
『ニーア ゲシュタルト』
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■概要
主役は44歳のニーア 『ゲシュタルト』は父と娘の物語
不治の病「黒文病」を患った肉親のため、男は旅に出る……。
PS3用ソフト『ニーア レプリカント』とXbox 360用ソフト『ニーア ゲシュタルト』は、世界観やシステムを共有しつつ、異なる主人公で物語が描かれるパラレルストーリーだ。
PS3用ソフトのレビューに続き、今回はXbox 360用ソフト『ニーア ゲシュタルト』のプレイレポートをお届けしよう。


■ストーリー、システム
設定、音声以外は『レプリカント』と同様。 Xbox 360に新風を巻き起こすRPG
体に黒い文様が浮かび上がり、徐々に衰弱していく奇病「黒文病」。病に冒された娘のヨナを救うため、父親は治療法を求めて各地を旅することに。
Xbox 360用ソフト『ニーア ゲシュタルト』の主人公ニーアは、ヨナという娘を持つ壮年の男。PS3用ソフト『ニーア レプリカント』のニーアは線の細い21歳の青年だったが、こちらは44歳のたくましい男性だ。
この2タイトルは、世界観やストーリー、ゲームシステムを共有している。
主な相違点を挙げるなら、
・PS3版は兄と妹の物語、Xbox 360版は父と娘の物語
・年齢の違いに伴う主人公のルックス
・PS3版は日本語音声(+日本語字幕)、Xbox 360版は英語音声+日本語字幕の3点。
主人公の年齢は違うが、PS3版のニーアが成長するとXbox 360版のニーアになるというわけではなく、パラレルストーリーのような位置付けになっている。
あ、あと、PS3版だとピー音が入りまくっていたカイネのセリフは、Xbox 360版では英語音声のせいか規制なし。「ONLINEデジモノステーション」アダルトチャンネルじゃないと書けないセリフ、言いまくりですよ。そもそもタイトル画面のムービーからして罵詈雑言の嵐。年のいったニーアはもちろん、ヨナの声も落ち着いたトーンなので、アニメ寄りのPS3版ボイスに比べて洋画テイストなのも特徴と言える。
今回、両方をプレイして比較してみたが、難易度や操作感もクエストの内容もほぼ同じ。父ニーアのほうが力持ちっぽいけれど、持てる武器も同じだしプレイした印象は大きく変わらない。
個人的にはPS3版をクリアしてゲームの腕が上がったのか、今回は難易度「NORMAL」でもプレイを進められたのがうれしかったのですが、まあ、どうでもいいですよね……。
細かい相違点では、舞台となる年代が違う点が気になるところ。PS3版のプロローグは2053年夏に始まり、その1412年後から本編がスタートする。一方のXbox 360版のプロローグは、2049年夏。本編は1312年後のスタートだった。
最後までプレイしても年代が違う意味は語られないものの、物語の根幹にかかわる「計画」が関わっているのかなー……などと妄想をめぐらせてみたり。ストーリーは同じなので、どちらか片方をプレイするのみでも良いけれど、どっぷりハマった人なら両者の違いを体験して謎を考察するのも楽しいかも。
また、主人公の立場が違うため、ヨナに対する接し方も少々異なる。シスコン全開だったPS3版のニーアと比べ、Xbox 360版のニーアはまっとうな(?)「お父さん」。特に面白かったのは、ヨナが男の子と文通していると知った時の両者の反応。父親のニーアも、兄のニーアも「まだ幼いヨナに男なんて!」とショックを受けることには変わりないけど、白の書との会話に違いアリ。微笑ましさに、思わず頬が緩んでしまった。


▲『ゲシュタルト』のニーアは、いかつくも男らしい44歳。ひとり娘のヨナを心底大切にしており、病床の彼女を救うためならどんなことでもする所存。
……とまあ、相違点をずらずら書きつらねてみたが、やっぱりいちばんの違いは「主人公」。線の細いイケメンより「男は黙って筋肉!」な人、海外ゲームのキャラ造形に慣れた人には、Xbox 360版をおすすめしたい。そもそもこのゲーム、『Xbox 360』としては異質のタイトルに思える。
『Xbox 360』タイトルの主流と言えば、FPS(一人称視点シューティング)やゴリゴリのアクションゲーム(あとギャルゲー)。『ニーア ゲシュタルト』は、そのいずれにも当てはまらないのに『Xbox 360』ユーザーに好まれそうな感触がある。
クエストや武器強化などのやり込み・収集要素は豊富だし、弾幕バリバリのボス戦も手応え十分。RPGでありながら、数周すること前提のシステムもユニークだ。コアなゲームファンも、きっと満足できるであろうずっしりした充足感を与えてくれる。そしてこんなにがっちり遊びこめるのに、ストーリー性も高い。
日頃FPSや海外ゲームに親しんでいる人の中には、ストーリー重視のRPGに引き気味の人もいるだろう。でも予定調和では終わらないシナリオは、「あれ? なんか面白いかも……?」と驚きを感じさせてくれるはず。確かな遊びごたえとストーリー性、どちらも楽しめるので、食わず嫌いの人にこそ手に取ってほしい。
そしてこの作品を機に、今後『Xbox 360』でもストーリー性の高いRPGがもっともっとリリースされてほしいなあと期待してみたりする次第です。


▲ストーリー性の高さもさることながら、クエストやバトルなど遊びごたえ十分。FPSやギャルゲーのイメージが強い『Xbox 360』のタイトルとしては異色だが、ぜひともプレイしてほしい! お願い。
■まとめ
ゴツいニーアも良いけど、やっぱり兄ニーア
2週にわたりPS3版『ニーア レプリカント』を約30時間、Xbox 360版『ニーア ゲシュタルト』を約18時間プレイしたが、いやー、ストーリーは同じとはいえ、どちらもずっぷしハマりました! どちらを購入するか迷っている方は「どっちの主人公に共感できるか」で選ぶべき。ストーリーは同じだけど、自分が「兄」か「父」かによって感情移入度はまったく違います。
個人的には、PS3版『ニーア レプリカント』にハマったクチ。同じスクウェア・エニックスの『ファイナルファンタジー』シリーズをはじめ、若者が主役のRPGに慣れているせいもあるけど、やはりほろ苦いストーリーには若い男(しかもイケメン)がよく似合う。
ままならない人生へのやり場のない怒り、仲間との絆、挫折や葛藤……。描かれるストーリーは、44歳の成熟した男性より、まだグラグラと自分自身が定まっていない21歳の青年にふさわしいように感じられた。
まあ、私自身に兄がいて「父と娘」よりは「兄と妹」の話に共感しやすいのもありますが。気管支が弱い私が夜中にコホコホ咳き込む音を聞き、お兄ちゃんが心配して部屋まで見に来てくれたこととか思い出しちゃいました。
あとは、わが家のテレビは20型のブラウン管なので文字が潰れて読みにくく、英語音声のXbox 360版だと何を言ってるのかわかりにくいという理由もあったりして。……『デジモノステーション』のライターなのに。おかげで最新のテレビを買う決意が固まりましたよ。
結論としては、どちらを選ぶにしても幸福なゲーム体験が待っていることは間違いなし。
今の時代にシリーズ続編じゃない新しいRPGを世に送り出してくれただけで、メーカーには拍手喝采。しかもこんなに熱中させてくれたんだから、もうひざまずいてスタッフひとりひとりと握手したいぐらい。
願わくば、両タイトルをプレイしても残る『ニーア』の謎を解明すべく続編を出してください!

●ハード:Xbox 360
●発売日:発売中(4月22日発売)
●価格:7800円(税込)
●ジャンル:アクションRPG
●メーカー:スクウェア・エニックス
公式サイトURL
http://www.square-enix.co.jp/nier/
権利表記
©2010 SQUARE ENIX Co., Ltd. All Rights Reserved. Developed by cavia Inc.
文/野本由起
ゲームレビュー
ゲームレビュー/ニーア ゲシュタルト
2010年05月07日 23:31







