
長財布を思わせるコンパクトなボディに多彩な機能を詰め込み、モバイルPCの新しいスタイルを確立した「VAIO Pシリーズ」が、2010年夏モデルで大幅なモデルチェンジを遂げた。
店頭販売向けの標準仕様モデル『VPCP119KJ』では、卓越したポータビリティはそのままに基本性能やバッテリー駆動時間を向上させたほか、デザインもカジュアル感を強調したものに一新されている。
外装の全面的なリニューアルは、2009年1月に初代モデル(VAIO type P VGN-P70H)が発売されて以来、シリーズを通して今回が初めて。また、加速度センサーを初めとするさまざまなデバイスが新たに搭載され、機能性も一段とアップした。さらに、VAIO初となるPS3との連携機能にも大いに注目したいところだ。
[新デザイン]
従来モデルでは天板にマグネシウム合金を用いたり、鉱石をモチーフとした光沢カラーを施すなど、硬質的な印象だったのに対し、今回は全面樹脂製のボディに鮮烈な蛍光色をあしらって、カジュアルで躍動感あふれるイメージへと一変した。また、加速度センサーや小型タッチパッドの追加によって、自由なスタイルでの使用を可能にしている。

▲外形寸法は従来モデルと全く同じだが、外装の質感やカラーリングががらっと変わり、より親しみの持てる印象に。

店頭モデルでは、オレンジ、ピンク、ホワイトの3色から選べる。

▲天面、底面、キーボード面がひと続きで、あたかも三つ折り財布のようなデザインがユニーク。黒とのツートンカラーが、ボディの薄さをいっそう際立たせている。

▲液晶パネルの両端に小さなタッチパッドと左右ボタンが搭載され、携帯ゲーム機のように両手持ちで使えるようになった。

▲加速度センサーの内蔵により、本体を縦向きにすると画面表示も自動的に90度回転する。縦長のWebなどを閲覧する際に便利だ。

加速度センサーを使って、本体を傾けるだけでWebページの「進む」「戻る」操作ができる。
[多彩な機能]
先述の加速度センサー以外にも、照度センサーや地磁気センサーなど多彩なデバイスを装備していることが今回の大きな特色だ。また、PS3との連携機能もVAIOの他シリーズに先駆けて搭載。PS3をネットワーク経由で遠隔操作する「リモートプレイ」や、本機をPS3のワイヤレスキーボード代わりに使う「リモートキーボード」を利用できるようになった。

▲一番左の○が照度センサー。周囲の光量を検知し、画面の輝度を自動調節する。調節の度合いも適切で、明るすぎたり暗すぎたりすることはない。

周囲が暗い時は自動的に画面の輝度を暗くする。

一方で、周囲が明るいときは自動的に画面の輝度を明るくする。屋外でちょっと使いたい時などに便利な機能だ。

▲PCでは珍しい地磁気センサーも内蔵しており、デジタルコンパスガジェットで現在向いている方角が画面上でわかる。なお、旧モデル(VGN-P72K/W)にあったGPS機能は、今回割愛されている(VAIOオーナーメードモデルではGPS機能の搭載も選択できる)。
▲「VAIO P」からPS3を遠隔操作できる「リモートプレイ」に対応。実際の処理はPS3側で行い、その映像を低解像に変換しながら「VAIO P」にストリーム伝送するというしくみだ。

▲初期設定も簡単で、PS3に表示された8桁の番号を「VAIO P」の「リモートプレイ with PlayStation3」に入力するだけで機器登録が完了する。PSPの場合とは違って、初期設定の際にPS3とUSBケーブルでつなぐ必要もない。
▲「リモートプレイ」で利用できるコンテンツには制限があり、ゲームソフトでは「週刊トロ・ステーション」などごく一部のタイトルに限られる。PS3のHDDに保存されている動画についても、「torne」で録画した地デジ番組やBDデジタルコピーなどは再生できない。

▲「VAIO P」をPS3のBluetoothキーボードとして利用できる「リモートキーボード with PlayStation3」も搭載。PS3のブラウザ使用時には、「VAIO P」のポインティングデバイスでマウスポインターの操作もできる。
[基本性能]
2GBのオンボードメモリや64GBのSSDなどは旧モデル(VGN-P72K/W)と共通だが、CPUがAtom Z520(1.33GHz)からAtom Z530(1.60GHz)にスペックアップしている。
また、バッテリーの容量を増やすと同時に省電力性をさらに向上させたことで、バッテリー駆動時間が4時間から5.5時間へと大幅に延伸した。通信機能については、無線LANやBluetoothのほかに、WiMAXも標準で装備している。

▲バッテリー容量の増加に伴い、駆動時間が最長約5.5時間に延びた。バッテリーパック自体も約6mm程度奥行きを増したが、それでも総重量は619gと、旧モデル(609g)からほとんど変わっていない。

▲ACアダプタは板ガムのパック2個分程度の小型サイズ。これも持ち歩きユーザーにとってはうれしい。

▲FOMA HIGH-SPEED対応の無線WANに代わり、今回はWiMAXモジュールを標準搭載している。なお、VAIOオーナーメードモデルでは、WiMAXと無線WANのダブル搭載も可能になった。
●まとめ
細かいキズや指紋痕が付くのをいとわず、気軽に外へ持ち出せるという点で、今回の新デザインは「VAIO P」の特性に良く合っていると感じる。加速度センサーやタッチパッドの追加で、横持ち、縦持ちのどちらでも心地良く使えるようになったことも魅力だ。
また、今回の目玉機能とも言えるPS3との連携は、初期設定が簡単で、実際の使用感も予想以上に快適だ。
まず「リモートプレイ」については、「VAIO P」の無線LANがIEEE802.11a/b/g/nに対応しているため、IEEE802.11bのみのPSPで接続する場合よりも通信速度に余裕があり、ストリーム映像の安定性が高い。
PS3の「PlayStation Store」を「VAIO P」から遠隔操作することもできるので、例えば新しい体験版が公開されたとき、外出先の「VAIO P」でダウンロードの指示を出しておいて帰宅時にすぐプレイできるようにするなど、さまざまな活用が考えられる。
「リモートキーボード」も、本体サイズが小さいながらもキーボードが打ちやすい「VAIO P」のメリットが存分にいかされている。
性能面については、CPUが強化されているものの、体感速度を飛躍的に高めるには至っていない。64GBのSSDもUltra ATA仕様なので、SATAのSSDを搭載したモバイルノートには読み書き速度で及ばない面もある。
とは言え、1.8インチのHDDを採用していた初代モデルなどに比べればはるかに高速で、起動時間(電源ボタンを押してからWindows 7のデスクトップ画面が現れるまで)も36秒程度とかなり短い。
なお、VAIOオーナーメードモデルでは、現時点でAtom Z番台の最上位グレードとなるAtom Z560(2.13GHz)と、グラフィック性能を向上させた最新チップセットのUS15Xの組み合わせを選択できる。性能最重視なら、これを軸に検討してみたい。
ソニー:http://www.sony.co.jp/
製品URL:http://www.vaio.sony.co.jp/vaio/products/P11/
文/星紀明 写真/星紀明、ANZ
©2010 Sony Computer Entertainment Inc.
PCレビュー
ソニー「VAIO P」レビュー/パソコン
2010年06月09日 20:34







