安川達也のエンタメ日誌~『そして父になる』

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今年5月、
カンヌ国際映画祭コンペティション部門
という最高の舞台で初披露。
是枝裕和監督や主演の福山雅治ら
スタッフ、キャストは拍手喝采に包まれ、
10分以上にわたる熱烈なスタンディングオベーション!
そして見事「第66回カンヌ国際映画祭審査員賞」を受賞。

審査員長のスティーヴン・スピルバーグ監督は、
初めて観た時から本作が賞に値すると確信したと語り、
審査員の女優ニコール・キッドマンは、
後半1時間涙が止まらなかったという。

カンヌを魅了した『LIKE FATHER,LIKE SON』。
今秋ついに日本公開となる映画『そして父になる』。
先日試写を観た。

2

6歳になるたったひとりの息子は、
病院で取り違えられた他人の子だった……。
人生に勝ち続けてきたエリートサラリーマン
野々宮良多(福山雅治)は、
突然降りかかった“事件”に戸惑う。
妻みどり(尾野真千子)は
「何で気付かなったんだろう。
私、母親なのに」と自分を責める。
同時に、父親良多は、
優しすぎる息子に抱いていた
不満の意味を知ることになる。

戸惑いながらも相手方の斎木夫妻
(リリー・フランキー、真木ようこ)
と交流をはじめていく。
“血を分けた本当の息子”は、
笑いの絶えない賑やかな家族の中で
3人兄弟の長男として育っていた。

良多は早い方が良いと進言し
息子の“交換”を決める。
だが、良多はその時は
思いもしなかった。
そこから“父”としての
本当の葛藤が始まることを……。

3

常日頃から
スクリーンに映し出される情景や演技は、
文字通り日常とは一線を画す物語。
と、割りきって楽しんでいる映画鑑賞だが
今回ばかりはそうはいかなかった。

物語は“事件”発覚から約1年間を描く。
映画は野々宮家の長男が5歳の誕生日を
迎えるところから始まるのだが、
どうやら7月28日生まれの設定のようだ。

“あれウチの長男もこの前の7月26日に
6歳になったばかりだよな……”
と思った瞬間から、
スクリーンの中の野々宮慶多くんが
自分の息子の姿にしか見えなくなってしまったから
もー大変。

4

正直、泣くつもりは全くなかった。
でも気が付けばニコール・キッドマンじゃないけれど、
映画の後半は、もう涙、涙、涙。

“いや、福ちゃん、それは間違ってるよ!”
“リリー、あんたの言ってることも正しい”
“ごめんパパを許してくれ……”
って、感情移入マックス。

静かなエンドロールを観ながら、考える。

実の子供か、育ての子か……。
もし自分だったら、一体どうする?
発覚した本当の血のつながりを選ぶのか?
一緒に過ごした時間の延長を選ぶのか?
両方選ぶ、いや両方あきらめる?
家族って一体なんなんだろう?

この日は試写室を出てそのまま帰宅。

9歳の長女と5歳の長男は寝る準備をしていた。
「ご飯何もないってママが言ってるよ」(長女)
「僕のカールあげるよパパ」(長男)
そうかそうか。うんうん。いいよいいよ。
(早く帰宅したオレを不安気に見る妻を横目に)
よし、今日は一緒に寝るぞ!

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『そして父になる』
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:福山雅治、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー、
風吹ジュン、國村隼、樹木希林、夏八木勲 ほか

2013年9月24日(火)~27日(金)
全国先行ロードショー

2013年9月28日(土)
新宿ピカデリーほか全国ロードショー
配給:ギャガ
© 2013『そして父になる』製作委員会
http://soshitechichininaru.gaga.ne.jp/