“電子書籍元年”から3年、いま電子書籍はどうなっている?

“電子書籍元年”と呼ばれた2010年から3年が過ぎ、電子書籍を取り巻く状況は今、どうなっているのか? 電子書籍のプラットフォームを提供する「ブックリスタ」の野村秀樹氏が電子書籍の可能性を現場の最前線からレポートする。

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皆さんは“デジタルファースト”という言葉をご存知ですか? スマホやタブレット、専用端末などで読むことを前提に企画・制作され、電子書籍ストアで販売されるオリジナル作品のことです。場合によってはその後、紙版で発売されることもあります。

小学館・ビッグコミック連載マンガ『築地魚河岸三代目』から生まれた魚料理レシピ本、集英社発行のマーガレット・別冊マーガレット創刊50周年記念の掲載作品紹介本など幅広い作品を弊社でも配信しています。

また、現在放送中のドラマ『東京バンドワゴン』の原作者、小路幸也さんによる小説『旅者の歌』は、電子書籍書き下ろしの連載作品として大きな話題になりました。

これらの電子オリジナル作品が増える理由の一つに、書籍化の際に紙本の場合だとページ数が問題になりますが、電子版だとあまり意識しなくて良い点が挙げられます。電子書籍はちょい読みに適したシンプルな作品から、ボリュームたっぷりの作品まで、幅広い形態を展開することができるのです。

またスマホ・タブレットのように、常にネットワークにつながってタイムリーに情報が収集でき、欲しい時にすぐコンテンツが購入できる、画面サイズが大型化したビューワが一般的になったことも要因の一つでしょう。電子書籍は今、メディアになりつつあるのです。

メディア化する電子書籍は、出版社以外のコンテンツホルダーにも活用されてきています。例えばPS Vita対応ゲーム『討鬼伝』の世界観を伝えるために、前日譚を描いたオリジナルコミックを制作したり、海外ドラマシリーズのDVDリリースに合わせ、作品内容を解説する冊子を無料配信するなどがあります。

紙で出版された本が電子書籍で増えるのと同時に、電子オリジナル本が増えることも読者にとってはメリットがあると思います。皆さんも“デジタルファースト作品”をぜひ一度体験してみてください。

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デジタルファーストによる書き下ろし連載小説もリリースされている。
©小路幸也『旅者の歌』(幻冬舎)


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