コンパクトカメラレビュー/裏面照射型センサーとなった高画質機ソニー『サイバーショット DSC-RX100M2』

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昨年の6月に発売された『サイバーショットDSC-RX100』をベースにしつつ、センサーの改良や液晶のチルト可動化、ホットシューの搭載などを実現したモデル。

レンズは、引き続き28~100mm相当の光学3.6倍ズーム「カールツァイス バリオ・ゾナーT*」を搭載。このレンズには薄型非球面レンズ「AAレンズ(advanced aspherical)」が組み込まれ、開放値F1.8-4.9という明るさながら、小型軽量にまとめることを可能にしている。さらに、円形絞りによる美しいぼけの表現力や、カールツァイス独自のレンズコーティング技術「T*コーティング」による逆光耐性の高さも見どころだ。

 

▼レンズの開放値はF1.8-4.9に対応。一般的なズームレンズに比べると明るめの開放値であり、暗所でも感度を高めずに撮影できる利点がある。

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▼レンズの付け根にあるリングでは、ホワイトバランスなどのさまざまな機能設定が可能。回転の際にクリック音がせず、動画撮影用にも最適だ。

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■注目の新機能

上方向に約84度、下方向に約45度までチルトする可動式液晶モニタを新搭載。これによって、前モデル『DSC-RX100』に比べてボディの奥行きは2.4mm、撮影時の重量は41gそれぞれ増えているが、幅と高さは維持。ポケットにもすんなりと収まる薄型形状だ。しかも、金属製の高品位な外装で、モノとして魅力も高い。ホールド性についてはあまり変わらず、やや持ちにくいのが弱点だが、オプションでグリップが用意される。

▼高い位置から人垣を越えての撮影や、ペットの目線に合わせた低い姿勢での撮影時などに重宝するチルト可動液晶を新搭載。

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▼Wi-Fi機能を内蔵。スマホやタブレットに画像を転送したり、スマホの画面を見ながらリモート撮影が可能。

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▼NFC対応のスマホなら、転送したい画像を表示した上で、スマホをタッチするだけで画像共有が行なえる。

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■進化ポイント

撮像素子には、裏面照射型の1.0型(13.2×8.8mm)センサーを新搭載。有効2020万画素となる。裏面照射型とは、センサーを裏返して使うことで、通常はセンサーの上にある回路の影響を受けずにより多くの光を取りこめる仕組み。これによって、従来モデルに比較して約40%の高感度化を達成。さらに、画像処理エンジン「BIONZ」のチューンアップによって、約1段分のノイズ低減を実現している。

▼1.0型以上のサイズでは初となる裏面照射型CMOSを採用。これによって最高感度は、従来よりも1段アップしてISO12800に対応する。

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▼新たにステップズーム機能を搭載。リングを回すことで28mm、35mm、50mm、70mm、100mmの焦点距離にすばやくズームを切り替えられる。

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▼動画はAVCHDの1920×1080/60p記録に加え、24pでの撮影にも対応。MP4形式での記録やP/A/S/Mの露出モードにも引き続き対応。

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■画質CHECK!!

▼独自の1.0型センサーによって、高精細な細部表現力と鮮やかな発色を実現。好みに応じて発色傾向を切り替えるクリエイティブスタイルは6種類に対応。彩度やシャープネスを細かくカスタマイズ可能だ。ピクチャーエフェクト機能は「ポスタリゼーション」などの13種が揃う。

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▼新開発した裏面照射型センサーとレンズに最適化された画像エンジン「BIONZ」によって、ISO160~12800という広い感度領域を実現。また、重ね合わせ技術によって最高ISO25600相当の高感度撮影を可能にする「マルチショットNR(ノイズリダクション)」にも対応する。

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■使い倒しインプレッション

デジカメのセンサーサイズは大きければ大きいほど高画質が期待できるが、その代わりにレンズやボディが大型化する弱点もある。大きなセンサーを採用しつつ、ボディのサイズアップを避けるため、ズームを省いて単焦点レンズを備える機種も少なくない。そんな中、昨年発売された『DSC-RX100』は、1.0型(13.2×8.8㎜)という絶妙なセンサーサイズを採用。一般的なデジカメのセンサーの約4倍の大きな面積でありながら、同社の一眼レフやミラーレスのセンサーよりは小さい。これによって、高画質と小型軽量を両立しつつ、かつ光学3.6倍ズームやワイド側の開放値F1.8も実現。全ての要素をバランス良く兼ね備えたのだ。そして、発売から現在に至るまで好調なセールスを記録中。1.0型センサーの採用こそが成功の要因と言っていい。

その人気機種をベースに、さらなる機能アップを果たしたのが『DSC-RX100M2』だ。進化のポイントは数多くあるが、まず注目は液晶がチルト可動式になったこと。同社のミラーレス「NEX」シリーズを愛用している筆者としては、従来モデルに強烈な物欲を感じながらも、液晶が固定式であることが唯一気掛かりがった。可動液晶による構図の自由度は、何ものにも代え難い圧倒的な魅力だからだ。その点が改良されたことで、もはや「NEX」から買い換えてもいいとさえ感じる。

「NEX」とは違ってレンズを交換することはできないが、28㎜の広角から100㎜の中望遠まで対応しているので、スナップ用途ならこれで十分だと言える。しかも、レンズが固定式で、撮像素子とのマッチングが図られているため、開放値から画面四隅までシャープに解像する描写性能の高さも確認できる。

外部ストロボや外部ファインダーが装着可能になったこともうれしいポイントだ。残念なのは、ボタンやダイヤルの配置とサイズには大きな変更がなく、手の大きな筆者にはやや操作がしづらく感じること。またテストしたカメラはチルト可動の操作がスムーズでない点もやや気になった。それ以外は日常的に持ち歩くスナップ機として理想に近い内容だ。

■結論

手軽なスナップショットを高画質で楽しみたい人に最適の高画質カメラ。小型軽量ボディなので、旅行用にも適している。ズームのワイド側以外では最短撮影距離が長くなり、マクロ撮影に弱くなるのは少し残念。ホールド性や操作性については、手の大きさによる個人差があるので、店頭で触ってから判断するのがいいだろう。高画質と携帯性を兼ね備えた満足度の高いカメラだ。

■SPEC

サイズ:W101.6×H58.1×D38.3㎜ 重量:281g 撮像素子:1.0型(13.2×8.8mm)裏面照射型”ExmorR”CMOS 有効画素数:2020万画素 液晶モニタ:3.0型エクストラファイン液晶(約122.9万ドット) 光学ズーム:3.6倍 焦点距離(35㎜フイルム換算値):28~100㎜相当 手ぶれ補正機構:光学式 動画:フルHD(60p/24p) 最高感度:ISO25600 記録媒体:MS Duo、MS PRO Duo、MS PRO-HG Duo、MS micro、MS XC-HG Duo、SDXC、SDHC、SD、microSDXC、microSDHC、microSD

文・作例/永山昌克 撮影/増原秀樹