ミラーレスカメラレビュー/手軽に持ち歩けるローパスレス機『FUJIFILM X-M1』

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フジフイルムのレンズ交換式「X」シリーズの第3弾が登場。一番の見どころは、シリーズ中の最小・最軽量ボディを実現したこと。同社初のミラーレス『X-Pro1』は、電子式と光学式を融合させた独自のハイブリッドファインダーを採用したため、やや大きめのボディだった。続く2作目の『X-E1』では、光学ファインダーを省き、高精細な電子ビューファインダーのみに変更し、小型化を実現。

そして今回は、電子ビューファインダーも取り去ることで、いっそう小さく軽くなっている。しかも、小型軽量化しながらも新たに可動式モニタやWi-Fi機能を搭載。幅広いユーザー層に適したカメラに仕上がっている。

 

▼撮像素子には、これまでのモデルと同じく独自のカラーフィルター配列によってローパスレスを実現した「X-Trans CMOSセンサー」を搭載する。

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▼軽量なボディの外装は主に樹脂素材だが、安っぽい印象はなく、手に取った際の質感もまずまず。「X」シリーズのデザインイメージを受け継ぐ。

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■注目の新機能

機能面での注目は、「X」シリーズでは初めてWi-Fi機能を標準搭載したこと。専用アプリを使って、撮った画像をスマホなどにすばやくワイヤレス転送でき、SNSなどにアップして楽しめる。さらに、マニュアルフォーカスの際にピントが合った部分を色で表示するピーキング機能や、人物の顔にピントや露出を最適化する「顔キレイナビ」を新搭載。「トイカメラ」や「ミニチュア」など8種類の効果が選べるアドバンストフィルターは引き続き搭載する。

▼モニタはチルト式となり、可動の角度は上に最大90度、下に最大85度に対応。横方向への可動はできないが、ローアングルやハイアングル撮影ではとても重宝する。

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▼天面のFnボタンにはWi-Fi機能が割り当てられ、押すことでWi-Fiをすばやく呼び出せる。このボタンの割り当てをほかの機能に変更することも可能だ。
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▼スマホやタブレット、PCにそれぞれ専用アプリを入れておくと、ワイヤレスでの画像の表示や転送が行なえる。メール添付やSNSへのアップロードも簡単。

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■X-M1の独自性

操作面での改良にも注目。背面のボタン類は、従来機では液晶の両サイドに分散配置されていたが、『X-M1』では背面右側の集中配置に変更された。これによって、例えばAF測距点などを切り替える場合でも、右手のみですばやく変更可能になった。また、絞り値やシャッター速度、露出補正の各操作は、天面のメインコマンドダイヤルと背面のサブコマンドダイヤルの2つでダイレクトに調整できる。

▼天面には「X」シリーズミラーレス初となるモードダイヤルを新設。フルオートや絞り優先など12モードをすばやく切り替えられる。
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▼天面の右端にメインコマンドダイヤルを備え、背面の右上にサブコマンドダイヤルを上向きに配置。ボタンも右側に集中。右手だけで主要な操作は行なえる。
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■画質CHECK!!

撮像素子には有効1630万画素の「X-Trans CMOS」を、画像エンジンには「EXR Processor II」をそれぞれ搭載。感度はISO200~6400が標準で、拡張設定としてISO100とISO12800/25600に対応。ISO800くらいまでは画質低下は気にならず、A3印刷にも適した精細感を維持する。(クリックで大きいサイズの画像が開きます)
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発色の調整機能として「Velvia」や「ASTIA」など同社のフイルムを選ぶことで、そのフイルムに近い色で撮影できる「フィルムシミュレーションモード」を継承。そのモード数が従来の10から5に減ったのは残念だ。また、メニュー内で彩度やシャープネスなどを細かく調整できる。(クリックで大きいサイズの画像が開きます)

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■使い倒しインプレッション

数あるミラーレスカメラの中でも、独自の存在感を放っているのがフジフイルムのレンズ交換式「X」シリーズだ。昨年登場したハイエンド機『X-Pro1』とミドル機『X-E1』は、フイルム時代のレンジファインダーカメラを彷彿とさせるレトロなデザインを採用し、アナログライクな操作系を持つユニークなカメラだった。明るさと描写性能を重視した交換レンズ群や、自社開発センサーが生み出す低ノイズ画質なども、ほかとは一線を画する老舗光学メーカーならではのこだわりだ。撮るという行為自体を楽しめるカメラと言っていい。ただ、その強烈な個性は愛好家層には高く評価されるが、一般ユーザーには少々取っ付きにくく感じる面もあった。

そこで、ユーザー層をいっそう広げるために新登場したのが今回の『X-M1』だ。クラシックカメラ風の外観デザインを受け継ぎつつも、シャッター速度ダイヤルや露出補正ダイヤルといった少々ハードルの高い操作系を省略し、その代わりに、一般的なモードダイヤルやコマンドダイヤルを新採用した。さらに、シリーズで初めてチルト可動式の液晶モニタを搭載しながらも、ボディの大幅な小型軽量化を達成。独自のクラシック路線がよりライトなテイストに生まれ変わったという印象だ。

その一方で、画質に対する徹底したこだわりは揺るぎない。センサーには引き続き「X-Trans CMOS」を搭載する。他社のセンサーとは異なる6×6画素単位のカラーフィルター配列によって、モアレや偽色の発生を抑えながらもローパスフィルターを省き、高精細で低ノイズな画質を実現した撮像素子だ。さらに、絞りリングを省くなどの簡略化はされているが、光学性能には妥協のない新しいキットレンズが付属する。被写体のディテールまでをくっきりと表現できる描写性能は、見ていてとても気持ち良く感じる。

可動式の液晶や、スマホに撮影した画像を送信できるWi-Fi機能を搭載したことも活用シーンを広げるうれしい進化だ。見た目はクラシックでも、中身は最先端テクノロジーが凝縮。そのギャップが『X-M1』独特の魅力になっている。

■結論

小型軽量と高画質を両立したミラーレスとして幅広いユーザーにおすすめ。特に、チルト液晶によって凝ったアングルから撮りたい人には打って付けだ。ファインダーがオプションでも対応していない点は少々残念。また、せっかく搭載したWi-Fi機能だが、リモート撮影ができない点は物足りない。今後のファームアップに期待したい。

SPEC

サイズ:W116.9×H66.5×D39mm 重量:330g 撮像素子:23.6×15.6mm(APS-Cサイズ)X-Trans CMOS(ローパスフィルターレス) 有効画素数:1630万画素 モニタ:3.0インチ(92万ドット)チルト式TFT液晶  手ぶれ補正機構:光学式(レンズ側対応) 動画:1920×1080(フルHD)30p(映像:MOV/H.264、音声:リニアPCMステレオ) 最高感度:ISO25600(拡張感度含む) 連写速度:約5.6コマ/秒 バッテリー持続:約350枚 記録媒体:SDXC、SDHC、SDメモリカード

文・作例/永山昌克 撮影/増原秀樹