あのコロに、胸キュン。第94回『BORN IN THE U.S.A.』

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ちょうど30年前。1984年6月。
雨音はショパンの調べに耳を傾ける
ミス・ブランニュー・デイズな梅雨空を吹っ飛ばす
痛快なロックンロールが“アメリカ合衆国”から届いた。
ブルース・スプリングスティーンの『BORN IN THE U.S.A.』。
35歳にして名実ともにシーンの頂点を
極めることになる“ボス”の代名詞であり
王道アメリカンロックの金字塔であり、
80年代にアメリカで最も売れたロックアルバムだ。

表題曲「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」は、
行き場のないベトナム帰還兵のアメリカに抱く
誇りと卑下が同居する屈折感情を描いた
母国への警告的な楽曲だった。
“どうしようもない国だけどこの地で生まれたんだから
受け止めて生きていくしかないんだよ”。
そんな叫びだった。
しかし、時は米ソ冷戦。ロサンゼルス五輪を控える
ロナルド・レーガン政権下の“強いアメリカ”のなかで
国粋的なコーラス部分だけがクローズアップされ
合衆国賛歌として一人歩きをはじめる。
ジャケットでもブルースは星条旗を背負っているのではなく
星条旗と対峙していたにも関わらず、だ。
さらに、盛況なMTV時代。
ブラウン管のなかでランボーのような
筋肉隆々な腕を突き上げる映像インパクトは
さらに誤った解釈を与えてしまうことになる。
ブルースはタカ派的なイメージを払拭するのに
ここから何年も費やすことになる……。

……なんて、活字ロックは、
僕が大人になってから時代検証しての解釈。
当時は13歳、中2の僕は、そんな難しいことは考えない
(基本的に今も考えないけど)。
LP盤にレコード針を落とす……ブチブチ……(一瞬無音)
スピーカーから飛び出してくる軽快なシンセのリフ、
痛快なタイトなドラム、そして豪快な歌声。
うぉ~~カッコいい!!思わず拳。
これがロックを産んだアメリカの80年代の叫びなのか。
これが合衆国の頂点を極めるロッカーのパワーなのか。
チェリーボーイの息もつかせてくれない怒涛の全12曲。
すんげぇ~~~~!!
1984年の夏、僕は『BORN IN THE U.S.A.』に酔いしれた。

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 ブルース・スプリングスティーン
 『BORN IN THE U.S.A.』
1984年6月4日・アメリカ発売
1984年6月21日・日本発売

Side A
1.「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」’85年1月全米9位
2.「カヴァー・ミー」’84年10月全米7位
3.「ダーリントン・カウンティ」
4.「ワーキング・オン・ザ・ハイウェイ」
5.「ダウンバウンド・トレイン」
6.「アイム・オン・ファイア」’85年4月全米6位

Side B
1.「ノー・サレンダー」
2.「ボビー・ジーン」
3.「アイム・ゴーイン・ダウン」’85年10月全米9位
4.「グローリィ・デイズ」’85年8月全米5位
5.「ダンシン・イン・ザ・ダーク」’84年6月全米2位
6.「マイ・ホームタウン」’86年1月全米6位
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1枚のアルバムから7枚のトップ10ヒットシングル!!!!!!!
マイケル・ジャクソンの『スリラー』と並ぶ偉業達成にも
全米ヒットチャート愛好家になりかけていた僕を刺激してくれたけど、
最高の興奮は、のちに“アメリカンロック史上最強B面”と言われた
6曲全24分間のオープニングを飾る「ノー・サレンダー」だった。
“俺達は教室を飛び出した。学校で習ったどんな事よりも
多くの大切なことを3分間のレコードから学んだんだ”。
ドラマティックなエモーショナルなビートが気に入り
日本語対訳を読んだ時の震えと感動だけは今も絶対に忘れない。
そして、この出会いが僕の人生を決定づけたことになる。

……なんてことをちょっと自慢気に
長男(6歳)に話していたら、
どうやら妖怪ウォッチに夢中で
それどころじゃないらしい。
長女(10歳)はスマホでアナ雪。
ま、エンタメに夢中なことは
エンタメ紹介を仕事にしているパパとしても大歓迎。
「あ、この前みんなで買い物に行った横浜ベイサイドマリーナってさぁ。
パパの高校時代はただの小さい港で、いつも授業をサボって……」
「はいはい、パパもそこまで。子供たち~宿題やっちゃいなさい。
ここは日本ですよ~。教室から逃げちゃ絶対にダメですからね~」
「べつにオレは逃げたわけじゃなくて……」
「はいはい。庭の草むしり途中だったでしょ!
スプリングスティーンだっけ。聞きながらやったら?」

……No Surrender!

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●アナログLP発売当時の帯も含めて再現された
名盤『BORN IN THE U.S.A.』(2005年/紙ジャケ仕様)
http://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&ima=4806&cd=MHCP000000728

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●ブルース・スプリングスティーン最新作
『HIGH HOPES』初回限定ボーナスDVDには
『BORN IN THE U.S.A.』全曲再現ライヴを完全収録!
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Special/BruceSpringsteen/highhopes/dvd.html

●『BORN IN THE U.S.A.』ハイレゾ配信中!
http://mora.jp/artist/37562/all

文●安川達也(デジモノステーション編集部/エンタメ担当)……1970年10月19日生まれ。43歳。横浜出身、逗子在住。コーヒーもロックもアメリカン。心はいつでもニュージャージー。一姫二太郎。