ミラーレスカメラレビュー/可動式ファインダーを装備したハイスペックモデル『LUMIX DMC-GX7』

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パナソニックの『LUMIX DMC-GX7』は2011年に発売された『DMC-GX1』の後継機。従来はオプションだった電子ビューファインダーを標準装備したほか、液晶の可動化や、グリップの大型化、センサーとエンジンの一新、撮影機能の充実、操作系の改良などあらゆる部分が見直され、後継モデルというよりは、全く新しいカメラのような内容になっている。

中でも注目は、手ぶれ補正の仕組みを変更したこと。これまでの同社のミラーレスでは、手ぶれ補正はレンズ側で行なうようになっていたが、今回のモデルでは初めてボディ内手ぶれ補正機構を採用。レンズ側の補正機構の有無にかかわらず、装着する全レンズで補正が可能になった。

 

■基本機能をCHECK!!

ボディの外装はマグネシウム合金製で、天面の前ダイヤルにはアルミ削り出しを採用。グリップ部の膨らみは従来モデルよりも大きくなり、ホールド性が向上。ラバー素材がしっくりと手になじむ。カラーバリエーションには、ブラックとシルバーの2色が用意される。

▼モニタには上向きに80度、下向きに45度の範囲で可動するチルト液晶を採用。自由な構図での撮影が楽しめる。また静電容量式のタッチパネルにも対応する。
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▼40の機能から使用頻度の高いものを割り当てることができるファンクション(Fn)ボタンを9つも搭載。うち5つはタッチパネル上のボタンとなる。

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■注目の新機能

AFは、レンズ駆動/センサー駆動ともに従来機の120fpsから240fpsにスピードアップし、暗所でのAF測距検出範囲は-4EVに対応。コントラスト検出方式のAFのみで、このスピードと測距検出範囲を実現したのは画期的と言っていい。また新機能として、明るい部分と暗い部分の明るさを別々に調整できるハイライトシャドウコントロールや、撮影時の駆動音を低減するサイレントモードを搭載する。

▼撮像素子には新開発した有効1600万画素の4/3型Live MOSセンサーを、画像処理には進化したヴィーナスエンジンをそれぞれ搭載する。
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▼約276万ドット相当の精細感を持つ、チルト可動式電子ビューファインダーを内蔵。色再現率は、Adobe RGB比較で100%を誇る。

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■話題の進化ポイント

シャッター速度は最高で1/8000秒に、最低感度はISO125にそれぞれ新対応。これによって明るいレンズを使用した場合に、晴天屋外で開放値によるボケを生かした撮影が楽しめるようになった。さらに、ストロボの同調速度は1/320秒に、最高感度はISO25600に、連写は秒間5コマに、電子シャッター使用時の高速連写は秒間40コマに対応。いずれも表現の自由度を高める進化と言っていい。

▼Wi-Fi機能に対応しており、専用アプリを使ってスマホからのリモート操作も可能。画面のピントを合わせたい部分にタッチすると、合焦してシャッターが切れる機能にも対応する。

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▼NFC機能にも対応し、スマホとのペアリングも簡易化された。転送したい写真を表示させた対応スマホを本体にタッチすれば、写真をワンタッチで転送できる。

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▼操作面では、ファインダーをのぞきながら液晶にタッチして測距点を調整する「タッチパッドAF」が利用可能に。タッチの反応はスムーズで、ピント位置の微妙な調整ができる。

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■画質CHECK!!

キットに付属するパンケーキ型の単焦点レンズ「LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH.」で撮影。薄型軽量ながら、絞り開放値から良好な解像力とコントラストを備えたレンズだ。歪曲や色収差も目立たないように低減されている。35mm換算の焦点距離は40mm相当に対応。こうした風景写真のほか人物やスナップにも役立つ。(クリックで大きいサイズの画像が開きます)

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感度はISO400で撮影。ノイズのコントロール範囲を拡張することでノイズを抑える「新2次元ノイズリダクション」とノイズ低減を2段階で行なうことで細かなノイズまで抑制する「新マルチプロセスNR」という2つのノイズリダクション機能によって、暗所でも高感度ノイズはほとんど気にならないレベルに抑えられている。(クリックで大きいサイズの画像が開きます)

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■使い倒しインプレッション

非常に見どころの多いカメラだが、いちばんの注目は「LUMIX」ブランドのミラーレスカメラでは初めて、ボディ側に手ぶれ補正機構を搭載したこと。これまでのパナソニックのミラーレスカメラは、レンズ側での補正を採用していたため、同じマイクロフォーサーズ規格であっても、オリンパス製品を始めとするレンズ側に補正機構を持たない交換レンズを装着した場合には、手ぶれ補正が利用できない物足りなさがあった。

もちろんレンズ側での手ぶれ補正は、決して悪いものではない。一般的なボディ側補正とは異なり、ファインダーの表示が安定するので、特に望遠での撮影時に使いやすいというメリットもある。

この『DMC-GX7』では、補正機構のない交換レンズを装着した場合にはボディ側補正が作動し、補正機構のある交換レンズを装着した場合にはボディ側補正は自動でオフになり、これまでの製品と同じようにレンズ側の補正が作動する。つまり、両者の良いとこ取りなのである。

もう一つの注目は、液晶モニタに加えて電子ビューファインダー(EVF)を装備し、その両方がチルト可動に対応すること。チルト式EVFと言えば、ほかの多くの製品ではオプション品であり、大きくかさばることが弱点だった。だが『DMC-GX7』では、スマートなボディを損なうことなくEVFの標準装備を実現。しかも、その表示はクリアで精細感が高く、被写体のディテールまでをくっきり再現できる。

また個人的に気に入ったのは、センサーとエンジンの最適設計によって、暗所AF性能が強化されたこと。試用では、星明かり程度のかなり薄暗いシーンでも確実に作動するAF性能を確認できた。そのほか、ホールド性に優れたボディデザインや、豊富なカスタマイズ性、無音での撮影ができるサイレントモードなどにも好印象を受けた。

惜しいのは、シャッター音と外装のデザインに高級感が乏しいと感じられること。また文字が大きいために一覧性が低いメニューのデザインも少し残念。それ以外は画質、撮影機能ともに、とても満足度の高いカメラだ。

■結論

小さなボディに高機能を満載し、凝った本格マニュアル撮影から手軽なフルオートスナップまでを楽しめるカメラ。携帯性を優先するために一部の装備を省いたりするほかのミラーレスカメラとは異なり、可動モニタや電子ビューファインダー、ストロボ、手ぶれ補正といった全ての装備を網羅している安心感とお買い得感があるモデルだ。

■SPEC

サイズ:W122.6×H70.7×D54.6㎜ 重量:402g 撮像素子:4/3型Live MOSセンサー 有効画素数:1600万画素 液晶モニタ:3.0型チルト式タッチパネル液晶(約104万ドット) ファインダー:約276万ドット可動式LVF 手ぶれ補正機構:センサーシフト式(ボディ内蔵)、光学式(レンズ側) 動画:フルHD(60p) 最高感度:ISO25600

文・作例/永山昌克 撮影/増原秀樹