自動運転カーが事故を起こしたら誰の責任!? 自動運転の現状と今後

グーグルがハンドルもアクセルもない自動運転カーのプロトタイプを発表したことで、にわかに注目度が高まっているクルマの自動運転技術。
同社では、自動運転により2014年4月までに約113万km(70万マイル)以上を無事故で走行していて、膨大なデータを収集している。決められたルートを決められた通りに走るだけでなく、信号を無視して横断してくる歩行者や自転車などにも適切に対処できるようになっているという。


▲グーグルの公開している自動運転車両の動画。車体にはシートベルトはあるが、ハンドルはおろかアクセルやブレーキペダルも装備しない完全自動運転だ。

また、メルセデス・ベンツも2013年8月にドイツで約100kmの道のりを自動運転で走破。しかも、その際に使われた技術は、すでに販売されているモデルに搭載されている量産レベルのセンサー技術を発展させたものだ。

メルセデス・ベンツでは安全な車間距離を維持する技術や、衝突を防ぐ自動ブレーキ、渋滞時に前走車を自動追従する機能などを、すでに量産モデルに搭載しているが、自動運転車に採用されたのは、こうしたすでに実用化されている技術をベースとしたもので、その意味で自動運転は技術的にはすでに可能な段階に入っていると言える。

自動運転に取り組んでいるのは海外メーカーだけではない。

国内では日産が電気自動車の『リーフ』をベースとした実験車両で自動運転の試験を行なっており、2014年6月には圏央道の開通パレードにも参加している。同社では2020年までの自動運転技術の市場投入スケジュールも発表しており、2016年末までに高速道路上で安全な自動運転を可能にする技術と、運転操作が不要な自動駐車システムを幅広いモデルに投入。2018年までには危険回避や車線変更を自動的に行う、複数レーンでの自動運転技術を導入、そして2020年までにドライバーの操作介入なしに、十字路や交差点を自動的に横断できる交差点での自動運転技術を導入するとしている。トヨタやホンダもナンバーを取得した実験車両で、公道での実証実験を実施中だ。

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▲日産『リーフ』の自動運転実験車両。高速道路や一般道など公道を使っての実験を行なっている。

ここまで紹介してきた技術は「高度自動運転」あるいは「完全自動運転」と呼ばれるもので、ドライバーは操作を行なうことなく運転とは無関係の行為をすることが可能な技術。将来的に実現すれば、移動中にスマホやタブレットを操作したり、本を読んだりといった行為も可能になる。

しかし、「部分自動運転」と呼ばれる技術は、すでに市販車両に搭載されているものも多い。

前述のメルセデス・ベンツだけでなく、国内メーカーでも多くのモデルが、高速道路で前車との車間距離を保って追従するシステムや、自動でブレーキをかけてくれる技術、それにハンドル操作を行なわなくても自動でハンドルを切って車庫入れをしてくれる技術などを搭載している。

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▲日産の「インテリジェントクルーズコントロール」では、前車が減速し、車間距離が狭まると自動で減速し車間を保つだけでなく、前車が加速するとそれに合わせて加速する追従走行も行なう。

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▲クルマを俯瞰で見下ろしているような映像をナビ画面で見られる「アラウンドビューモニター」を活用した日産の「インテリジェントパーキングアシスト」の画面。車庫入れしたい位置を指定すれば、最適なハンドル操作を自動で行なってくれるので、ドライバーはアクセル・ブレーキの操作と安全確認に集中できる。

こうした技術をみると、自動運転は部分的にはすでに実用化されていると言っていい。
メルセデス・ベンツがそうであったように、こうした技術を積み重ねれば高度な自動運転も十分に可能な段階となっている。

ただ、技術的に自動運転が可能だとしても、それだけですぐに自動運転カーが街中を走り出すわけではない。自動運転カーが実用化されるためには、法制度などの整備も必要となる。現行の法制度では日本でも欧州でも自動運転は認められておらず、アメリカの一部の州で認められている程度。こうした法の整備が実用化へのハードルとなっている。

もう1つは自動運転カーが事故を起こした際に、誰が責任をとるのか? という問題。
現状では、クルマが事故を起こした場合、車体に大きな欠陥がある以外は責任を問われるのはドライバーだが、自動運転カーの場合、その責任はどうなるのかはまだ不透明で、保険制度を含めた見直しが必要となるだろう。

そうした状況で、期待されているのが私有地である駐車場内に限った自動運転だ。特に海外では、ショッピングモールなどの広大な駐車場も多く、荷物を持ってクルマのところに行くよりはスマホなどから呼び出してクルマが自動で迎えに来てくれれば多くのユーザーが助かるはずだ。車庫入れの自動化はすでに実現しているが、次は車庫から出て迎えにくるところが自動化される番かもしれない。

交通事故の約9割が人為的ミスと言われる。自動運転カーは誤作動などを心配する声も多いが、少なくとも人為的なミスと比べれば、その起こる可能性はわずかでしかない。今後の自動運転カーの進化に注目だ。

(増谷茂樹)