コンパクトカメラレビュー/タッチパネル搭載の高感度カメラ『IXY 31S』

IXY_31S
キヤノンの人気コンパクト「IXY」の最新作として『IXY 31S』が登場した。昨年発売した『IXY 30S』の後継機にあたり、明るいレンズという特長を受け継ぎながら、ズームの倍率アップと液晶のタッチパネル化、CMOSセンサーの高画素化などを図っている。

レンズには、焦点距離が24~105mm相当の光学4.4倍ズームを搭載。ワイド端の開放値F2.0を維持しつつ、より広い範囲が撮影可能になった。その上、光学式手ぶれ補正の効果は、シャッター速度換算で3段分から4段分へと強化。夕景や薄暗い室内をストロボを使わずに撮影したり、その場の光をいかした雰囲気のある表現に最適と言っていい。

液晶モニタには、タッチパネルに対応した3.2型ワイドTFTを装備する。絞りやシャッター速度の調整のほか、ピント合わせ、画像送り、ズーム再生などを指タッチによる直感操作で行なえる。ライブビュー画面に表示されるアイコンを自由にカスタマイズできる点も便利だ。

ボディは、凹凸の少ない薄型フラットデザインを採用。流線型だった『IXY 30S』に比べると、エッジがやや強くなり、よりシャープな印象になった。気になったのは、フラットな形状を重視しすぎるあまり、ズームレバーが小さくて回しにくいこと。メタル外装については、質感が高く、モノとしての魅力を感じる。


■ 操作性
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▲本体カバーだけでなく、フロントリングやレンズ鏡胴部までが同系色のカラーリングによって統一感を演出。ホールドバランスはまずまず。

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▲アクティブ再生機能を搭載。再生モード時にボディの左右を軽くたたく
ことで、前後の画像へとスピーディに切り替えることができる。

■ タッチパネル
ボディ背面の操作ボタンは再生ボタンのみで、各種の設定は液晶のタッチパネル操作によって行なう。例えば、露出補正はタッチ&ドラッグで、画面表示の切り替えはDISPボタンの長押しでできる。慣れてしまえば、快適な操作が可能だ。

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▲撮りたい被写体にタッチすることで、その部分にピントと露出が最適化される。

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▲ 液晶モニタの左右に表示される機能アイコンは、自分にとって使いやすいように変更できる。

■ 画質チェック
人物
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▲ハイライト部からシャドー部までのトーンを滑らかに再現しつつ、適度にメリハリのある画像に仕上がっている。発色はクリアで、にごりがない。ピントが合った部分はシャープに解像している。

マクロ
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▲マクロモードではズームの広角側で最短3㎝の接写に対応。また、32シーンを自動認識する「こだわりオートモード」選択時でも、広角側で最短3㎝の接写撮影が行なえる。

■ 明るいF2.0レンズ
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最近のコンパクトデジカメでは、明るいレンズの搭載がちょっとした流行だ。この「IXY 31S」の場合は、従来機からワイド化したにもかかわらず、ワイド端の開放値F2.0を維持。24mm対応のコンパクトデジカメとしては、特に明るいレンズと言っていい。
明るいレンズのメリットは、薄暗いシーンでもISO感度をあまり高めることなく、高速シャッターで撮影できること。例えば、下位モデル『IXY 200F』などはワイド側の開放値がF2.8になっているが、それに比べると『IXY 31S』のF2.0は、感度またはシャッター速度に換算して1段分の違いがある。

下の作例は、空にまだ青みが残る日没直後の時間帯に、手持ちで撮影した夜景だ。撮影モードは絞り優先AEを選び、絞り値は開放のF2.0に設定した。感度はISO800まで自動アップし、シャッター速度は1/8秒になった。

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これと同じシーンを、開放値が暗い下位モデルで撮影した場合は、感度がISO1600までアップして高感度ノイズが増えてしまう。あるいは、感度をISO800に固定すれば、その代わりにシャッター速度が1/4秒に低下して、手ブレの危険性が高くなる。つまり、開放値が明るいほど、薄暗いシーンでも高画質で撮影できる、というわけだ。

■まとめ
ユニークな新機能として、人物以外の被写体も自動で検出し、ピントと露出を合わせ続ける「主役フォーカス」を搭載。主要な被写体をカメラが自動で検出でき、例えば鉄道や動物の撮影などにも効果を発揮する。

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動画は、1980×1080ピクセルのフルHD記録に対応。カメラがシーンを自動判別して最適な設定を行なうという「こだわりオート動画」のほか、新機能として、シャッターを押す直前の4秒間を動画記録する「ムービーダイジェスト」を搭載。操作面では、タッチパネル上の動画ボタンによって、録画のスタート/ストップがスムーズに行なえる点が使いやすい。

撮像素子には有効1210万画素の裏面照射型CMOSセンサーを、映像エンジンには「DIGIC 4」をそれぞれ採用。発色はクリアで、解像感は優秀。高感度のノイズも、このクラスの撮像素子としては比較的目立たないように抑えられている。

トータルとしては、人によってタッチパネル操作の好き嫌いは分かれるが、画質やレンズ、撮影機能など、カメラとしての基本部分の出来栄えは良好と言える。また、絞りやシャッター速度の設定ができることは、「IXY」シリーズ中でも上位モデルならではのメリットだ。

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【SPEC】
サイズ:約W100.6×H55.4×D25.0㎜ 重量:約185g 撮像素子:1/2.3型高感度CMOS(裏面照射型) 有効画素数:1210万画素 液晶モニタ:3.2型ワイドTFTカラー液晶(46.1万ドット)/タッチパネル 光学ズーム:4.4倍 焦点距離(35㎜フイルム換算値):24~105㎜相当 手ぶれ補正機構:光学式 動画:フルHD(MOV) 記録媒体:SDXC/SDHC/SDメモリーカード ボディカラー:(写真左から)ゴールド、ブラウン、シルバー、ピンク

文/永山昌克 撮影/増原秀樹 モデル/染谷実加