もう“高嶺の花”じゃない? ミラーレスカメラ『ライカ T』の真価とは

ドイツの名門カメラメーカー・ライカが新たにミラーレスカメラ・システムを発表した。その名は『ライカ T』(Type 701)だ。

有効1630万画素のAPS-Cセンサーを採用し、Wi-Fiやタッチパネル液晶、フルHDの動画撮影などのトレンドも盛り込まれている。また、MacBook Airを彷彿とさせるアルミ削り出しのボディには無駄なものを極力排し、電源レバー、シャッターボタン、動画録画ボタン、2つのダイヤルと、いたってシンプルな操作系。「写真を撮る」という行為以外の操作や設定は基本的に液晶モニタをタッチして行なう仕組みだ。

今回、ライカカメラジャパンより実機をお借りしたので、インプレッションや使い勝手などをチェックしていく。

 

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▲『ライカ T』(実売価格23万7600円)に『ズミクロンT F2/23mm ASPH.』を装着。35mm判換算で焦点距離35mm相当の単焦点広角レンズ(実売価格24万3000円)。さらに『バリオ・エルマーT F3.5-5.6/18-56mm ASPH.』(実売価格21万600円)も5月26日に同時発売予定。こちらは焦点距離27~84mm相当の標準ズームレンズだ。
http://jp.leica-camera.com/Photography/T-System/Leica-T


▲1.2kgのアルミニウムの塊からわずか94gにまで削り出したというボディ(カメラ本体はバッテリー込みで384g)。しかも、職人が45分かけて手作業で磨き上げるという贅沢さ。ちなみに、その様子を一部始終収めた「The Most Boring Ad Ever Made?」というムービーがYouTubeに公開されいてる(再生時間はもちろん45分!)。

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▲シャッターボタンの感触は柔らかく、音もとても静かなのでスナップに最適だ。ボディ上面にはこの他に、2つのダイヤルと動画撮影ボタン、内蔵ストロボを配置。一方のダイヤルには、露出補正やISO感度、ホワイトバランスといった設定項目を割り当てられる。

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▲ボディの右側面のカバーを開くと、SDカードスロットとMicroUSB端子がある。『ライカ T』には16GBの内蔵メモリーがあるため、SDカードを忘れても大丈夫! 撮影枚数の少ないユーザーはこれで事足りるかもしれない。MicroUSBは、モバイルバッテリーからの充電にも対応する。

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▲ライブビュー画面。撮影情報や格子、ヒストグラムを表示できる。タッチAFや顔認識にも対応。画面右側の部分(赤枠)を下にスワイプすると画面がロックされるので誤操作を防げる。

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▲各種設定はタイル状にレイアウトされている。この中から必要な機能だけを登録して、すぐに呼び出せる「マイカメラメニュー」も搭載。画面右下の「+」アイコンをタップすると好みの機能を追加できる(不要な機能はごみ箱アイコンにドラッグすると削除できる)。

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▲写真を再生するには、液晶モニタを上から下にスワイプする(再生ボタンは用意されていない)。左右にスワイプして写真を送ったり、ピンチ操作で写真を拡大・縮小したりできる。スマホユーザーには取っ付きやすいはずだ。

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▲専用の外付け電子ビューファインダー『VISOFLEX』はアイセンサーを搭載し、目を近づけると自動的に液晶モニタから電子ビューファインダーに切り替わる。さらに、90度のチルト機構とGPSユニットも内蔵する。実売価格7万3440円。Mマウントのライカレンズが使えるマウントアダプターも用意され、既存のライカMユーザーにもアピール。

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▲国内メーカーのカメラではもはや定番となりつつあるWi-Fiも内蔵。iOSアプリ『ライカ T app』を使えば、『ライカ T』をリモートコントロールできたり、『ライカ T』で撮影した写真をiPhoneやiPodに転送できる。ただし、アドホックモードには非対応のため無線LAN環境を別途用意しなければならない(テザリングでも通信可能)。

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▲iOS以外のユーザーはWebブラウザを使って『ライカ T』内の写真を閲覧・転送が可能だ(リモートコントロールは不可)。こちらもアドホックモード非対応のため、無線LAN環境が必須となる。

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▲新宿の夜景を手持ち撮影。1/4秒という低速シャッターと開放という不利な条件にもかかわらず、『ズミクロンT F2/23mm ASPH.』と手ブレ補正機能のおかげで鮮明な描写に。画面周辺も見事に解像し、等倍表示すると高速道路に塗装された「ETC専用」という文字もしっかり読み取れる。

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▲横須賀市の中心街からすぐの無人島・猿島にて。島内の歴史的遺構や自然を気の向くままに撮影するなら標準ズームレンズの『バリオ・エルマーT F3.5-5.6/18-56mm ASPH.』が便利。

贅の限りを尽くしたプロダクトデザイン、シンプルな操作系と慣れ親しんだタッチ操作、そして圧倒されるほどの高画質──これらを全て求めるなら『ライカ T』以外の選択肢はない。これまでレンジファインダーカメラの『ライカ M』システムや中判カメラの『ライカ S』システムがテクニカルな面でも価格面でも敷居が高く、われわれ庶民には高嶺の花だった。同社のプロダクトマネージャー、ステファン・ダニエル氏は「いままでライカに手を出せなかった人」を意識して、この新しいミラーレスカメラ・システムを『ライカ M』や『ライカ S』とは別に位置づけているという。カメラ本体、レンズとも20万円超の高価格帯製品には変わりないが、これまでのライカに比べればずっと身近な存在になっている。

ずっと高嶺の花だったあのライカが
ちょっとだけ背伸びをすれば手が届く存在に──

そんなカメラの誕生だ。

※本記事はベータ機を基に作成しています。実際の製品と仕様や動作が異なる場合があります。

(永井太郎)