ゲームレビュー/ソウル・サクリファイス【第1回】

rogo

●ハード:PlayStation Vita
●発売日:発売中(3月7日発売)
●価格:4900円/5980円(パッケージ版/DL版)
●ジャンル:アクション
●プレイ人数:1~4人
●メーカー:ソニー・コンピュータエンタテインメント

■概要
ダークファンタジーの世界で
奇怪な魔物たちと戯れる

3回にわたってレビューをお送りする作品は「魔法で狩ろうぜ!」のCMでおなじみ『ソウル・サクリファイス』。最大4人の魔法使い(プレイヤー)が協力し、強大な魔物たちを討つアクションということで、その内容が気になっていた方も多いはず。また、40代以上の方であれば、『ソウル・サクリファイス』というタイトルと魔法使いが活躍する内容から、思わずカルロス・サンタナを思い浮かべてしまった方もいるかも? だが、ゲーム中に流れる曲はラテンなギターではなく、不吉な運命を感じさせるアリア(詠唱)がメイン。『エルリック・サーガ』『ベルセルク』『鋼の錬金術師』といったダークファンタジー系の小説・コミックがお好きな方は、曲を聴くだけでも作品が表現しようとしている世界や雰囲気を掴めるかと思う。

ぺージに書いてある出来事を読者が追体験することができる魔書・リブロム。リブロムを残した、ある魔法使いはどんな経験をし、何を感じたのか。プレイヤーもまた、リブロムの著者の運命を追体験することになる──。

001

002
動画もチェック!
http://www.jp.playstation.com/scej/title/soulsacrifice/ja/gallery/movie/

■ファーストインプレッション
アクションと戦略性
どちらを楽しむかは自分次第

左スティックでキャラクターを自在に動かしつつ、右スティックで巨大な魔物を狙い、次々に魔法弾を発射。魔物に逆襲されたらタイミングよく回避。魔法仕掛けの罠で魔物の動きを封じたら、ここぞとばかりに近接魔法でラッシュをかける!

……という具合に、プロモーション映像ではいかにもアクションゲーム成分が多めに見える本作。だが、アクションが苦手な人でも、自分に合った遊び方ができるゲームでもある。

プレイヤーが操作する魔法使いは6つの供物(魔法を使うための道具)を戦いに持ち込むことができる。わずか6つの供物で攻撃も回復も補助も全部まかなう必要があるため、何を持ちこむのか、戦う前にしっかり考えることが重要だ。さらに供物は無限に使用できるわけではなく、使い続けるうちに壊れてしまう。持ち込んだ分だけで魔物を倒せないようなら、小型の魔物を生贄にするなり、フィールド上に存在する補給ポイントを使うなりして、供物の使用回数を回復しなければならない。

1 2
3 4
▲攻撃に使う供物だけでも十数種類のカテゴリーがあり、それぞれに5つの属性(無属性を加えれば6属性)、3段階の強さが存在する。供物はクエストを達成することで得られるほか、合成してさらに強力な供物を作ることも可能だ。

ルールだけを見ると少し難しそうに思えるが、その分、適切な供物さえ用意できればかなり楽に勝てるようになるバランス設定。なかなか倒せない魔物がいたら、弱点となる属性を調べ、他のクエストで素材を集めて有効な供物を合成しよう。このコツコツとした準備と、それがもたらす勝利の味は、多くのゲームファンにとってたまらないもののはずだ。

もちろんある程度の腕があれば、クエスト達成で得られる供物だけでもどんどん先に進んでいける。またキャラクターの育成も、倒した敵を生贄にして攻撃力を上げるか、救済して防御力を上げるかを選ぶことができるため、攻撃力を優先的に上げることで供物の弱さを補うことも可能。
そして自分の体の一部を代償にする禁術魔法を使うタイミングも重要だ。先走って使うとその後の戦闘が不利になるが、敵を葬るフィニッシュとして使えば、最後の抵抗を受ける時間を短くできる。
(クエスト終了後、リブロムの涙を消費して捧げた部位を元に戻すのを忘れずに!)

ちなみに筆者はクエストで得られる供物と、攻撃力アップだけで終盤まで進んだものの、最後にとんでもない壁にぶち当たり、観念して防御力や供物を強化することを検討し始めました……。

■魔法とその代償
自分のツケはいずれ支払うことになる
しかしその「自分」とはなんだ?

力の行使には代償が伴う。

本作のストーリー、そしてゲーム部分のテーマはこの一言に集約される。実際、筆者自身もストーリーモードをさっさと進めた代償を、最後になって支払うハメになったわけで。

それはともかく、本作の世界では、魔法使い候補が一人前になるためには、必ず別の魔法使い候補を生贄にする必要がある。そして魔法使いになったあとも、魔法を使うためには供物を用いたり、自らの身体の一部を失うなど、何かを代償にしなくてはならない。

さらに、魔力を高めるためには魔物(それは欲望のままに魔法を使い続けた人間や、魔力を制御できなくなった魔法使いの末路である)を生贄にする必要がある。その時、生贄になった魔物が人間だったの意識と記憶が、魔法使いの意識へと流入する。多くの魔物を生贄にした魔法使いは、さまざまな人間の知識や経験を得ると同時に、自身の意識にも変異を起こしていく。

5
▲ゲーム的には魔物を生贄に捧げると魔力が成長するという形で表現される。魔法使いの力の源とは、抽象的な魂のエネルギーなどではなく、他者が蓄えた知識や経験そのものかもしれない。

魔書リブロムを残した魔法使いは、力を手にした代償に、どう変化していったのか。そして彼の周囲の人物は、そんな彼にどう接したのか。これからゲームをプレイする方のために細部は伏せさせていただいたが、本作の物語はそんな内容である。
もう少し付け加えるなら、すでに自己を確立した大人にとっては、ちょっと懐かしい気持ちを思い出させてくれるお話かもしれない。

ちなみに本作の登場人物の名前は、アーサー王物語に登場する人物たちから名前を取っていると推測できる。メインストーリーに登場するニミュエ、マーリン、モルガン・ル・フェといったキャラクターたちは、アーサー王や騎士たちに知恵を授ける妖精や魔法使いの名前と同一だ。

またサイドストーリーに登場するボーマン(ガレス)、パーシヴァル、ガウェイン、ランスロットの名は、おなじみの円卓の騎士たちの名だ。サイドストーリーは元となった騎士をイメージさせるものになっているので、詳しい方はその部分も楽しめるだろう。

■まとめ
どんな思いで作られたゲームか
想像を巡らせてみる

ゲームとしても、ストーリー面でも、力とその代償をテーマとする本作。キャラクターや供物を強化しすぎると、当たり前だがその代償として1つ1つのアクションを成功させる重みは薄れていく。その逆に、自分の腕を過信して強化を軽視しすぎるのも、苦戦を強いられる原因になる。
アクションゲームとして楽しむのか、それともキャラクターの強化をメインで楽しむのか。本作はさまざまな腕のプレイヤーが、自分のやり方で楽しめるように作られている。そうしたゲームとしてのプレイ感と、物語の内容を合わせて考えると、本作の作り手たちが何を作りたかったのか、何をプレイヤーに伝えたかったのかが見えてくる。本作をプレイする方は、ぜひそういった部分にも考えを巡らせてみてほしい。
次週は本作のもう1つのメイン要素、インターネットやアドホック通信によるマルチプレイについてお伝えする予定。何だか今回は妙に硬い雰囲気が続いてしまったので、ハジケていきたい所存。(やっぱり硬い)

『ソウル・サクリファイス』公式サイト
http://www.jp.playstation.com/scej/title/soulsacrifice/ja/

©2013 Sony Computer Entertainment Inc.
文/高橋祐介