デザイン刷新! 録画機能やサウンドシステムを強化した富士通『ESPRIMO FH77/ED』

ESPRIMO_FH77ED

ウルトラブックの登場などでモバイル市場の印象が強いパソコン冬モデルだが、デスクトップでは、筐体デザインが刷新された富士通の23型ワイド『FH77/ED』がこの冬に注目したい機種の1つだ。好評の長時間録画機能をさらに進化させたほか、サウンドシステムを抜本的に改良するなど、A&V特性を一段と高めた製品に仕上がっている。

●フルフラットファインパネルとオンキヨー製スピーカーを採用
今回取り上げるのは『ESPRIMO FH77/ED』で、同社の23型ワイドタイプ(全3モデル)の中では最もグレードが低いモデル。だが、上位2モデルとの違いは3D機能の有無だけで、基本性能には全く変わらない。CPUに4コアの『Core i7-2670QM』(2.20GHz)を採用し、メモリも標準で8GB搭載するなど、“下位モデル”と呼ぶのがはばかられるほどの高度なスペックを有している。実際の動作も非常に軽快で、処理がもたつきやすいテレビ視聴・録画ソフトなども快適に利用できる。内蔵のBDドライブが最大100GBのBDXLに対応していることも上位2モデルと共通している。

今期モデルの新要素としては、まず筐体デザインの全面刷新があげられる。夏モデルまでは、ディスプレイの隅や台座など、全体的に丸みを帯びたソフトな印象だったが、新モデルでは一転してソリッドで重厚感のあるデザインに変わった。

また、この『FH77/ED』のみに「フルフラットファインパネル」が採用されており、液晶パネルとベゼルの境目がなく、全面が一枚板のガラスで覆われている。映り込みはやや強いものの、一体感のあるフォルムが美しく、最新の液晶テレビを彷彿とさせるような高級感がある。

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▲液晶とベゼルに継ぎ目のない「フルフラットファインパネル」を採用。画面サイズが実際より大きく見える印象だ。

どっしりとした外観の印象から扱いにくそうにも思えるが、重量は約10.4kgと、実は旧モデルの『FH77/DD』よりも2.7kgほど軽くなっている。加えて、スイーベルとチルト機構が大変良くできており、比較的軽い力をかけるだけで簡単に画面の向きを変えられることも大きな利点だ。

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▲チルトは上方向へ30度、スイーベルは左右に各30度まで動かすことができ、その可動範囲内なら無段階で調整できる。ただし、高さ調整はできない。

今期モデルのもう1つの注目ポイントは、サウンドシステムの刷新だ。本モデルでは、オンキヨー製のステレオスピーカーを内蔵したほか、以前から採用していたDTSの音響補正技術も「DTS Ultra PC II Plus」にバージョンアップされている。ただし、音楽再生については得手不得手があるようで、ソースによっては音詰まりが気になる場面もあった。それでも、旧モデルと比べれば音質が格段に向上しているのは確かで、パワフルで厚みのある音を楽しめる。

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▲設計段階からオンキヨーが関与したというステレオスピーカー。以前のモデルでは得にくかった音の厚みや量感が大きく向上している。

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▲「DTS Ultra PC II Plus」の設定画面では、再生する音源の種類に応じて最適なプリセットを選べるほか、特定の音響補正機能だけを有効にしたり、各機能の補正レベルを任意に調整できる。

●デジタル3波をダブルで圧縮(AVC)録画。長時間録画は最長15倍に進化
テレビ機能、とりわけ録画に強いという利点は今回も健在で、デジタル3波のダブル録画はもとより、2番組を同時にリアルタイムでAVC形式に変換しながら録ることもできる。そのAVC変換による長時間録画も、従来の最長10倍よりさらに伸びた、最長15倍の「HE(超長時間2)モード」を新たに備え、同じ容量でさらに長時間の録画を可能にしている。

このHEモードは、BSデジタル放送の規格値の1/15なので、約1.6Mbpsという極めて低いビットレートになる。圧縮効率が高いAVCとはいえ、果たしてこれで画質を維持できるのかが気になるところだ。結論から言うと、ビットレートを考えれば大いに健闘している方だが、さすがに被写体のディテールは保ちきれず、部分的な破綻がどうしても目に付いてしまう。ただ、例えば日々のニュース番組など、一度観たら消すような用途ならHEモードでも十分と思える。一方、スポーツ中継やアクション映画のように動きの大きい映像を録画するなら、「HS(長時間)モード」(約4.5Mbps)以上が最低ラインだろう。

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▲録画モードは、無変換の「DR(最高画質)」からAVC15倍変換の「HE(超長時間2)」までの5段階。なお、「HL(超長時間1)」は以前の10倍モードに相当する。

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▲DRモードと15倍のHEモードを比較すると、HEモードでは花びら表面の微細な模様がつぶれるなど、ディテールがかなり甘くなる。録画する番組の内容にもよるが、BSデジタル比で約5倍に相当するHSモード以上なら、BD保存にも十分堪えうる画質を得られる。

また、『FH77/ED』には録画番組を家庭内LANで配信するサーバー機能もあり、本機に録画した番組をDTCP-IPに対応したスマートフォンなどでストリーミング再生することも可能だ。

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▲NTTドコモの『ARROWS X LTE F-05D』にプリインストールされている「DiMiM」アプリで試したところ、本機の録画番組をワイヤレスで再生できた。

●独自の便利機能も多数。スマフォユーザーには「F-LINK」がオススメ
今回の新モデルから搭載されたものではないが、富士通独自の機能やソフトも豊富で、しかも実用性を伴ったものが多い。特に、Androidスマートフォンのユーザーに強くお勧めしたいのが「F-LINK」だ。これは、本機とスマートフォンを手軽にワイヤレス連携させることのできるソフトで、スマートフォンで撮影した写真や動画をケーブルレスでPCに取り込むことができる。Android用の「F-LINK」アプリはAndroidマーケットで無償配布されているので、富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製のスマートフォン以外でも利用可能だ。

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▲「F-LINK」を使うと、スマートフォンやケータイと本機を無線LAN経由で連携させることができ、スマートフォンで撮影した写真や動画も本機側からの操作だけで簡単に取り込める。なお、『ARROWS X LTE F-05D』や『REGZA Phone T-01D』など、富士通東芝製のスマートフォンやケータイ(一部機種を除く)なら、歩数計のデータも本機にワイヤレスで取り込むことができる。

内蔵のWebカメラを人感センサーとして活用する「Sense YOU Technology」もユニークだ。この中で「画面オフ機能」を使うと、ユーザーの離席を検知して画面表示が自動でオフになるので、節電にもつながる。また、「おまかせポーズ機能」では、動画鑑賞中に離席すると再生を一時停止し、席に戻ると続きから再開してくれる。その認識精度もかなりのもので、背もたれの高い椅子で離席や着席を繰り返してもユーザーをちゃんと識別できた。

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「Sense YOU Technology設定」の「画面オフ機能」では、ユーザーの離席から画面表示をオフにするまでの時間を5段階から設定できる。

●まとめ
「ESPRIMO FH」の前身は、元をたどれば富士通が2008年に投入した「DESKPOWER F」までさかのぼる。初代モデルは16型ワイドとコンパクトで、北欧系の白物家電を思わせるシンプルなデザインが目を引き、その面影は夏モデルの「ESPRIMO FH」にもかすかに残っていたが、ついに今回、デザインが全面的に一新された。だが、すでに当時とは製品コンセプトも訴求ポイントも変わっており、A&Vパソコンとしての立ち位置を踏まえれば、今回のソリッドな新デザインの方がむしろしっくり来る。

特に優れていると感じたのは、画面調整が自在にできること。重厚そうに見えながら、軽い力で容易に首振りができるため、テレビなどの映像鑑賞時に画面を適正な向きに変えたり、側面のBDドライブやUSB端子などへのアクセスも楽に行なえる。また、多少の不満は残るものの、サウンドシステムの見直しによる音質向上も顕著で、ずいぶんと聴きやすい音になった。

気になったのは、ヘッドホン端子(ラインアウト兼用)が側面ではなく背面に配置されており、アクセスしにくいことだ。スイーベル機構で首振りが楽とはいっても、さすがに背面だとジャックを抜き挿ししにくい。また、「フルフラットファインパネル」は一体感があって好ましいが、欲をいえばIPSパネルが採用されていればなお良かった。上位2モデルのうち、『FH98/EM』のみIPSパネルを搭載しているが(ただし「フルフラットファインパネル」ではない)、実勢で『FH77/ED』との価格差が4万5000円もあるので、ちょっと手が出しにくい。

それでも、総合的にはバランスが取れており、特にスペックについては申し分のない高さ。他社の競合製品を含めても『FH77/ED』のコストパフォーマンスは抜きん出ている。

<SPEC>
OS:Windows 7 Home Premium 64ビット(SP1) CPU:Core i7-2670QM(2.20GHz) メモリ:8GB HDD:約2TB 光学ドライブ:BDXL対応ドライブ ディスプレイ:23型ワイド(1920×1080ドット)・LEDバックライト チューナー:地上・BS・110度CS×2 本体サイズ:W565×H435×D234mm 重量:約10.4kg

文/星紀明 撮影/松浦文生