欧州のMVNO市場をレポート(前編)

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日本でも格安SIMや格安スマホが注目を集めているが、こうしたサービスを提供しているのがMVNOだ。今回は日本よりMVNOが一歩進んだ欧州から、その最新事情をお届けしていく。

格安SIMのブームを先取りした欧州市場

1GBあたり約1000円のSIMカードが登場したことをきっかけに、日本でも「格安SIM」というキーワードがにわかに注目を集めている。この格安SIMと組み合わせて使う、廉価なスマホの存在感も増している。さらに、イオンやビックカメラといった物流を担う事業者が、端末からSIMカードまでを一手に担う事例が、今年に入って増えてきた。
こうした格安SIMはMVNOという仕組みで実現。MVNOとは、ネットワークを大手通信キャリアから借りて独自性を付け販売する事業者のこと。キャリアよりも価格が安いのは、コストを抑え通信量や速度に制限を課しているためだ。
日本でもようやく日の目を見ることになったMVNOだが、欧州ではいち早く一般ユーザーの間に定着している。所得格差が日本以上の国が多く、“安くてそこそこ使えるもの”を求めるニーズが多かったのがその一因だ。移住労働者などに特化し、海外通話の料金が極端に安いMVNOや、大手キャリアのサブブランドとしてのMVNOなどが登場しており、データ通信の価格勝負一辺倒な日本よりも多様性がある。
2月にモバイル・ワールド・コングレスの取材で訪れたスペインでも、そんなMVNOが活発な様子を体感することができた。スペインには、日本と同様、大手3キャリアが存在する。最大手がテレフォニカで、同じスペイン語圏の南米などにも勢力を広げており、世界でも5本の指に入る加入者を誇る。ここに、イギリスが本拠地のボーダフォンや、フランス企業のオレンジが続き、第4のキャリアとしてYOIGOが他社より安い料金で注目を集めている。
こうした大手事業者を尻目に、シェアを伸ばしているのがMVNOだ。ロイターによると、13年にはシェアが10%に達し、1年間で市場規模が大きく成長した。不況にあえぐスペインで大手がシェアを落としているのとは対照的だとして、海外で話題を集めたニュースである。MVNOが回線を貸し出しているキャリアのパイを奪ったという見方もでき、スペインの状況は日本の未来を映し出す鏡のようにも思えてくる。
ところが、バルセロナの街を歩いてみるとMVNOのショップはなかなか見付からない。すぐに目に入るのは、大手キャリアのショップだけだ。これには理由がある。実は、MVNOのSIMカードは、雑貨屋などの小規模な小売店やネットで販売されていることが多く、旅行者がさっと見付けるのは少々難しい。ただし、売店で残高をチャージできるシステムは整えられており、SIMカードさえ手に入れてしまえば気軽に利用することができる。バルセロナを訪れたのがモバイル・ワールド・コングレス期間中だったため、空港に臨時店舗をオープンするMVNOもあった。また、大手キャリアの軒先を借り、SIMカードを販売している事業者も見かけた。

大手キャリアのシェアが高い
スペインのケータイ市場

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▲スペインに本拠地を置くテレフォニカが、同国シェア1位。

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▲LTEを店頭でアピールするフランスキャリアのオレンジ。

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▲英国系のボーダフォンは、オレンジと接戦を繰り広げる。

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▲専用ショップのないMVNOのSIMは、雑貨屋などで購入可。

後編はこちらから
デジモノステーション2014年7月号ではフル版をP.113ページにて掲載中!!

取材・文/石野純也


石野純也 プロフィール
出版社勤務時代に数々のケータイ関連誌を立ち上げた後、ケータイジャーナリストへ転身。昨秋は電子書籍「ソーシャルゲームの最新トレンド!」(KADOKAWA)を上梓した。