iPadでサクッとRAW現像!『Lightroom mobile』をがっつり使ってみた

超定番RAW現像ソフト『Lightroom』のiPad版が登場した。その名は『Lightroom mobile』。ご存じではない人に簡単に説明すると『Lightroom』は『Photoshop』の派生製品で、プロのカメラマンやハイアマチュア向けに機能を絞り込んで独自のユーザーインターフェイスを備えたRAW現像ソフトだ。「RAW現像」とは、デジタル一眼レフカメラおよびミラーレスカメラで記録したRAW形式の写真データを自分の好みの明るさや色味に仕上げてJPEG形式やTIFF形式といった汎用的なデータに変換する作業のことだ。しかも『Lightroom』はRAW現像だけでなく大量の写真を効率よく管理できたり、さまざまな形でプリントできたり、手軽に写真をWebへ公開できたりする。

今回、iPad版の『Lightroom mobile』がどこまで本家『Lightroom』の特長を引き継いでいるかをチェックしていく。

news201405013_01
▲iPad向けに設計された『Lightroom mobile』。アプリ自体は無料だが、『Lightroom』やアドビの『CreativeCloud』の契約が必要(ただし30日間は無料試用可能)。

news201405013_02
▲定番のRAW現像ソフト『Lightroom』。最新版のVersion 5.4で『Lightroom mobile』との連携が可能に。30日間の無料体験版は下記URLからダウンロードできる。
http://www.adobe.com/jp/products/photoshop-lightroom.html

実際に『Lightroom mobile』を使い始めるには下記の準備が必要になる。

1:Adobe IDを取得する
news201405013_03
▲アドビのサイトでAdobe IDを取得する。また『Lightroom』最新版(現在はVer.5.4)をダウンロードし、パソコンにインストールしておく。なお『Lightroom』は30日間の無料試用が可能だ。
https://www.adobe.com/jp/account/sign-in.adobedotcom.html

2:『Lightroom』とAdobe IDを紐付ける
news201405013_04
▲先ほど取得したAdobe IDのメールアドレスとパスワードを入力し、「サインイン」ボタンをクリックする。これで『Lightroom』とAdobe IDのヒモ付けは完了だ。

3:『Lightroom』でコレクションを作成する
news201405013_05
▲『Lightroom』にRAW画像を取り込んで「コレクション」を作成する。「コレクション」とは、任意の画像をまとめられる入れ物だ。iTunesの「プレイリスト」のようなものと考えればいい。ここでは「mobile」という名前のコレクションを作成し、RAW画像を30枚ほど登録した(赤枠部分)。

4:コレクションを『Lightroom mobile』と同期する
news201405013_06
▲「コレクション」を『Lightroom mobile』と同期するには、コレクションの左にあるアイコンをクリックする(赤枠部分)。『Lightroom』と『Lightroom mobile』は写真単体ではなくコレクション単位で同期する。

5:『Lightroom mobile』とAdobe IDを紐付ける
news201405013_07
▲iPadの『Lightroom mobile』を起動すると、Adobe IDを求められる。先ほどと同じメールアドレスとパスワードを入力しサインインする。すると、『Lightroom』で作成した「mobile」というコレクションが『Lightroom mobile』に同期されているはずだ。

6:コレクションを選ぶ
news201405013_08
▲コレクションをタップすると、コレクション内のRAW画像がサムネール表示される。2本指でiPadの画面をタップするたびに、サムネール画像に撮影情報や撮影日時などが切り替え表示される。

7:RAW画像を現像する
news201405013_09a
▲現像したいRAW画像をタップして「基本補正」画面を開く。RAW現像の調整項目は、ホワイトバランス/露光量/コントラスト/彩度などを備える。画面下の項目をタップし、ポップアップしたメニューからパラメーターを選ぶか、またはスライダーをドラッグするだけ。iOS標準の画像加工機能と似た操作性なので戸惑うことはない。本家『Lightroom』のスポット修正/段階フィルター/補正ブラシ/レンズ補正といった機能は利用できない。

news201405013_09b
▲モノクロ/セピア調/クロスプロセスといった「プリセット」機能も備える。このプリセット機能を使えば、ワンタップで写真の仕上がりをガラリと変えられる。本家『Lightroom』のように現像内容をカスタムプリセットとして保存できないのは残念。

news201405013_09c
▲「切り抜き」機能も備える。「1×1」や「3×2」「16×9」など7種類の縦横比を選べるのはもちろん、任意の縦横比でのトリミングも可能だ。

news201405013_09d
▲『Lightroom mobile』で行なったこれらのRAW現像の結果は『Lightroom』にも即座に反映される。『Lightroom』で該当する画像を開くと、色調やトリミングがオリジナル画像から変更されているのがわかる。

上記のとおり、『Lightroom』と『Lightroom mobile』の現像内容が随時同期される仕組みになっている。おそらく『Lightroom 5』から新たに搭載された「スマートプレビュー」という技術を用いて、『Lightroom』で作成した「コレクション」をクラウドにアップロードし、そのクラウド上の「コレクション」を『Lightroom mobile』で読み出していると予想される。

「スマートプレビュー」は、元のRAW画像がなくてもプレビュー画像とメタデータだけでRAW現像を行なう技術だ。例えば、RAW画像を外付けHDDやNASに保存した場合、それらの外部ストレージがパソコンに接続されていなくてもRAW現像が行なえる。そして、あとからパソコンと外部ストレージを接続した際に、現像結果が元のRAW画像にも反映される、というメリットがある。この技術を応用して、『Lightroom mobile』と『Lightroom』もクラウドを介してプレビュー画像とメタデータ(現像内容を記述したデータ)を同期している、というわけだ。

『Lightroom mobile』でもう1つ興味深いのは、iPadの「カメラロール」に保存されている画像を読み込んで現像できる点だ。これまではクラウド経由で『Lightroom』と連携することで初めて現像できると紹介してきたが、『Lightroom mobile』単体でも現像できるのはうれしい。

news201405013_11
▲「コレクション」アイコンの右下にある「…」をタップすると、上の画面に切り替わる。ここで「カメラロールから追加」をタップすると、iPadの「カメラロール」から画像を読み込める。読み込めるのは、JPEG形式、PNG形式の画像のみ。

例えば旅行先で撮影し、電車や飛行機での移動中にRAW画像をiPadに取り込んでから『Lightroom mobile』で現像を済ませておく。そして帰宅後に自宅のパソコンで『Lightroom』を開くと、そこには『Lightroom mobile』で現像したRAW画像がすでに保存されている……と思いきや、現状では『カメラロール』から読み込めるのはJPEG形式、PNG形式の画像のみ。残念ながらRAW画像は読み込めない。「Eye-fi」のダイレクトモードや「Lightning – SDカードカメラリーダー」でiPadの「カメラロール」に取り込んだRAW画像でも試したが、非対応だった。すでに『Snapseed』というアプリではiPadやiPhoneでのRAW現像を実現しているので、ぜひとも今後の対応に期待したい。きっと今よりも『Lightroom mobile』は魅力的な存在となるはずだ。

(永井太郎)