
■概要
これは悪夢か、現実か――
闇が身体にまといつく、戦慄のサイコスリラー
ベストセラー作家の休暇、それは予期せぬ悪夢の始まりだった。
湖畔の町ブライトフォールズで幕を開ける、サイコスリラー『アラン ウェイク』。
消息を絶った妻、アランを襲う“闇”、じわじわと体を蝕む悪夢……。
夢と現実が交錯する中、アランが体験する不可思議な出来事とは?
ライトを手に“闇”と戦うアクションパートにも注目が集まるが、今回はストーリーと演出にスポットを当てて紹介。
闇に支配された忌まわしい町へ、ようこそ――。
【アラン ウェイクPVロングバージョン】
【アラン ウェイクPVショートバージョン】
■ストーリー
妻の失踪、未来を記した原稿、侵食する闇
静かな田舎町で、小説家を襲った悪夢
アラン・ウェイクは、サスペンス小説で名を馳せるベストセラー作家。しかし2年前からスランプと不眠に悩まされ、新作を執筆できずにいた。
そんなアランを見て、心を痛めていたのが妻のアリスである。
夫を気遣うアリスは、風光明媚な田舎町ブライトフォールズでのバカンスを計画。
「しばらくは仕事を忘れ、ゆっくり過ごすのも悪くない」
そう考えたアランは、アリスとともに湖畔の町へと向かうのだった。
しかし、町について間もなく、アランの身に災厄が降りかかる。
悲鳴とともに消えたアリス、彼女を追って湖に飛び込むアラン。
そして――。
次に気付いた時、彼は大破した車の中にいた。
頭からは血が流れ、意識は朦朧としている。
湖に飛び込んだはずが、なぜ?
愛する妻は、今どこに?
わが身に起きた事態が理解できぬまま、アランは助けを求めて夜の森をさまよいはじめる。
……というのが、悪夢の幕開け。
発端は「妻の失踪」だが、謎はそれだけではない。
書いた覚えのない原稿が各所に落ちており、しかも原稿に書かれたことが次々に現実になっていく。
さらには闇に支配された者たちが、斧やハンマー、チェンソーを手に、アランに襲い掛かる。
ようやく保安官に助けを求めれば、アランたちが借りたキャビンなど存在しないと言われてしまう!
とにかく次から次へと奇妙な事件が降りかかり、ストーリーにぐいぐい引き込まれる。
登場人物も、黒衣の老女、胡散臭い精神科医、アランの狂信的ファンであるウェイトレスなど、どこか不穏な空気を感じさせる。
しかも舞台は、閉鎖的な町。住民全員が顔見知りで、ベストセラー作家のアランがお忍びで町にやってきたことが、その日のうちにラジオで伝えられるのもどことなく不気味だ。
私なら「やだ、この町!」とすたこら逃げ出すところだが、そこは愛妻家のアラン先生。妻を救うために敢然と立ち上がる。
そもそも謎を解かないと、悪夢の町から逃れられないし。
血しぶきは飛び散らない。
ホッケーマスクの殺人鬼も現われない。
だが、奇妙な事件の連鎖、この世界への皮膚感覚的な違和感は、確実にプレイヤーの恐怖心を刺激する。
タールのような闇が身体にまといつく恐怖、自分が正常か異常か判断できなくなる傾いた世界を、ぜひ堪能してほしい。


▲些細な喧嘩から、キャビンを飛び出したアラン。だが、しばらくするとキャビンから妻の悲鳴が……! 穏やかな休暇を過ごすはずだったアランの身に、さまざまな異変が襲い掛かる。
■演出
気分は海外ドラマの主人公
恐怖を煽る演出の数々
ストーリーは6つのエピソードに分かれ、ドラマ感覚で楽しめる。
演出もドラマを意識しており、1エピソードが終わると「ここまでのアラン・ウェイク」というダイジェストムービーまで流れる徹底ぶり。
各エピソードは2、3時間なので、まさに2時間ドラマを1本観た気分だ。
ゲーム本編もドラマ仕立てになっており、アランが何か行動を起こすと「私は○○した」と独白が入るなど、彼の心の声を聞けるのがユニーク。
洋画や海外ドラマで活躍する声優陣が吹き替えを担当し、きっちりローカライズされているのも「いい仕事してますなあ」とうれしくなる。
演出と言えば、恐怖感を増幅させる仕掛けも特筆もの。
作品全体のテーマでもある光と闇のコントラストが、とにかく効いている。
木が鬱蒼と生い茂る森は、数メートル先までしか見えない暗がり。
森の奥でササッと動く黒い影に脅えながら先を急ぎ、前方に眩しい街灯を見つけた時の安堵感と言ったら……!
また、敵が近づくと濃い霧が渦巻き、「来るよ来るよ!」と恐怖を駆り立てるし、斧や鎌など、見るだけで痛そうな武器が月光に照らされて白く光るのも不気味。
音楽は極力排し、下草を踏みしめる音、木立の間を舞う鳥の羽ばたき、アランの荒い息遣いをリアルに再現しているのもポイントだ。
視覚と聴覚はもちろん、緻密に描き込まれたグラフィックにより、湿った土やむせかえるほどの草木の匂いまで感じられ、五感で恐怖を味わうことができる。



▲エピソードが終わるごとにエンディングテーマが流れ、次章に進むとダイジェストムービーも見られる。こうしたドラマ的な演出は心憎い限り。
■まとめ
怖い! なのにやめられない!
続きが気になるサスペンスフルな展開
古来より、人は闇を恐れてきた。
視覚が奪われる恐怖。他者と隔絶される孤立感。濃密な死の気配。
『アラン ウェイク』は、闇への本能的な恐怖を刺激するゲームだ。
のどかな湖畔の町は、夜の帳とともに輪郭を闇に溶かしてゆく。
漆黒の闇は人間の形を取り、アランを襲う。
視界を制限されるがゆえに、すぐ目の前の岩や低木さえも薄気味悪く見える。
先に進むのがためらわれる、そんな恐怖に満ち満ちている。
実際、深夜に一人でプレイしていると自分が闇に飲み込まれるような、平衡感覚を失うような奇妙な気分になることもしばしば。
というか、森ん中暗いし、こっちは銃持ってないのに鎌男が切りかかってくるし、鳥の大群が襲ってくるし、もう涙目ですよ。
あまりに入り込みすぎて、暗いうちに寝るのが怖いから連日朝6時までプレイ。
しかも寝たら寝たで、鳥に頭をつつかれたり、大事な取材に遅刻したりする(アラン関係ないけど)悪夢ばっかり見て散々ですよ!
と、「やだやだ、こんな町」「アリス捨てて帰る!」とぼやきつつ、先が気になって投げ出せないのも『アラン ウェイク』の魅力。
ドラマと言えば昼ドラ(中島丈博脚本作品)と『家政婦は見た!』(DVDボックス持ってます)ぐらいしか観ない私ですが、薄っぺらい印象ながら「なんか海外ドラマっぽい!」とスリリングな展開に興奮。
ほかにも、スティーブン・キングの小説・映画が好きな人にはおすすめ。
冒頭からキングのエピソードが引用されたり、『シャイニング』や『ミザリー』を彷彿させるシーンもあるのでニヤリとできるはず。
また、主人公のアランが、スーパーヒーローや特殊訓練を積んだ軍人ではない「普通のおっさん」なのもリアルな恐怖を駆り立てる。
銃を撃つ以外は、飛ぶ(しかも微妙なジャンプ力で)、走る(しかもすぐ息切れする)ぐらいしかできないのが逆に良い。
次回は、そんなアランが闇にどう立ち向かうのか、バトルシステムを紹介する予定。
懐中電灯片手に戦うアラン先生の次回作にご期待ください!
『アラン ウェイク』

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●ハード:Xbox 360
●発売日:発売中(5月27日発売)
●価格:7140円(通常版)/8190円(リミテッド エディション)
●ジャンル:アクション サイコスリラー
●メーカー:マイクロソフト
公式サイトURL
http://www.xbox.com/ja-JP/games/splash/a/alanwake/
権利表記
©2010 Microsoft Corporation. All Rights Reserved.
文/野本由起
ゲームレビュー
ゲームレビュー/アラン ウェイク【第1回】
2010年06月18日 15:54







