弩級スペックのハイレゾプレイヤー『Astell&Kern AK240』

review20140430_1
192kHz/24bitまでのリニアPCMから5.6MHzのDSD音源まで、幅広いハイレゾ音源をダウンコンバートなしにネイティブ再生できるハイエンドクラスのポータブルオーディオプレイヤー。削り出しのジュラルミン+カーボンバックプレートで構成されるボディ内部には、プロ用途にも使われる高級DAC「CS4398」をデュアル搭載するなど、徹底的な音質追求が為されている。出力は標準ヘッドホン出力のほか、φ2.5mm4極によるバランス出力も用意。格別のノイズバランスと音の分離感を実現する。メモリも内蔵256GB、最大384GBと格別の大容量を誇っている。

■基本機能をチェック

個性的デザインの高剛性ボディ

review20140430_2
個性的なスタイルを実現するため、ボディは435gのジュラルミンから削り出し。背面にはリアルカーボンファイバーのプレートが施されている。

152段階で調整できるボリュームノブ

review20140430_3
「AK」シリーズに共通のダイヤル式ハードウエアボリュームは健在。外観と巧みに融合したデザインとなったほか、音量の細かな操作も可能とする。

最大384GBもの大容量ストレージ

review20140430_4
メモリ容量は内蔵256GBに加え、最高128GBまで対応するmicroSDXCスロットも1つ用意して大容量を実現。ハイレゾ音源を多く携帯できる。

■AK240の独自性

ポータブルの枠を越えた音質と機能性を追求

ポータブルならではのサイズ感をいかしつつ、その枠を越えた音質と機能性を追求した結果として、デュアルDAC構成を採用。機能面では、Wi-Fi対応によってPC内の音楽ファイルをネットワーク再生できるほか、アップデートも手軽になってる点はうれしい。USB DAC機能により、自宅ではピュアオーディオ機器としても活用できるなど、屋外でも室内でも大いに活用できる製品に仕上がっている。

review20140430_5
高級プレイヤーなどで採用実績のあるシーラスロジック社製「CS4398」をデュアルで搭載。電気部に関わるアース線まで左右独立にすることで、高音質を実現している。

review20140430_6
ポータブルプレイヤーとしてだけでなく、PCのUSB DACとしても活用できるのが『AK240』の特長だ。PCMで最大192kHz/24bit、DSDで5.6MHzの音源に対応する。

review20140430_7
Wi-Fiを搭載したことで、専用ソフトをインストールしたPC内の楽曲をストリーミング再生可能になった。また、将来的には各ハイレゾ配信サイトから直接音源をダウンロードできるシステムも予定されている。

■音質チェック

review20140430_8
“Especial” Live @ praca 11 Vol.1/Nobie, “Especial” band
価格:2057円 amp’box
(試聴音源の形式)DSD 2.8MHz/1bit
(ジャンル)ジャズ

デュアルDACの良好な分離感やノイズバランスの恩恵だろう、まるで自分もライブ会場にいるかのようなリアルサウンドが堪能できる。ヴォーカルの熱気やファンの盛り上がりがハッキリと伝わってくるので、とても楽しい気分になる。

review20140430_9
奇蹟のニューヨーク・ライヴIII ブリテン:戦争レクイエム/小澤征爾, SKF松本合唱団, 栗友会合唱団, サイトウ・キネン・オーケストラ
価格:3086円 UNIVERSAL MUSIC JAPAN
(試聴音源の形式)PCM 192kHz/24bit
(ジャンル)クラシック

ポータブルプレイヤーはクラシック楽曲が苦手と言われているが、それを覆す上質なサウンド。ノイズバランスの良さから、ピアニッシモな表現までしっかりと伝わってきてくれるため、スケール感の大きい表情豊かな演奏が楽しめる。

review20140430_10
Fragile/Yes
価格:2571円(アルバム販売のみ) Warner Music Japan
(試聴音源の形式)PCM 96kHz/24bit
(ジャンル)ロック

アナログテープからハイレゾ化されたロックの名盤だけに、生演奏ならではのリアルな音色感やグルーヴ感の高い演奏が特長。『AK240』ではそういった魅力を存分に発揮して、活き活きとした、ノリの良い演奏を楽しませてくれる。

review20140430_11
Wonderful Rush/μ’s(ラブライブ!)
価格:1646円 Lantis
(試聴音源の形式)PCM 48kHz/24bit
(ジャンル)アニソン

揺るぎのない定位感によって、まるで実際にライブステージを見ているかのように、“動き回る”アイドルたちを想像できる再現力を発揮。コーラスパートでもひいきの声優の歌声が聴き分けられるくらい、すばらしい分解能を感じさせられた。

音質の総評

ノイズバランスや表現のきめ細やかさなど格別の質を発揮

こと音質に関しては、ポータブルオーディオの範疇を遙かに上まわる格別のクオリティ。ノイズ感がとてつもなく押さえ込まれ、音のセパレーションもすばらしく優秀である。おかげで、丁寧できめ細やかな楽曲表現と、自然に大きく広がる音場感を同時に味わえる。特に、ピアニッシモな演奏の静粛感は他の端末では味わえない。

中高音域の伸び 10/10
低音域の豊かさ 8/10
音の広がり 10/10
解像感 10/10
ノイズバランス 10/10

■使い倒しインプレッション

超が付くほどの“ハイエンド”ポータブルプレイヤーである『AK240』だが、音質はもちろん、ユーザビリティーにおいてもさまざまな工夫が施されている。まず第一に、手に取ったときの収まりが良い。ジュラルミン製の一体型ボディは、だまし絵のようなスタイルを持つが、これが右手にしっくりと収まってくれるのだ。『AK100』では出っ張ってしまっていた、ダイヤル式のボリュームが一体感のあるデザインにまとめられている点も好ましい。
一方で、3.31型へと大型化されたAMOLED(アクティブマトリクス式有機ELディスプレイ)タッチパネルの操作性も良好だ。操作に対する反応が機敏なことに加えて、AndroidOSベースながら独自のメニュー画面を用意することで、アルバム選びや曲選びなどがスムーズに行なえるようになっている。加えて、使い勝手がとても良くなったのがプレイリストの作成。メニュー操作がわかりやすくなったほか、単曲でなくアルバムでのリスト追加が行なえるようになったため、とても扱いやすくなった。
なお、FLACやAACなどとは異なり、タグ情報(アルバムやアーティスト名など)を表示できないWAVファイルを『AK240』では、一部のフリーソフトなどでCDリッピングを行なうと表示されるようになる。こちらも大変便利なので、いろいろ試してみてほしい。
とは言え、『AK240』の機能面で最大のトピックといえば、やはりWi-Fiの対応だろう。これによって、PC内の楽曲を再生できるようになったのはうれしい限り。現在は未対応であるが、将来的にはいくつかの音源配信サイトからのハイレゾ音源ダウンロードを予定しているのも楽しみだ。
また、『AK240』にはバランス出力が用意されており、対応ヘッドホンでさらなる音質向上が見込めるほか、変換ケーブルを使用すれば上質なホームオーディオ用プレイヤーとしても活用することができる。φ2.5mmの4極プラグという、あまり流通していないコネクタ方式を採用しているものの、今後は変換ケーブルも出揃ってくるはず。屋外でも自宅でも、極上のサウンドが楽しめるという、非常に高いレベルでの汎用性を備えたプレイヤーだ。

■結論

何よりも最高の音を求める人に

ノイズバランス、ニュアンス表現の細やかさ、ダイナミックレンジなどの“音質の基礎体力”から、表現の多彩さ、音色のリアルさなど、ポータブル、据え置きの区別なく最高峰の音質を持つ。音質、機能性の両面で太鼓判を押せるが、やはり価格が悩みどころなのが惜しい。その代わり、屋外でも室内でも関係なく最高の音を手に入れられる。

■スペック
対応音源形式:PCM 最大192kHz/32bit/DSD 最大5.6MHz/1bit サイズ:W66×H107×D17.5mm 重量:185g メモリ:内蔵256GB、microSD×1(最大128GB) 液晶サイズ:3.31型 Wi-Fi:○ Bluetooth:○ 連続再生時間:9時間(FLAC:192kHz/24bit) 充電時間:非公表

文/野村ケンジ 撮影/篠田麦也