濡れてもいいの? 最強50倍ウルトラズーマー、富士フイルム『FinePix S1』

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レンズ一体型の高倍率ズーム機を数多く発売する富士フイルムの最新作。光学50倍ズーム機としては、昨年発売の『FinePix SL100』に続く製品であり、f=24~1200mm相当という幅広い焦点距離を維持しながら、さらなる高機能化と高速化、レンズの大口径化を図っている。他社のライバル機に勝るアドバンテージは、本体の約70カ所にシーリングを施すことで、クラス初となる防塵防滴を実現したこと。
撮像素子には1/2.3型の有効1640万画素CMOSを搭載。撮影機能としては、8種類の効果を加えるアドバンストフィルターや360度の視野を記録するパノラマモードなどに対応する。

■基本機能をチェック
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EVF&回転モニタを自由に使い分けOK
背面には、約92万ドットの3型バリアングル液晶と0.2型のEVFを搭載。アイセンサーは非搭載のため、両者の切り替えはボタン操作となる。

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クラス初の防塵・防滴ボディを実現
光学50倍以上のズームレンズを搭載したレンズ一体型カメラとしては初めて、防塵・防滴構造を採用。アウトドアユースに最適だ。

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(下段写真左から×1、×50、×100)
デジタルズーム併用で光学100倍の望遠撮影も可能に
レンズ鏡胴部に「ズームアウトボタン」を新設。押している間だけズーム倍率が下がり、フレーム外に出た被写体を探しやすくなる。光学50倍ズームに加えて、デジタル処理による「超解像ズーム」を使用すると、ズーム倍率は最大で100倍となり、f=2400mm相当にもなる。肉眼をはるかに超えた圧倒的な視覚体験が味わえる。

■実力測定:作例
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f=1200mm相当になるズームのテレ側を使用し、チューリップの花びらの付け根を切り取るような構図で撮影。ピントを合わせた部分はシャープに解像する一方で、背景には滑らかなボケが生じた。このように背景をシンプルに整理できることは超望遠ならではの面白さだ。

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f=24mm相当になるワイド側で撮影。テレ側のシャープな写りに比べると、ワイド側の周辺描写には少々もの足りなさを感じるが、大きく印刷しなければ実用レベルの画質と言える。それ以上に、ここから煙突の先端までズームアップできる構図の自由度の高さが魅力的だ。

■結論
テレ側の焦点距離が35㎜判換算で1000㎜オーバーとなる超望遠に強いデジカメが増えている。富士フイルム『FinePix S1』もそんな高倍率ズーム機の1つだ。ズーム倍率は50倍を誇り、35㎜換算の焦点距離は24~1200㎜に対応。まるで望遠鏡を覗いているような感覚で、遠景にある小さな被写体を大アップで捉えられる。試用して、まずこの超望遠の威力に、ワクワクするような面白さを感じた。
超望遠を快適に楽しむための、細かい配慮も見逃せない。その1つは鏡胴部に設けたズームアウトボタンだ。超望遠撮影では小さな被写体をファインダー上で見失うと、再び捉えるの一苦労するが、このボタンを押せば一時的にズームアウトするので被写体をすぐに見つけられる。そしてボタンから指を離せば、再び元のズーム域に素早く戻せるのも便利だ。また、ズームレバーを2カ所に設けたことで、どんな体勢でもズーム操作がしやすいことや、グリップ部と鏡胴部に張られたラバーによって、指に吸い付くようなフィット感と安定したホールディングが得られることにも好印象を受けた。
もう1つの大きな特長は、このクラスでは初の防塵防滴に対応すること。雨天や海辺などの悪条件でもカメラのことを気にせずに撮影できることは何よりありがたい。個人的に惜しいと感じるのは、外観デザインがやや平凡で、業務機のような生真面目すぎる雰囲気を感じること。ここは好みが分かれる部分だろう。
撮影機能は非常に豊富で、押すだけのフルオートから凝ったマニュアルモードまで幅広く搭載。特にマニュアルフォーカス時のピーキング表示や、RAW記録に対応することはこだわるマニアにはうれしいポイントだ。また連写は10コマ/秒と素早く、起動やAFも高倍率ズームとしては高速の部類と言える。より高価な一眼レフのスピードにはさすがに及ばないものの、コツさえつかめば動きのあるシーンを撮ることも可能だ。
レンズ交換の手間をかけずに、広角から超望遠までの撮影を気軽に楽しめるカメラとして非常に中身の濃い製品に仕上がっている。

■『FinePix S1』をおすすめな人は??
超望遠をカジュアルに楽しみたい人に
離れた位置から遠景を大きく引き付けた超望遠撮影を手軽に楽しみたい人におすすめ。仮に、一眼レフでf=1200mm相当の焦点距離を得ようとすれば、大きくて重い機材とそれなりの出費を覚悟しなければならない。しかし本モデルなら、小さなカバンに収まる機動力を維持しつつ、実売5万円以下の予算で超望遠撮影が実現できる。

富士フイルム
FinePix S1
実勢価格:4万2550円
サイズ:W133.1×H90.9×D110.3mm 重量:680g 撮像素子:1/2.3型CMOSセンサー 有効画素数:1640万画素 液晶モニタ:3.0型液晶(約92万ドット) ファインダー(EVF):0.2型液晶(約92万ドット) 光学ズーム:50倍(f=24~1200mm相当) 解放F値:F2.8-5.6 手ぶれ補正機構:あり シャッター速度:1/2000~30秒 ISO感度:100~12800相当(拡張含む) 連続撮影枚数:約350枚
文・作例/永山昌克 撮影/江藤義典