ハイレゾのピュアな響きを高次元で再生する最上級「ウォークマン」

ソニー
ウォークマン NW-ZX1
実勢価格:7万4800円

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「ハイレゾ元年」を象徴する
音質至上のメモリオーディオ

急速に認知度を高めている“ハイレゾ音源”だが、その一端を担っているのが「ハイレゾ元年」と銘打ってこの秋矢継ぎ早に対応製品を連発しているソニーであり、ウォークマン新モデルであるこの『NW-ZX1』だ。
既存のハイレゾ対応プレイヤーとの最大の違いは、Wi-Fiを経由して高音質配信サイトからスタンドアローンでハイレゾ音源の購入までできること。最大192kHz/24bit音源の対応から、フルデジタルアンプ「S-Master HX」搭載を基盤に、電源部の強化や高品位パーツ採用などの徹底した高音質と、音源入手までの敷居を下げたメディアプレイヤー機能を見事に融合している。

■基本機能をCHECK!!

強固なアルミフレームとハードウエアボタン
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▲アルミから削り出した高剛性ボディは、外からの電気ノイズなどに強く音質を安定させる。その側面には、別体で操作しやすいハードウエアボタンを搭載。

高いグリップ感を生むリアパネル
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▲リアパネルにラバーグリップ素材を採用し、落下の危険性を防止。また、電気部品を内包したパネル下部のふくらみが握りやすさにもつながっている。

Android 4.1搭載
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▲OSはAndroid 4.1を採用。スマホ同様、音楽再生以外にもマルチな使い方ができる。

■『NW-ZX1』でハイレゾ音源を聴くまで

高音質配信サイトに登録
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▲公式ミュージックストア「mora」や「e-onkyo music」などの高音質配信サイトは会員登録が必須。「mora」なら専用アプリから音源の選択、購入まで可能。

ハイレゾ音源をダウンロード
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▲ハイレゾ音源を購入すると『NW-ZX1』に楽曲が直接ダウンロードされる。通信環境とアルバム容量によるが、ダウンロード完了までの時間は5~10分。

■『NW-ZX1』の高音質

本機と「NW-F880」シリーズのハイレゾ対応「ウォークマン」の大きな目玉となるのが、ハイレゾ音源の再生帯域におけるノイズ除去性能を向上させた新フルデジタルアンプ「S-Master HX」と、圧縮音源の高音域を補完することで、CDやMP3などの圧縮音源を最大192kHz/24bitまでの音質に変換する「DSEE HX」の2つだ。その新音響技術に加えて、『NW-ZX1』は音質基準で選びぬいた内部パーツを採用している。

S-Master HX
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▲「S-Master HX」は、モバイル機器の音楽再生に最適化されている。電源部にはノイズの少ない電気を供給するコンデンサー「OS-CON」を備える。

DSEE HX
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▲サンプリング周波数と量子化ビットレートの数値を高めるとともに、クリアでなめらかな音質になるまで高音域を補完し、192kHz/24bitまでの音源にアップグレードする。

細部までこだわったパーツ
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▲電池と電源回路に通常の約1.5倍の線材と、抵抗値の低い保護回路を採用することで、電源部が低インピーダンス化して量感あふれるサウンドを再生する。

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▲大型のφ3.5mmヘッドホンジャックは、接触抵抗や接点圧による音の乱れや製品自体の経年変化を抑えて、安定感の高い落ち着いた楽曲再生を実現する。

■音質Check!

評価に使ったヘッドホン
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ソニー
MDR-10R
実勢価格:2万6800円

評価音源1
Elephant Revival『Don’t Drift Too Far』

フォークを奏でるギターの鳴りがたっぷりと量感を持って響き良く伝わるよう、楽曲の持つ素朴ながらも煌びやかなつま弾きと見事なアンサンブルが十分に表現されている。ヴォーカルは、ややドライなイメージながらも、本来の甘いささやきはしっかりと伝わってくる。リズムのキレも良く、グルーブ感も他の音源形式では味わえない領域だ。

評価音源2
Lara Ruggles『Snowflake』

ピアノの音がとても雄大に聴こえる。とは言え、決してブーミーではなく芯のしっかりした力強い響きのため、打鍵感もリズミカルに感じる。ジャジーで伸びやかなヴォーカルも、低域の倍音がしっかりと乗っていてしっとりと聴かせてくれる。歌声に込めた感情表現がよく伝わるあたりも含めて、高い解像感が感じとれる。

■使い倒しインプレッション

『NW-ZX1』を手にとった時最初に感じるのは、何と言ってもマテリアルの上質さだろう。厚みはそこそこあるのにすっと手に収まり、確かな存在感を持つボディは、分厚いアルミの塊から削り出されたからこその重量感や堅牢性を持ち合わせていて、背面のラバーグリップとともに確実なホールド感をもたらす。また、同じくアルミ切削加工で作り上げられたスピン仕上げのボタン類も、タッチパネルにはない、リアルスイッチの持つ押し心地の良さを思い出させてくれる。そんな、高級パーツを組み合わせたものだけが持つ上質さを、『NW-ZX1』は感じさせてくれるのだ。
しかも、その質感が単なる演出ではなく、全て音質を追求した結果なのがすばらしい。例えば背面下部の膨らみは、ホールド性を良くするためでなく、電源の負担を低減し十分な電力を供給するデジタルアンプ電源部に採用した、「OS-CON」という音質重視の高精度コンデンサーのスペースを確保した結果だし、切削アルミフレームボディやヘッドホンジャックまわりの真鍮製パーツも、不要な振動を徹底排除して音質を向上するためのもの。ハイレゾ音源対応アプリを搭載するなど機能面の注目ポイントも多々あるが、ローテクな従来セオリーに真正面から挑んだ、音質向上に対する徹底したアプローチに大いに感心させられた。
もう一つ、『NW-ZX1』には注目すべきポイントがある。それは、ウォークマンとしては初めてデジタルアウトに対応したことだ。同社が、ハイレゾ対応モデルとして同時期に出したポータブルヘッドホンアンプ『PHA-2』と接続すれば、原音に忠実な高音質化を推し進めることができる。2製品をあわせると10万円を超えてしまうが、高音質を追求したい人にとっては非常にうれしい提案と言える。こういった徹底ぶりが、『NW-ZX1』の大きな魅力となっていることは確かだ。
最後に、ハイレゾ音源を存分に楽しむために大満足の本機だが、唯一不満があるとすれば、クラシックなど音質重視の録音で使われる記録形式であるDSD形式への非対応だろう。ハイレゾ音源の主流はFLACやWAVなどのリニアPCM方式で、DSDファイルはまだマニアックな存在だが、“ハイレゾ対応”を謳うのだったらぜひおさえてほしかった。このあたりは、プレイヤーアプリのアップデートに期待したい。

■結論
徹底した追求のおかげもあって、音質に関しては文句の付けようのないレベル。「NW-Z1000」からのウォークマンファンにこそ手にしてほしい。画期的な製品であることは間違いないが、DSD形式への非対応が残念な点と、コスパ的に優れる『NWF880』+『PHA-2』という真の「ハイレゾ普及ペア」もあるため「唯一無二」ではないが、非常にハイクオリティであることは確かだ。

■SPEC
サイズ:W60.7×H122.8×D15.3mm 重量:139g 液晶サイズ:4.0型 Bluetooth対応:● 連続再生時間:32時間 充電時間:3時間