第1回 押切蓮介(1979年9月19日生まれ)その1

氷河期世代でもあるポスト団塊ジュニア(1975年4月~1980年3月末生まれ)のあの人に、子供として過ごした1986年から1991年頃までの日本が好景気に沸いていたいわゆるバブル時代について、同世代が聞くインタビュー連載。第1回は格ゲーブームの90年代を舞台にしたコミック『ハイスコアガール』を『月刊ビッグガンガン』で連載中の漫画家・押切蓮介さんです。

<プロフィール>

1979年9月19日、東京都生まれ、神奈川県育ち。1997年、『週刊ヤングマガジン』にて『マサシ!!うしろだ!!』でデビュー。以降、ホラーギャグ、ホラー、アクション、ラブコメディなど、さまざまなジャンルの作品を発表。現在、『ゆうやみ特攻隊』(講談社/『月刊少年シリウス』)、『ハイスコアガール』(スクウェア・エニックス/『月刊ビッグガンガン』)、『ツバキ』(講談社/『ネメシス』)、『焔の眼』(双葉社/『漫画アクション』)を連載中。


ー『元祖梅ジャム』とか『チョコバット』とか、押切さんの作品の中によく具体的な駄菓子が出てきますが、駄菓子の描写にはこだわってるんですか?

『チョコバット』よりも、『UFOカステラ』のほうが好きでしたね。

ー僕の地元では『チョコフォーカステラ』って名前でした。

あと、『きなこ棒』っていう、きなこ餅に爪楊枝を刺したものがあったんですが、爪楊枝の先が赤いと当たりでもう1本もらえるんですよ。そんな時に悪知恵が働くのが僕なんですけど、あれって短いやつが絶対に当たりなんです。

ー子供相手だからわからないと思ってるけど甘いですね(笑)。

それで短いやつを食べ続けるのですが、だいたい3個ぐらいで飽きてくる(笑)。それにこれ以上当てたらこの駄菓子店のおばあちゃんが損してしまうと勝手に情けをかけて、最後はあえて長いやつを引く。「俺、大人になったな」って初めて思ったのがこの瞬間(笑)。

ー昔は100円でいかに多くの種類を食べるか考えましたよね。

駄菓子の買い物も遊びの一つでした。身体に悪そうな色の『すもも漬』とかも凍らせて食べてたり、いろいろ工夫したり。後、100円分の駄菓子が買えるチケットが当たる20円のクジをよくやってました。20円で100円分の駄菓子が買えると目を輝かせるんですけど、だいたいハズレなんですよ。使い終わったゴミみたいな切手とか入ってたり。

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ー駄菓子やお菓子と言えば、『ビックリマン』も流行ってましたね。

一応買ってましたけど、途中で50円に値上がったので冷めましたね。たった20円ですが、それまで100円で3つ買えたものが、2つになるのは小学生には痛かった。それに『ビックリマンアイス』とかも出てきて。

ー『ビックリマンアイス』! ありましたね。アイスにシールがへばりついてるやつ。

そう、でもそれが出てきたから希少価値がなくなって。それでもあの緑と黄色のパッケージの雰囲気と存在感といい、いつも売り切れてるのに、それが近所のスーパーマーケットに大量に並んでいたのを見付けた時の高揚感は今でも覚えてますね。一度だけ1箱買ってもらったんですが、もう本当に夢のようでした。

ー小学生の憧れ、オトナ買いですね。

今考えるとたったの1200円なんですけどね。

ー『ビックリマン』って後ろから三番目にヘッドが入っているという都市伝説がなかったですか?

僕のところでは二番目でした。緑よりも黄色のパッケージのほうが当たるとか。ヘッドが当たった時のはしゃっぎぷりはすごかった。数年前に別の雑誌の企画で『ビックリマン』談義をしたことがあるのですが、僕の集め方が変って話題になったんです。最初は番号順にノートにセロテープで貼っていたのですが、飽きたのか途中から、「お化け」とか「樹木」「動物」とか僕なりの勝手なカテゴリー分けがなされてて笑われました。その時に集めてたものは全部ゆずってしまったのですが、今頃後悔してます。

ー『カードダス』は集めてました?

当然ですよ。ゆっくり回すと2枚出てくる時とかあったので慎重に回したり。

ー2枚出し! やってました。

でもあれって裏面から出てくるので、めくらないとキラかどうかわからないという仕組みで。

ー僕は『カードダス』で『SDガンダム』のモビルスーツを覚えましたが、押切さんは何を集めていたんですか?

『ドラゴンボールZ』を集めていたのですが、ある日、親戚にカードダスを作ってる人がいるとわかったんですよ。

ーそれはヤバい!!!

その人から大量のキラをいただいたのですが、あれだけ苦労して獲得したベジータやフリーザも20枚、30枚といくらでもあった。それで友達にも配りまくった結果、うちの小学校でのカードダスの価値観を崩壊させた伝説がある。

ーインフレですね(笑)。

それでみんな飽きちゃった(笑)。そうやって希少価値という概念などを勉強していったわけですよ。

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ー『ミニ四駆』にはハマらなかったですか? 『ホーネットjr.』とか、『サンダーショットJr.』とか。

流行りに乗ろうとして3回ぐらいは買ったんですが、まず作れなかった。

ー不器用なんですか?

いや、プラモデルもそうだったのですが、僕は説明書が全く読めないし、立体的に何かを組み立てる能力が全くないんですよ。地図が読めない女という言葉がありますが僕も同じようなもので、だから車の運転もできない。でも運転できないくせに、運転にはめちゃくちゃうるさいんです。

ー道順とかですか?

そう。タクシーでも一度、信号に引っかかるとずっと引っかかるじゃないですか? もうちょっと効率良く回れるだろって。

ー完全なゲーム脳ですね(笑)。

運転手には迷惑ですが、効率良く物事を進めるという点では漫画家という仕事にいかされてると思ってます。

その2につづく。

インタビュー・文/瀧佐喜登(1977年3月18日生まれ)


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