一眼カメラレビュー/タッチパネルを採用し、AF性能を向上させたキヤノン『EOS Kiss X6i』

EOS_Kiss_X6i

キヤノン『EOS Kiss X6i』は、「Kiss」シリーズ10代目となる入門者向けのデジタル一眼レフ機だ。昨年発売の先代モデル『EOS Kiss X5』の基本デザインを受け継ぎながら、ライブビューや動画撮影時のAF性能を改良したほか、液晶のタッチパネル化や連写の高速化を実現している。

ボディは、従来機『EOS Kiss X5』と同じくフルブラックの樹脂外装を採用する。前モデル『EOS Kiss X5』と比べた場合、全体のシルエットラインがやや変更され、ボタンやグリップの形、内蔵マイクの位置なども改良されている。サイズはほぼ同じで、本体重量は515gから520gへとわずかに重くなった。

最大の見どころは、「EOS」シリーズでは初となる「ハイブリッドCMOS AF」を搭載したこと。これは、ライブビューや動画撮影の際に、撮像面に組み込まれた位相差AF用の画素によって、まずおおまかな測距をすばやく行ない、その後コントラストAFによって正確にピントを合わせる仕組みだ。

フォーカス機構にSTM(ステッピングモーター)を採用した新レンズ「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」や「EF 40mm F2.8 STM」を使った場合は、ほぼ無音でスピーディに作動するAFを体験できる。

■基本性能
有効画素数などは『EOS Kiss X5』と同様だが、映像エンジンに最新の「DIGIC 5」を採用。これによって常用感度がISO12800まで向上したほか、連写の速度が秒間3.7コマから秒間5コマにスピードアップ。連続して撮影できる枚数は、JPEGで30枚、RAWで6枚、RAW+JPEGで3枚。中級機『EOS 60D』の秒間5.3コマに迫る性能だ。シャッターのフィリーングは軽快で心地良い。
ファインダー撮影時の位相差AF性能も向上しており、9点の測距点全てがクロスセンサーとなり、AF追従性がアップしている。

▼上位クラス機と同等の14bitA/D変換を採用し、階調性豊かな表現を実現する「DIGIC 5」エンジンを搭載。
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▼ライブビュー撮影時の映像表示範囲とAFの利用可能範囲。位相差AFとコントラストAFの2方式の利点を併せ持つ新方式でAF速度が快適になった。
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▼ライブビュー撮影時のAFは、顔や動体に対する自動追尾が働く「顔+追尾優先AF」など4モードを用意する。
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■操作性
液晶モニタには、ワイド3.0型で約104万ドットのTFTを採用する。上下左右に可動するバリアングル機構を従来製品から受け継ぎながら、新たに静電容量式のタッチパネルに対応。ワンタッチでAF測距点を指定したり、タッチシャッターによってAF合焦と同時にシャッターを切ることができる。また、メニューやクイックメニューによる各種機能の選択、再生時の画像送り、拡大再生などもタッチ操作で行なえる。
タッチの反応はきびきびとしていて快適だ。不要ならタッチパネルを使用せず、従来と同じように十字キーを使って各種の設定を切り替えることももちろん可能だ。

▼画面上の被写体に軽く触れると、AF合焦と同時にシャッターを切ることができる。ピント合わせも簡単に行なえる。
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▼指をモニタ上に置いて、その間隔を広げると拡大再生ができ、間隔を縮めると縮小ができる、スマホでおなじみの操作にも対応する。
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■画質チェック
高画素センサーと新開発エンジン、それに妥協のない光学設計を持つEFレンズ。この三位一体から生み出される『EOS Kiss X6i』の画質は、シリーズの中級機『EOS 7D』や『EOS 60D』に比べて勝るとも劣らないレベル。発色はクリアで濁りがなく、解像感はA3プリントにも十分に対応する性能だ。

▼「EF-S18-55 IS II」レンズで撮影。強力な効果を誇るレンズ内手ぶれ補正機構「IS」によって、手持ちによる撮影でありながら、細部までシャープな再現を得られている。高感度ノイズもほとんど気にならないレベル。
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▼「EF40mm F2.8 STM」レンズで撮影。細部まで正確に描写する写りの良さは、さすが単焦点レンズ。被写体の色や質感をリアルに再現できている。また、ピントを合わせた部分以外には、ふんわりとしたボケが生じ、画の表情を豊かにしている。
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■撮影機能
新機能としては、連続撮影した4枚の画像をカメラ内で自動合成してノイズを抑える「マルチショットノイズ低減」や、露出をズラしながら撮影した3枚の合成によって広階調の画像を作り出す「HDR逆光補正」、レンズの色収差補正などを搭載。また、再生時に特殊効果を施すクリエイティブフィルターには、新たに「油彩風」と「水彩風」が加わり全7モードに対応する。
撮影モードは、フルオートに相当する「シーンインテリジェントオート」のほか、プログラムAE、シャッター優先AE、絞り優先AE、マニュアル露出、ストロボ発光禁止、クリエイティブオート、ポートレート、風景、クローズアップ、スポーツ、夜景ポートレート、手持ち夜景、HDR逆光補正の14モードに対応する。
動画は、最大1920×1080/30pのフルHD記録をサポートする。記録形式はMOVで、コーデックはMPEG-4 AVC/H.264。従来はモノラルだった内蔵マイクはステレオに強化され、録音レベルのマニュアル調整に新対応している。

▼クリエイティブフィルターは「ラフモノクロ」や「油彩画」などの効果を撮影後に適用し、別途保存することができる。
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▼2~8秒の撮影時間を選択して、ショートムービーを撮影する「ビデオスナップ」機能。まとめて再生することも可能だ。
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■まとめ
これまでの「EOS」シリーズの弱点だったライブビュー時のAFスピードが改善され、完成度がさらに高まった。エントリー層の中でもファインダー撮影時の動体への適応性を重視する人には有力な選択肢になるだろう。
STM仕様ではない従来レンズでは、ライブビューや動画撮影時のAFが遅いと感じる部分もあるが、よりコンパクトなミラーレス機『EOS M』と共に、「EOS」ユーザーには魅力的なモデルだ。

【SPEC】
サイズ:W133.1×H99.8×D78.8mm 重量:575g 撮像素子:有効1800万画素APS-C( 22.3×14.9mm )CMOSセンサー 液晶モニタ:ワイド
3.0型TFT(約104万ドット) 記録媒体:SD/SDHC/SDXC ファインダー:ペンタダハミラー、アイレベル式/上下左右ともに約95%(視野率) AF:9点全点
F5.6対応・クロス測距 ISO感度:100~12800( 25600相当まで感度拡張が可能) 連写速度:5コマ/秒 動画:1920×1080( 30p/25p/24p)

文・撮影/永山昌克 撮影/増原秀樹