
ペンタックスのコンパクトデジカメ「Optio」シリーズから、新ラインの第一弾となる製品『Optio I-10』が登場した。最大の特長は、超小型軽量スタイルでありながら、まるで一眼レフ機を思わせるようなシンメトリーなデザインを採用したこと。レンズはボディのほぼ中央に配置され、ボディ天面の中央部はペンタプリズムのように盛り上がっている。外装は主に樹脂素材だが、張り革風の表面加工を施すことでクラシックカメラのような雰囲気をかもし出している。
このレトロなデザインを見て、同社が1979年に発売した世界最小の一眼レフ機「オート110」を連想するオールドカメラファンもいるだろう。もちろん実際には『Optio I-10』は一眼レフ機ではなく、コンパクトデジカメである。ペンタプリズムのように見える部分にはストロボやスピーカーが配置され、光学ファインダーや電子ビューファインダーは搭載していない。また、フイルムの巻上げレバーのように見える部分は、ズームレバーとなっている。
基本的な操作系は、これまでの「Optio」シリーズを踏襲する。ボディ背面のMODEボタンを押すと、撮影モードがアイコンとして液晶表示され、シーンの自動認識が働く「オートピクチャーモード」など24種類のモードを選べる。中でも、犬や猫の顔検出AFや、自動撮影などが機能するペットモードは同社では初の試みとして興味深い。
そのほか、ポートレート写真の顔のみを小さく加工する小顔フィルターや、夜景などのハイライト部分にクロス状の光芒を加えるフィルターなどカメラ内での画像編集機能が充実していることも特長だ。デザイン的にも内容的にも、遊び心を刺激してやまない“楽しいカメラ”に仕上がっている。
【基本機能1】
28㎜スタートの光学5倍ズームや
CCDシフト式の手ぶれ補正を搭載
電源を入れるとレンズがせり出し、約1.7秒で起動する。レンズはワイド側28㎜相当、テレ側140㎜相当の光学14倍ズームで、手ぶれ補正にはCCDシフト式を採用。手軽なスナップデジカメとして実用十分の基本性能を備える。
●操作性
外装は主に樹脂製で、高級感には欠けるが、手触りは良好。ホールド性については、レンズ部をボディのほぼ中央に配置しているため、小型軽量ながら両手でも片手でも持ちやすく、安定した構え方ができるだろう。

▲胸ポケットにもすっぽり収まるコンパクトなボディを実現した。撮影時の重量はわずか153gとなる。

▲左肩には、左手の指を支えるための突起がある。カラーバリエーションはホワイトのほか、ブラックが用意される。
●レンズ性能
レンズは沈胴式の光学5倍ズームで、約6.25倍のデジタルズームや最大31.3倍のインテリジェントズームに対応している。インテリジェントズームとは、画素数を下げて擬似的にズームアップ効果を得る機能のこと。


▲テレ側の開放値がF5.9とやや暗いことが惜しいが、焦点距離的には幅広い用途に使いやすいレンズと言えるだろう。写真右を画角の参考にしてほしい。
●液晶モニタ
約23万ドットの2.7型ワイド液晶を搭載。一般的な液晶に比べてやや横に長いワイド画面のため、撮る際に、絞りやシャッター速度などの各種情報をライブビュー画面に重ならないように表示できる。


▲「ぷちフォト」登録機能では、液晶の左上に好きな写真を小さく表示させて、比較しながら撮影できるので便利。
●画質チェック

▲撮像素子には1/2.33型の有効1210万画素CCDを搭載し、A3プリントにも堪える解像感を実現した。写真全体にシャープネスと彩度を高めた画質の傾向で、押すだけのフルオートで簡単に見栄えの良い写真が撮れる。

▲最短撮影距離は、複数設定が可能で、通常モードではワイド端40㎝/テレ端100㎝となり、マクロモードではワイド端10㎝/テレ端20㎝となる。さらにスーパーマクロモードを選ぶと、ズームの中間域で最短8㎝まで近寄れる。
●HD動画
動画は最大で1280×720ピクセル、30fpsのHD記録に対応。ファイル形式はAVIで、音声はモノラル。動画撮影中の手ぶれ補正機構は電子式となる。また、カメラ内で動画を2つに分割したり、動画の1コマを静止画として切り出したり、動画にタイトル画像を加えることもできる。

▲動画撮影中の画面。撮影中にAFや光学ズームは使用できないがデジタルズームは利用できる。
●再生機能
再生メニューでは、リサイズやトリミングのほか、さまざまな画像編集機能を選択できる。例えば、人物の顔を小さくする「小顔フィルター」や、色とコントラストを強調する「トイカメラ」、特定の色以外をモノクロ化する「色抽出」など。いずれも、元画像とは別に新規保存できる。

▲再生モードの状態で十字キーの下を押すと「再生モードパレット」が表示。アイコンと説明文を見ながら多彩な編集機能を選べる。
【基本性能2】
最大32人の顔検出や笑顔検出のほか
登録したペットの顔検出などに新対応
今やコンパクト機の必須機能となった顔検出は、最大32人の同時検出ができ、笑顔の瞬間に自動撮影を行なう「スマイルキャッチ」や、目つぶりを警告する「まばたき検出」にも対応した。さらに新機能として犬や猫の顔検出も搭載している。
●ペット検出
登録した犬や猫の顔を検出して、正面を向いた瞬間に自動的にシャッターを切る「ペット検出」機能を新たに搭載した。登録は最大で3匹までに対応する。

▲事前に正面向きの顔を登録する。すると、その顔を自動で検出できる仕組み。
●スマイルキャッチ
人物が笑顔になった瞬間に自動でシャッターを切る「スマイルキャッチ」機能を搭載。背面にある専用ボタンのワンタッチ操作で、通常の顔認識AFとの切り換えなどができる。

▲スマイルキャッチを設定すると、画面内の人物が笑顔になった瞬間に自動で撮影が行なわれる。
【コラム】
一眼レフ機を思わせるデザイン
ボディ天面の中央は、まるで一眼レフ機のペンタプリズムのように突き出ているが、実際にはプリズムやファインダーは非搭載。代わりにストロボを搭載している。

速写性に優れたカメラケース
アクセサリとして、専用カメラケース『O-CC102』が発売中だ。ストラップ部にメーカーロゴが彫りこまれるなど、高品位な質感を演出している。

【まとめ】
『Optio I-10』は何よりも個性的なデザインが目を引くが、決して見た目だけのカメラではなく、機能面についても手軽なスナップデジカメとしては実用性十分と言っていい。レンズは28㎜スタートの光学5倍ズームで、効果2.5段分のCCDシフト式の手ぶれ補正機構や、最大1280×720ピクセルHD動画に対応。さらに、シーンの自動検出や、顔やペットの検出機能、ダイナミックレンジ拡張などの付加機能も備えている。
画質については、厳密に見れば周辺部で解像感の低下が見られることや、ISO400以上では高感度ノイズが目立つことなど、弱点を指摘することはできる。とは言え、大きな不満というほどではなく、携帯性やデザイン性を重視したモデルとしては納得できる範囲だ。
最近のコンパクトデジカメは似たようなデザインの製品が増え、メーカーごとの個性が乏しくなってきているが、そんな中で『Optio I-10』のレトロなスタイルは際立っている。ファッション感覚で撮影を楽しみたい人や、散歩のお供として気楽に持ち歩けるカメラが欲しい人に、特におすすめしたい。

【SPEC】
サイズ:約W100.5×H65×D28㎜ 重量:約132g 撮像素子:1/2.3型有効1210万画素CCD 液晶モニタ:2.7型ワイド液晶(23万ドット) 光学ズーム:5倍 焦点距離:28~140㎜相当(35㎜フイルム換算値) 手ぶれ補正:CCDシフト式 感度:AUTO/ISO80~6400 記録媒体:SDHC/SDメモリーカード カラバリ:(写真左から)パールホワイト、クラシックブラック
文/永山昌克 撮影/増原秀樹 モデル/染谷実加
カメラレビュー
レトロな“一眼レフ”風デジカメ!ペンタックス『Optio I-10』
2010年04月26日 12:06







