凄まじすぎる描写力! 最強画質と話題の『dp2 Quattro』実写レポート

一部のカメラファンから熱烈な支持を受けているシグマの高級コンパクトデジタルカメラ「DP」シリーズに、最新モデル『dp2 Quattro』が登場した。従来のオーソドックスなデザインから非常にユニークな形状のカメラに一新されたが、実は外観だけではなく、その内部機構もまた独自性に富んだものである。

「DP」シリーズの最大の特徴は、同社が独自開発した「Foveon X3」という撮像素子が採用されている点だ。一般的なデジタルカメラに搭載されている撮像素子は、それ単体では色情報を取り込むことができないため、撮像素子の表面にカラーフィルターを配置している。しかも、1つの画素に対して3原色(RGB)のうち1色しか取り込めないので、本来の色情報を取り戻すべく後から画像処理エンジンなどで色の補間作業を行なう。しかし、たとえこのプロセスを経ても、厳密には被写体が本来持っているディテールや色情報が失われることに変わりはない。

これに対して「Foveon X3」は、カラーフィルターを用いることなく、撮像素子を3層に重ねることで3原色すべてを取り込むことが可能。色の補間作業も不要なため、理論上、被写体のディテールや色情報の損失も発生しない。さらに今回の『dp2 Quattro』に新たに搭載された「Foveon X3 Quattro」は、3層の撮像素子のうち、いちばん上の層だけ4倍の画素を持つため、撮像素子および製品の名称に「Quattro」と付け加えられた。ちなみに、本製品は『DP』シリーズの第4世代にあたる。

ちょっと小難しい話になってしまったが、要するに「独自開発の撮像素子のおかげで凄まじいキレの画質を実現している」というわけだ。百聞は意見に如かず、作例とともに『dp2 Quattro』の魅力に迫っていく。

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▲『dp2 Quattro』は、2900万画素でAPS-Cサイズの撮像素子を搭載した高級コンパクトデジタルカメラ。実勢価格は10万1000円前後。重量は410gで、サイズは一般的なコンパクトデジカメを横に2台並べたような感覚に近い。写真は、別売の専用ビューファインダー『VF-41』(実勢価格2万8000円)を装着している。

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▲35mm判換算で45mm相当の単焦点レンズを備える。手ぶれ補正には非対応だが、F2.8の明るさなので暗所での撮影も十分に可能だ。

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▲ボディ上面にモードボタン、シャッターボタン、2つのダイヤルを用意。それぞれのダイヤルに露出補正やシャッタースピード(もしくは絞り値)の割り当てが可能だ。背面には、ディスプレイボタン、QS(クイックセット)ボタン、AELボタン、MENUボタン、再生ボタン、そしてグリップ部にセレクターが配置されている。各種ボタンとセレクターが少し離れているため、指を伸ばして操作しなければならない点にややストレスを感じた。

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▲QS(クイックセット)ボタンを押すと、クイックセットメニューが表示される。任意の機能を割り当てられるので、自分がよく使う機能を並べるといい。メニュー画面も洗練され、従来機種から比べて飛躍的に使いやすくなった。

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▲できたてのハンバーガーを1段絞ってF4で撮影。28cmの最短距離に加えて肉眼に近い45mm相当の画角は、食べ物を自然な雰囲気&パースで撮るのに最適だ。レタス表面の模様、卵焼きから溢れ出る黄身、ベーコンの照り具合をしっかりと描写している。

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▲従来機種の緩慢な動作に比べると、『dp2 Quattro』のレスポンスはキビキビとしているので、上図のようにサッとカメラを取り出してストリートスナップも可能に。ただし撮影直後、画像データがSDカードに書き込まれるまでに少々時間を要するので連写にはあまり向かない。

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▲夜の工場と『dp2 Quattro』は最高の組み合わせかもしれない。ピクセル等倍で拡大すると、画面奥にある工場に張り巡らされた無数のパイプはもちろん、従業員通路に設けられた手すりのひとつひとつが見事に描写されているのがわかる。この凄まじい解像力の高さこそが『DP』シリーズの真骨頂だ。

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▲『dp2 Quattro』ユーザーを対象に、RAW現像ソフト『SIGMA Photo Pro 6』(http://www.sigma-global.com/jp/download/cameras/sigma-photo-pro/)が無償で公開されている。1つのRAW画像に対してカラーとモノクロでそれぞれ3つの異なるRAW現像結果を保存できたり、新たに「白とび軽減機能」が追加された。

このカメラには手ぶれ補正もフルHD録画もスマートフォン連携も、最近のデジタルカメラに必須とされる機能はない。しかし、どのカメラにも真似できない、切れ味鋭い描写力がある。デジタルカメラのコモディティ化が進む昨今、利便性や機能性に囚われることなく、カメラにいちばん求められる高画質をただひたすらに追求してきたのがこの『dp2 Quattro』だ。

一眼レフカメラでもミラーレスカメラでも、手持ちのカメラの画質に不満がある人は『dp2 Quattro』を一度試してみてほしい。「Foveon X3」が繰り出すこの驚くべき画質に圧倒されるはずだ。

(永井太郎)