北米の通信キャリア事情を調査(前編)

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ケータイジャーナリスト・石野純也が、現地の生情報を交えて海外スマホ事情を解説。第3回は、今アメリカで急速に伸びている通信キャリアのTモバイルや、日本メーカーの動向をお届けする。

3位のスプリントを追う
米Tモバイル

ソフトバンクが買収したことで日本でも一躍有名になった米キャリアが、スプリントだ。同社はアメリカ市場で3位の事業者。ベライゾン、AT&Tに次ぐポジションで、加入者は5000万強と、日本におけるドコモに近い規模を誇る。このスプリントに攻勢をかけているのが、4位のTモバイル。同社は昨年、LTEを開始したのを機に、無料の国際データローミングや月10ドルで機種変更を年2回まで行なえる「Jump」プランを矢継ぎ早に打ち出し、話題を集めている。こうした大胆な戦略が功を奏し、四半期ごとに純増数は急増している。このままの勢いが続けば、スプリントを加入者数で追い抜くという見立てもあるほど。
実際、CESを取材する合間にアメリカでTモバイルのショップを訪れてみると、その好調ぶりがよくわかる。店内には「アメリカで最速のLTE」と銘打たれたポスターが至るところに貼られており、他社とは異なり「年間契約が不要」という点も強調されている。店内の様子からは、以前よりアグレッシブな通信事業者になった印象を強く受けた。Tモバイルの回線を使ってみると確かにLTEは速い。場所によっては20Mbps以上出ることもあり最高速を謳うだけの実力はある。
とは言え、LTEのエリアはまだまだ他社ほど広くはない。得意の速度に絞ってユーザーにアピールする宣伝上手なところは、日本でのソフトバンクの手法にどことなく似ている。日本では他社を追うソフトバンクだが、米国では逆に追われる立場になっているというわけだ。
ちなみに、Tモバイルは月70ドルで、電話やSMS、ネットがし放題になる料金プランを用意している。月60ドルだと、ネットが2.5GBに制限される。1日3ドルで通話がし放題になり、ネットが200MBまでできるプランも用意する。Tモバイルに限らず、アメリカではこうした「パックプラン」が一般的。ソフトバンクが4月から導入する新料金プランも、こうしたアメリカのやり方を真似たものだ。基本料が必要で、通話し放題にはならないなど、完全にコピーし切れていない点は残念だが、日本でもパックという考え方が当たり前になるかもしれない。
このように、料金プランのトレンドは海外から輸入されることがある。KDDIが始めた「シェアプラン」も、米キャリアのベライゾンが始めたもの。現時点では大手3社とも、料金に大きな差はないが、端末の買い替えまでサポートするTモバイルのような大胆な戦略を打ち出すキャリアが出てくれば、日本市場はさらに活気付くかもしれない。

北米のキャリアショップを取材してきました!!

Tモバイル
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▲大手キャリアの中では最後発のTモバイルだが、昨年から魅力的なプランを打ち出しシェアを高めている。

スプリント
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▲ソフトバンク傘下になったが、親会社とは異なり「iPhone」は後発でAndroidスマホも充実している。

後編に続く

2月25日発売の本誌デジモノステーションではフル版を掲載中!!


石野純也 プロフィール
出版社勤務時代に数々のケータイ関連誌を立ち上げた後、ケータイジャーナリストへ転身。昨秋は電子書籍「ソーシャルゲームの最新トレンド!」(KADOKAWA)を上梓した。