新ハードウエア発表がなかったWWDC、アップルの戦略とは?

今年のアップルWWDCは例年と少しだけ様子が異なっていた。というのも、多くの人が待ち望んでいた新ハードウエアに関する情報公開がなかったからだ。

初代「iMac」や多くの「iPhone」、最近では『Mac Pro』がこの場で発表されていたため、次世代「iPhone」やこれまでにない新製品の発表が期待されていたのだが、そういった発表は一切行なわれなかった。

その代わり、約2時間をかけて行なわれたのが、次期iOSとOS Xの詳細説明。WWDCが開発者向けのイベントであることを考えると、これが本来の姿と考えるべきなのだろう。基調講演の内容がライブストリーミングされたことも合わせ(ここ数年は事後の公開となっていた)、より多くの開発者に新OSが描く未来像をアピールしたいという目的が優先されたようだ。

秋に投入される「iOS 8」と「OS X Yosemite」ではっきり示されたのは、この2大OSが“統合”を目指しているわけではないということ。ライバルであるWindowsがPC向けOSとスマホ向けOS(Windows Phone)を統合する方向で進化させているのとは、はっきりと一線を画している。

アップルが目指すのは“連携”(基調講演では「continuity」と説明。直訳では“連続”)。この2つのOSを揃えた環境では、移動中に「iPhone」で途中まで書いたメールの続きをそのままMacで書けるなど、一連の操作がこれまで以上にスムーズにつながるようになる。

また、それと併せて「iOS 8」ではこれまでアップルの聖域となっていたOS深部へのアクセスを“開放”。これまで強い制限のかかっていたアプリ同士の連携などが可能になった。日本人にとって特に影響の大きなところでは、日本語入力ソフトの開発が可能になったというものも挙げられる。これを受けて早くも「ATOK」で有名なジャストシステムらが、iOS向け日本語入力ソフトの開発を表明している。

実はiOSの歴史上、最大の革新かもしれない「iOS 8」。“連携”と“開放”で、その可能性を大きく飛躍させようとしているのだ。

「iOS 8」と「OS X Yosemite」
「iOS 8」と「OS X Yosemite」