新たな10年を刻む、最新フラッグシップ機『Mac Pro』

review20140402_ph01
※写真はイメージです。

『PowerMac G5』時代も含めると10年以上の長きにわたって同一筐体のまま提供されてきた『Mac Pro』が、遂に全面刷新された。クリエイターが求める超パフォーマンスや、制作現場の最新事情を踏まえ、これまでとは本質部分から異なる、全くの別モノへと生まれ変わっている。
注目すべきは従来比で何と約8分の1になった超コンパクトボディ。その内部に、高速CPUやGPU、SSDなどが所狭しと収納されている。なお、気になる本体価格は最小構成で31万8000円~。CPUやGPU、SSD容量などを最高レベルまで引き上げると100万円を超える。価格の面でも桁違いだ。

■基本機能をチェック

充実した次世代インターフェイス
review20140402_ph02
▲外部インターフェイスはUSB 3.0が4基、Thunderbolt 2が6基、Gigabit Ethernetが2基など。HDMI 1.4端子も備えている。

本体カバーは簡単に着脱可能
review20140402_ph03 review20140402_ph04
▲本体を覆うカバーはスライドスイッチ式のロックを外すだけで取り外し可能。メモリ追加などをドライバー不要で行なえる。

従来比8分の1の超コンパクトボディ
review20140402_ph05
▲ハイエンド機とは思えないコンパクトなサイズ。電源ユニットも内蔵されており、大きなACアダプタが付属するということもない。

■Mac Proの独自性

スペックやメンテナンス性など、プロが求める基本性能を高いレベルで実現しつつ、業務用マシンで軽視されがちな部分の完成度も高い『Mac Pro』。見た目の美しさという意味でのデザイン、すばらしい使い勝手という意味でのデザイン、双方の意味で圧倒的なデザイン性の高さを誇っている。なお、キーボード、マウスは別売。ユーザーが好みのものを選べる。

エレガントな冷却システム
review20140402_ph06 review20140402_ph07
▲本体底面からファンで吸い込んだ外気を本体中央の空洞部を通して排熱するエアフローを実現。冷却効率も高く、4Kビデオ編集時でもうるさく感じることはなかった。

使い勝手を高める細かな工夫がうれしい
review20140402_ph08 review20140402_ph09
▲本体に振動が加わると、背面端子部周りのLEDライトが点灯。薄暗い場所でも、手探りすることなく端子類の挿すべき場所がわかる。

背面や底面のデザインにも手を抜かないこだわり
review20140402_ph10 review20140402_ph11
▲利用時に目に付かない背面や底面もきっちりデザインされているのがアップルらしい。法的に義務付けられている表記すら底面で美しく処理している。

■圧倒的な性能

BTO対応モデルのため、構成によってスペックが大きく変わるのだが、最低の構成でも4コアCPU、デュアルGPU(「AMD FirePro D300」×2)と、極めてパワフル。ちなみにメインメモリは初期状態で12GB、最大で64GBまで増設できる。見た目の美しさとは裏腹に、スペック面では完全に“怪物”だ。唯一の弱点は、HDMIのバージョンが1.4なこと。4K/60pの出力には非対応だ(4K/30pまで)。

12コアCPUまで選択可能
review20140402_ph12
▲CPUはワークステーションなど向けの「Intel XEON E5」を採用。最小構成では3.7GHz/4コアだが、プラス38万5000円で、2.7GHz/12コアも選べる。

デュアルGPUで4K映像も余裕で処理
review20140402_ph13
▲グラフィックスカードを2枚挿しする贅沢な構成。ただし、デュアルGPUを活用するには対応したソフトが必要となる。

メインストレージは高速接続のSSD
review20140402_ph14
▲記録媒体にはSSDを採用。PCI Express 3.0接続でその速度を最大限まで引き出している。最大で1TBまで選べるが、高価なので現実的には256~512GBが選択肢となりそうだ。

■使い倒しインプレッション

昨年6月の開発者向けイベント「WWDC」で年内受注開始と電撃発表され、先日、いよいよ出荷が始まった『Mac Pro』。前提としてプロ向け製品なのだが、本誌読者にもファンの多い「Mac」の最高峰モデルということで、その実力を検証してみることにした。
まず驚かされるのが、プロ向けマシンとは思えぬほど小さな本体サイズだろう。公開されたスペックなどから小さいことはわかっていたつもりだったが、実際に目にすると想像していたよりもさらに一回り以上も小さい。また、メタル製ボディカバーの質感も写真から受ける印象とは大きく違い、よりメタリックで、映り込みが大きいものだった。
小型化の秘密は、コンパクトでスマートな冷却機構を実現したことと、内部拡張性を大幅カットしたこと。中央に空気の通り道を作り、その周りに発熱パーツを配置するという工夫でこの小型化を成し遂げたのだ。そのため、何と本体内にはHDDを搭載するスペースもない。メインの記録装置は256GBのSSDとなり(BTOで1GBまで選択可能)、ここにOSや最低限のデータを保存することになる。編集中の動画など、大容量のデータは外付HDDなどに保存させるという考え方だ。これは、多くの周辺機器を外付で利用する現在の制作トレンドと一致する。巨大なハードウエアの内部に大量のHDDや拡張ボードを増設するという発想はもはや時代遅れになっているのである。
その上で、周辺機器を接続するインターフェイスには、最新かつ高速な「Thunderbolt2」を採用。これは、双方向20Gbps×2レーンという驚異的な新世代規格。USB3・0が双方向5Gbps×1レーンであることからもその高速さがわかるはずだ。内部に増設しているのと同じか、それ以上の速度で情報をやり取りできるため、外付ストレージを利用してもストレスは全くない。
もちろん言うまでもなく、PCとしてのパフォーマンスも圧倒的。最大コアまで選べるCPUはもちろん、ワークステーション向けGPU「Fire Pro」を2基搭載、SSDを超高速なPCI Express 3・0接続するなどして、超ヘビーな4K映像編集なども難なくこなせる処理能力を実現した。見た目のほか、拡張スタイル、パフォーマンスまで、あらゆる意味で、新時代を切り拓くマシンと言えるだろう。

■結論

予算が許すなら個人利用もあり

ほとんどの人にとって過剰なスペックだが、省スペース性や、整備のしやすさ、優れた静音性などは個人ユーザーにとっても魅力的。自分で選んだディスプレイを使いたいが、『Mac mini』では力不足という人には検討の余地ありだろう。もちろん本命は近年注目度急上昇中の4Kビデオカメラの映像編集。本機ならストレスなしで行なえる!!

■SPEC
CPU:Intel Xeon E5(3.5GHz×4) メモリ:12GB グラフィックス:FirePro D300×2 ストレージ:256GB SSD OS:OS X Mavericks インターフェイス:USB 3.0×4、Thunderbolt 2×6、Gigabit Ethernet×2、HDMI 1.4×1、光デジタルオーディオ出力、アナログライン出力 通信機能:無線LAN(IEEE802.11ac/a/n/g/b)、Bluetooth 4.0 サイズ/重量φ251×H167mm/5kg AppleStore価格:30万3800円~

文/山下達也(ジアスワークス) 撮影/松浦文生