である。しかし、『4100』で目を見張るのは音質面だけではない。実際に目にして気が付くのが、その薄さである。
「もう1つ、重要なコンセプトとして挙げられたのはテレビにどうマッチさせるかです。前モデルが発売された2年前と比べてテレビは格段に薄くなっています。このままではYSPの方が厚くなってしまって、テレビよりも前にせり出してしまう。そこで4100はテレビに合わせた薄さにすることになりました。でも、口で言うのは簡単。サイズに制限がかかると、エレクトロニクスが入るスペースがなくなってしまいます。もうここからは根性!(笑)。ウーファーの防磁ユニットを変更して小型化し、基板は横置きしていたものを縦に配置するなど、技術屋の意地をかけて9cmという薄さを実現したんです」
進化はこれだけではない。メディアセンターとして活躍する4系統のHDMI入力端子、番組とCM間の音量差を補正するユニボリューム機能、新たにゲームモードが加わって3カテゴリー11プログラムとなったシネマDSPの搭載。さらにはアナログ映像のアップコンバージョン機能、リネーム機能、FMチューナーなどなど、まさに“フルスペック”の称号にふさわしい機能性だ。
「中でもヤマハ独自のワイヤレス伝送技術“AirWired”は大きな魅力となるはずです。本機の発売に合わせiPodを手元で操作しながら4100でワイヤレス再生ができるトランスミッター YIT-W10と、迫力の重低音を同じくワイヤレスで再生可能にするワイヤレスサブウーファーキット SWK-W10をオプションで用意しました。サラウンド環境を構築するお客様の多くがサブウーファーも購入されますが、それがワイヤレスになることで設置場所の自由度が格段に向上します」
簡単に楽しめる高品位なサラウンドと、あったらいいなを実現した多機能性。ユーザー視点の進化を『4100』は成し遂げた。村田は最後にこう語る。 「お客様からヴァーチャルサラウンドは違和感があるからYSPを選んだという声をいただいたことがあります。YSPでこだわってきたリアルサラウンドを深く理解していただいたご意見で、開発に携わって本当に良かったと思える瞬間でした。これからもそう感じていただけるような、製品作りを続けていきたいと思います」
ユーザーの声に向き合う真摯な姿勢、そこから生まれる時代の一歩先を読む力。これこそが『4100』をさらなる高みへと導いた動力だと言えるだろう。
ヤマハ/YSP-4100
価格:オープン 実勢価格:15万8000円
HDオーディオ、7.1chサラウンド対応のサラウンドシステム。奥行きわずか9cmで、前モデルと比べて約40%も薄くなった。別売の壁掛け用取付金具を使用すれば壁掛け、壁寄せも可能。
7.1ch
HDオーディオ対応
HDMI端子(IN4/OUT1)
SPEC
サイズ:W1030×H212×D90mm 重量:10kg 対応室内サイズ:6~30畳 実用最大出力:120W(2W×40、20W×2) HDMI端子:4(入力)/1(出力) チューナー:FM ユニット:4cmコーン型ビーム用スピーカー×40、11cmコーン型ウーファー×2
YSP-4100×Blu-ray Review
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Reviewer DJ YouKnow
音楽にもこだわるけれど再生機器にもこだわるDJ歴15年の音楽ライター。最近はPCでのDJが流行ってますが、未だに7インチ盤でやってます。
トランスフォーマー/リベンジ
スペシャル・コレクターズ・エディション
発売中
4998円
パラマウント
弾道が確認できるほどの表現力に驚き
正義のオートボットと、邪悪なディセプティコンたちが地球を舞台に壮絶な戦いを繰り広げるマイケル・ベイ監督による続編。とにかく目まぐるしく変化するアクション・シーンは圧倒的であるが、そのすさまじい迫力を、『4100』は倍増させて伝えてくれる。音楽と効果音が互いを消し合うことなく、クリアな高域と下から突き上げられるかのような低域もはっきりと聴きわけられて、スピーディな展開をより強調。下から上の斜め方向に弾が流れていく方向もしっかりと確認できる立体感に驚き。
ターミネーター4
発売中
4980円
ソニー・ピクチャーズ
映画の世界に放り出されるような臨場感
核戦争後の人類と機械軍との戦いを描いたシリーズの真相に迫る第4作目。まずオープニングでの、あの重みのあるメイン・テーマがまるでハンマーで叩かれるようにダイナミックに迫ってきて、作品の世界へと否応なく引きずり込まれていく。ヘリコプターや戦闘機が飛び回るシーンなどの様子や位置感覚が音の面でもしっかりと表現されていて、音がよくまわっていると感じられた。分厚い音の層が視聴空間を覆っていくようで、その場に放り出されたかのような臨場感にドキドキさせられる。
ブレードランナー ファイナル・カット
発売中
4980円
ワーナー・ホーム・ビデオ
雨粒が聴き分けられるリアルな再生力
82年の公開時にはその目を奪われるばかりの近未来描写に衝撃が走った名作のBD版。冒頭でハリソン・フォードがうどんをすするシーンの雨音が実にリアルで、まるで自分のまわりで降っているかのような錯覚に陥ってしまう。ふんわりと音が自然に上下左右に広がっていく感じで、音の大きいシーンでもとげとげしさはなく、セリフも明瞭で単語の1つ1つを認識することができる。おなじみとなったヴァンゲリスによる音楽もより壮大にかつロマンチックに空間を包み込んでいく。
文/油納将志 撮影/松浦文生










