「α7はレンズが少ない」だって? ならばオールドレンズを使えばいいじゃないか!

衝撃のデビューからまもなく半年を迎えるソニーのフルサイズセンサー搭載ミラーレスカメラ「α7」シリーズ。最近では、4K動画撮影とISO 409600という凄まじい感度を誇る『α7S』が発表されたばかり。最新技術やトレンドをそつなく押さえているが、「α7」シリーズにはもう一つの「顔」がある。

それは「オールドレンズをとことん使い倒せるカメラ」という顔。もともとソニーのミラーレスカメラ「NEX」シリーズは、数多のマウントアダプターが発売され、オールドレンズ愛好家の間ではとても人気があるカメラ。しかし、APS-Cサイズのセンサーゆえに、オールドレンズ本来の画角が楽しめないという難点もあった。オールドレンズ愛好家なら一度は「NEXがフルサイズ機だったらよかったのに……」という考えが脳裏を過ぎったはずだ。

そして「α7」シリーズが登場する。ハッキリ言って、このカメラはオールドレンズのために開発・設計されたのではないかと邪推したくなるほどの出来映えだ。理由は以下の3つ。

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▲「α7」にマウントアダプターを介して、コンタックスGマウント向けのカールツァイス『Planar 35mm F2』を装着。ソニー純正のFEレンズ製品群には存在しない「F2」という明るいレンズが使えるのも、オールドレンズならではの魅力。

【理由1】やっぱり35mm判フルサイズセンサー

最大の理由は、フルサイズセンサーを搭載している点。上述の通り、フルサイズセンサーのおかげでオールドレンズが本来の画角で利用できる。レンズ本来の性能を引き出せ、なおかつAPS-C機よりも豪快なボケ味も堪能できるわけだ。

【理由2】多彩すぎるマウントアダプター

ニコンFマウント、キヤノンEFマウント、ライカMマウントなどのメジャーなものから、ローライQBMマウント、ハッセルブラッドVマウントといった超マイナーなものまで、多彩なマウントアダプターが「NEX」シリーズ時代から発売されている。E/FEマウント向けのマウントアダプターだけでなんと80種類以上!

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▲こちらはKIPON製『C/G-NEX』で、コンタックスGマウント用レンズをE/FEマウントに装着できるマウントアダプター(実売価格1万8000円前後)。マウントアダプターに備えられているピントリングでピント合わせを行なう。

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▲レンジファインダー式のフイルムカメラ「コンタックスG」シリーズ向けに開発された『Planar 35mm F2』。マウントアダプターを装着してもコンパクトなので、NEX時代から高い人気を誇る。

【理由3】マニュアルフォーカスを快適に支援するピーキング機能

マウントアダプターを介してオールドレンズを「α7」シリーズで使う場合、マニュアル露出、マニュアルフォーカスが基本となる(例外もあり)。つまり、自分で露出を決めて、ピントを合わせなければいけない。露出についてはブラケット撮影(異なる明るさで複数枚撮ること)でなんとか対処できるが、ピント合わせは難しいものがある。F値の明るい大口径オールドレンズを使うならば、なおさらピント合わせは困難だ。

そこで頼りになるのが「α7」シリーズの「ピーキング」という機能。これは、被写体のピントが合った部分を色で強調表示しれくれるというもの。ピント合わせに自信がない人でも、レッド・イエロー・ホワイトのいずれかの色でピントの山(ピーク)を一瞬で掴める。さらに「MFアシスト」機能を併用すれば、ピント位置を拡大表示させながら、より精緻なピント合わせが可能に。
この至れり尽くせり感は、「α7」開発メンバーの中に熱心なオールドレンズ愛好家がいるのではないかと容易に想像できる。

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▲レッド(イエローやホワイトにも設定可能)で強調表示されているところが、ピントの合っている部分。ピントリングを回すと、ピントの位置に応じてレッドの部分も移動していく。

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▲「MFアシスト」機能を使えば、任意の部分を5.9倍もしくは11.7倍に拡大表示できる。「瞳にしっかりピントを合わせたい」といったシチュエーションで重宝する。

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▲「MFアシスト」機能は、シャッターボタンのすぐそばにある「C1」ボタンで即座に呼び出せるように設定しておくとさらに快適! カスタマイズ性の高さも「α7」シリーズの魅力の一つ。

このように、フルサイズセンサー、マウントアダプター、ピーキング機能を備えた「α7」は、オールドレンズを使い倒すには理想的なカメラと言っても過言ではない。現在わずか5本とレンズラインナップが乏しいが、無数に存在するオールドレンズがそれを補って余りあると、いちカメラオタクとして声高に宣言したい。
最後に今回紹介した『Planar 35mm F2』で撮影した作例をいくつか紹介する。

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▲横浜みなとみらい地区にある「日本丸メモリアルパーク」にて。カメモと少女像にランドマークタワーを絡めて撮影。銅像の質感をしっかりと表現している。古いレンズとはいえ、まだまだ現役で使える。

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▲山下公園にて氷川丸を撮影。開放(F2.0)で撮影したため、画面の四隅が暗く落ち込んでいるのがわかる。最新の高性能レンズならばここまで周辺光量不足になることはないだろうが、これもまたオールドレンズの魅力。この描写をレンズの味わいと好意的に解釈し、作品づくりに生かしたい。

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▲横浜大さん橋の名所「ハートロックスポット」にて、無数にある南京錠を撮影。大口径レンズ&フルサイズセンサーならではの豪快なボケを生かし、主題である南京錠にだけピントを合わせて際立たせてみた。ボケ味もふんわりと柔らかい。

(永井太郎)