ユーザー目線で徹底検証! 激安ノートPC「Chromebook」の実力とは?

ONLINEデジモノステーションでも何度か取り上げたGoogleの廉価版ノートパソコン『Chromebook』(クロームブック)が今年7月、ついに日本上陸を果たした。しかし、当初は法人および教育機関向けに展開するため、一般ユーザーはいまだに『Chromebook』に触れられる機会がない。そこで、米国向けの製品を編集部独自に入手し、そのハードウエアおよび使い勝手を一般ユーザーの目線からチェックしていく。

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今回紹介するのは、エイサーの『C720』というモデル。11.6型のワイド液晶を搭載し、USBポート2基、HDMI、SDカードスロットも用意され、一見すると通常のWindowsノートパソコンと見分けがつかない。しかし、ひとたび電源を投入すると、まずその起動の速さに驚かされる。ストップウォッチで計測したところ、わずか7秒。起動ボタンを押してちょっと目を離しているうちに、もう起動しているというわけだ。しかも、スリープからの復帰もほんの一瞬。ほとんど待たされることはない。

液晶の解像度は1366×768ドット。本モデルはタッチ操作に対応していないが、タッチスクリーン搭載モデルの『C720P』も存在する。ノングレア液晶はお世辞にも高品位とは言えない。ひと昔前のノートパソコンのようなコントラストの低さで輝度も暗く、視野角も狭い。クッキリとメリハリのあるグレア液晶に慣れた人は物足りないと感じるだろう。

キーボードは使いやすい。キーピッチは19mmとまずまずの広さで、キーストロークはやや浅めだが、剛性のあるボトムケースのおかげで打鍵感も心地よい。日本語入力プログラムは「Google日本語入力」を採用し、ショートカットキー設定は「ATOK」「MS-IME」「ことえり」などが選べるため、キーコンビネーションに戸惑うことはない。さらにタッチパッドはマルチタッチジェスチャーに対応している。例えば、三本指の上下スワイプで複数の画面をすべて見渡せたり、二本指でスクロールできたり、二本指の同時クリック(またはタップ)で右クリックメニューが表示できたり、とMacBookユーザーにはお馴染みのジェスチャーで快適に操作できる。

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▲米国向けモデルのためキーボードはUS配列になるが、日本語入力は問題ない。「F1」や「F2」といったファンクションキーはなく、「戻る」「進む」「リロード」といったChrome向けのキーや、フルスクリーン表示、液晶の輝度、音量といったキーが配置されている。ショートカットキーの多くは、Windowsと共通なので違和感を感じることはない。タッチパッドの手前半分がクリックボタンとして機能する。

●拡張性と周辺機器への対応状況

本体の左側面にUSB2.0ポート1基、左側面にはUSB3.0ポート1基を備える。USB接続のキーボードやマウスはもちろん、USBメモリーや外付けハードディスクも利用可能だ。しかし残念ながらインクジェットプリンターや複合機を接続することはできない。『Chromebook』から印刷を行なう場合、「Google クラウドプリント」というサービスに対応したプリンターが必要になる。印刷したい書類やWebページをまずはGoogleのサーバーに送信し、そのサーバーからプリンターが印刷データを受信・印刷するという仕組みだ。最近の機種なら同サービスに対応したモデルも多いが、非対応プリンターを使っている人には大きな障壁となる。

またHDMIで外部ディスプレイと接続できるので、デュアルディスプレイでデスクトップ画面を拡張したり、ミラーリングでプロジェクターに表示させてプレゼンテーションしたりといった、一般的なノートパソコンが持つ周辺機器との連携もひととおりカバーしている。

この他にBluetooth 4.0やWebカメラも搭載。Bluetoothはヘッドセットやキーボード、マウスが利用可能。個人的には、Bluetoothヘッドセット利用時に、AVRCPプロファイルが実装されていないせいか、再生・一時停止、スキップなどのリモート操作ができなかったのが惜しい。

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▲外付けハードディスクやUSBメモリーは、「Files」というファイルブラウザーに表示される。ファイルのコピー&ペーストなどの操作が可能だ。またGoogleドライブもこのブラウザーに表示され、あたかもローカルドライブのように扱える。

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▲SDカードスロットを備えているため、デジカメで撮影した写真データを『Chromebook』に取り込んで、各種オンラインフォトアルバムにアップロードするといった使い方もできる。

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▲「ディスプレイの設定」画面で、外部ディスプレイ接続時にデュアルディスプレイ表示にするか、ミラーリング表示にするか選べる。ディスプレイの解像度や位置も変更可能だ。HDMIなので、もちろん音声も出力される。

●操作性

『Chromebook』の操作性は、Webブラウザーの「Chrome」の操作性とまったく同じと言っていいだろう。普段からChromeを使っている人なら、なんの違和感もなく使えるはずだ。WindowsやMacといったプラットフォームを意識することなく、画面を開いたらChromeが起動しているだけだ。あとはいつも通りネットサーフィンをしたり、メールをしたり、SNSを楽しんだりするだけでいい。YouTubeはもちろん、Huluといった動画サービスも楽しめる。もちろんChromeユーザーでなくても、Internet ExplorerやFirefoxといったWebブラウザーに慣れた人でも使いこなせるはずだ。それほど操作性はシンプルになっている。

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▲画面左下の「Apps」アイコンをクリックすると、『Chromebook』にインストールされているアプリケーションの一覧が表示される。画面下を占有する、Windowsのタスクバーに似た「シェルフ」には、起動中のアプリが表示され、お気に入りのアプリケーションも登録できる。

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▲「Chromeストア」では、マイクロソフトの「Office Online」やフォトレタッチ、ゲームなど『Chromebook』向けのアプリも多数用意されている。ワンクリックでインストールできる手軽さも魅力だ。また、ネット環境がなくても利用できる「オフラインアプリ」のコーナーも充実している。

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▲複数のGoogleアカウントでログインできるマルチユーザー環境も魅力。1台の『Chromebook』を家族でシェアするといった使い方も可能だ。

実際に1週間ほど使い続けてみて「普段使いのパソコン」として十分だと筆者は思った。当初は「Chromeしか使えなくて大丈夫か?」と不安になったが、実際には困ることがほとんどなかった。そして、こちらが想像していたよりもずっとネットに依存した使い方をしているのだと痛感。パフォーマンスも上々で動作が緩慢になることはなかった。またスリープからの復帰も一瞬で、この感覚に慣れてしまうと元のノートパソコンに戻るのが厳しいほどだ。

そしてなによりも、これだけ快適に使えて低価格なのがうれしい。今回レビューした『C720』は米国で250ドル程度で売られているものだ。日本円でわずか2万60000円(2014年9月現在)。パソコンに予算を割けないライトユーザーには非常に魅力的な価格といえる。そういう意味では、法人&教育機関だけでなく、もっと幅広いユーザー層に向けて『Chromebook』が普及していくことを期待したい。

<スペック>
CPU:Celeron 2955U(1.4GHz×2)/メモリ:2GB/ストレージ:32GB SSD/ディスプレイ:11.6型(1366×768ドット)/IEEE 802.11a/b/g/n/バッテリ:約8.5時間/サイズ:W287.02×D203.2×H20.32mm/重量:1.25kg

(永井太郎)