“プロダクト”としての完成度も高い3Dプリンタ『SCOOVO』

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今年に入ってから注目度が高まっている、10万円台の低価格パーソナル3Dプリンタ。ただし、その多くは半組み立て式だったり、マニュアルや付属ソフトウエアが英語だったり、市販プロダクトとして一般的と言い難いものばかりだった。
そんな中、颯爽と登場したのが日本企業オープンキューブの手による国産3Dプリンタ「SCOOVO(スクーボ)」だ。高級感あふれるアルミハウジングや、しっかりと日本語化された専用のソフト「SCOOVO Studio」などが心強い。もちろんサポートなどもしっかり日本語対応だ。今、初めて一般ユーザーにも安心してすすめられる3Dプリンタが登場した。

■基本機能をチェック

完成度の高いアルミハウジング

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▲本体外装にヘアライン処理を施したアルミパネルを採用。また、アクリルパネル製の前面ドアが作業スペースをしっかり保護する。

マテリアルは環境に優しいPLA

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▲プリント素材は農産物由来のPLA(ポリ乳酸)を仕様。主流のABSと比べて環境に優しいほか、出力時の悪臭が少ないなどのメリットも。

Windows向け専用ソフトが付属

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▲Windows専用(XP以降対応)のソフト「SCOOVO Studio」が付属。簡単にプリントできるモードも用意されているので迷うことはない。

■SCOOVOの注目点!

『SCOOVO C170』は、日本で設計され、国内の製造工場で生産されていることも売りの1つ。極めて高い工作精度で組立てられているため、同じ積層ピッチ0.1mmの製品と比べても、実際の出力精度に大きな差がついている(出力品質は積層ピッチ×動作精度でほとんどが決まる)。そのほか、日々のメンテナンス性や、いざという時の対応(1年間の無償保証付き)も国産ならではと言えるだろう。

高精度な出力を約束するスマートスライドレール

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▲プリントヘッドを安定動作させる、硬質アルミニウム製スマートスライドレールを開発。出力精度をさらに高める一助に。

マテリアルは全12色から選択可能

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▲マテリアルは公式Webサイトで販売中。1巻約1kgで全12色、各色4980円となる。例えばスマホケースなら50個以上は作れる計算だ。

メンテナンスしやすい工夫された構造

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▲取り外し可能なプリントベッド(写真)や、簡単に取り外し、交換できるマテリアル射出ノズルなど、メンテナンスのしやすさにも配慮している。

■使いやすいソフト

付属制御ソフト「SCOOVO Studio」は、初心者向けに項目を単純化した「かんたん設定」モードと、ほぼ全ての動作をマニュアルでマネジメントできる「アドバンス設定」モードを切り替えて利用可能。前者なら、ほとんど2Dプリンタと変わらない感覚で利用できる。3Dプリントに慣れてきたら「アドバンス設定」モードで設定を追いみ、より高精度なプリントを目指してみよう(ただし、「かんたん設定」でも充分に高精度に出力可能)。

日本語化されているので安心して使える

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▲「SCOOVO Studio」基本画面。この手のソフトはたいてい英語版なのだが、しっかり日本語化されている(アドバンス設定が一部英語表記)。

細かなマニュアル操作でプリンタの動きを制御

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▲一般的な利用では全く必要にならないが、PC画面上からプリンタの各種動作を細かく制御することもできる。いざという時の緊急停止も可能だ。

温度モニタで動作状況をチェック

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▲プリンタヘッドの状態を逐次チェックできる温度モニタ付き。どうしても上手くプリントできない場合は、ここで温度が下がっていないかを確認しよう。

■使い倒しインプレッション

何もかもが新鮮なパーソナル3Dプリンタ。製品到着後、ほぼ手探りでのセットアップとなったが、その際、日本語でわかりやすく記載されたマニュアルが心強かった。別途スタートアップガイドも付属しており、その通りに進めていくだけで使えるようになる。なお、本機の利用には制御ソフト「SCOOVO Studio」を動作させるためのPCが必須。単独では利用できないので注意したい。
セットアップが完了したら、後はプリントアウトしたい3Dデータを用意するだけ。自作データの場合、作成ソフトからSTL形式に出力し(たいていの作成ソフトが対応済み)読み込ませるだけでOK。自分で3Dデータを作れない人でも、データ共有サイトなどからSTL形式ファイルをダウンロードしてくることでプリントできる。主に海外のサイトを探すことになるが、スマホケースやちょっとしたアクセサリーなど多彩なデータを気軽に入手可能だ。
データが用意できたらあとは印刷クオリティを指定して(このあたりは2Dのプリンタと同じ)印刷開始の指示を出すだけ。データに問題がなければ3Dプリンタがやや大きめの音と振動を立てて動き出す。……正直なところ、この音と振動がけっこう気になった(しかもPCと接続する関係上、遠くに離しておくことができない!)。さほど複雑でない小さなデータでも出力に数時間かかってしまうので、快適なPC作業環境を損ないたくないのなら、別途ノートPCなどを用意して、別の部屋に置くようにした方が良いだろう。印刷中、PCをスリープさせたり再起動させたりもできなくなるため、メインマシンで使うのはあまり現実的でないと感じさせられた。
ただし、その苦労を乗り越えて完成した3Dプリントの品質は期待以上。熱溶解積層方式特有の段付きはあるのだが、3Dデータをそのまま、しっかりと形にしてくれる感動は大きい。アイデア次第でさまざまな活用法が考えられるだろう。例えば壊れてしまった何かのパーツを3Dプリンタで再現して修理するといった使い方などができそう。強度的にも樹脂パーツの代わりなら充分につとまるはずだ(金属パーツの代わりは難しい)。
もちろん趣味でオリジナルフィギュアを作るなんてのもOK。ヤスリなどで一手間かければ市販品顔負けのものすら作れるだろう。

■SPEC

サイズ:W376×H333×D404mm 重量:約15kg ヘッド数:1 最小積層ピッチ:100μm 最大造形サイズ:W150×H175×D150mm 造形マテリアル:PLA(1.75mm) 対応OS:Windows XP / Windows Vista / Windows 7 / Windows 8(32bit、64bit対応)

■クレジット
文/山下達也 撮影/松浦文生