ケータイジャーナリスト石野純也がスマホ最新機種が数多く発表された「IFA 2014」を総括する

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欧州では世界最大となる、家電見本市「IFA」が開催された。ここでは、年末商戦に向けたスマホが一挙に発表される。ウエアラブル端末が充実していたのも今年ならでは。そのトレンドを解説していく。

年末商戦に向け、フラッグシップモデルが続々登場

ドイツ・ベルリンで、世界最大の家電見本市「IFA」が9月5日から開催された。ここ数年、IFAは年末商戦に向けたスマホを多数発表する場になっている。スマホとタブレットの中間サイズを打ち出し、ペンによる入力で「ファブレット」のジャンルを切り開いた初代『GALAXY Note』は、ここで発表され、ソニーも追随。「Xperia」のフラッグシップモデルをお披露目する場がIFAとなっている。
今年のIFAも、その役割は変わっていなかった。開幕前に2日間設けられているプレスデーでは、サムスンが4代目となる『GALAXY Note 4』を発表。Sペンの認識する筆圧を倍増させ、ディスプレイも『isai FL』などが採用する“クアッドHD”に対応した、正統進化を遂げた1台に仕上がっている。ただ、直線的な進化だけでは、ユーザーにも飽きられてしまう。ライバルのスマホが次々と大型化する中、次の一手が必要となる。そこでサムスンが繰り出したのが、曲面ディスプレイを採用し、画面の端だけを曲げてショートカットを置ける『GALAXY Note Edge』だ。この形状ならフリップ状のカバーを使っても、新着情報をチェックできる。元々「紙のノート」をコンセプトに据えていた「GALAXY Note」だが、ディスプレイの曲がった部分は、ノートに付けたインデックスに近い役割と言えるだろう。
これに対してソニーは、『Xperia Z3』を発表した。「ソニーの総力を結集させた」(ソニーモバイル 代表取締役社長 鈴木国正氏)というだけに、カメラ、音楽、ゲームといった各種機能が強化されており、魅力的な1台に仕上がっている。カメラはレンズを刷新し、写る範囲をさらに広げ、広角25㎜を実現。音楽は、『Z3』単体でのハイレゾ再生に対応した。さらに、『PS4』の「リモートプレイ」に対応。「当面『Xperia』にエクスクルーシブしていく」(ソニー CEO 平井一夫氏)と言い、同シリーズの差別化の軸にしていく方針だ。フラッグシップの『Z3』だけでなく、その小型版の『Xperia Z3 Compact』や、ソニーモバイル初の8型タブレット『Xperia Z3 Tablet Compact』も発表。これらは日本市場への導入も予告されており、発売が楽しみだ。とは言え、スマホの進化の速度は、以前よりも緩やかになっている。「Xperia」は、5月に『Z2』を発売したばかり。デザインの変更や機能の強化はされているものの、以前のように1世代前とは別物と呼べるほどの目新しさはない。「GALAXY Note」についても同様で、スマホ自体が成熟期に差し掛かりつつある。

IFA 2014で注目のメーカーをレポート

● ソニーモバイルコミュニケーションズ

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▲25㎜の広角レンズを採用したカメラや、ハイレゾ再生対応の音楽機能が最大の特長となる『Xperia Z3』を発表。ソニーグループ連携の切り札として、Wi-Fi環境で『PlayStation 4』のゲームを遠隔操作できる「リモートプレイ」にも対応する。

● サムスン

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▲3年前のIFAで発表され、ファブレットの流れを作り出した「GALAXY Note」が正統進化。Sペンの操作性を強化するとともに、ディスプレイをQuad HDに対応させ精細感が増した。同時に、曲面ディスプレイ採用の『GALAXY Note Edge』も発表した。

ウエアラブル端末で広がるスマホ体験

こうした状況の中、各社が力を入れているのがウエアラブルだ。ソニーは『SmartBand Talk』と『Smart Watch 3』の2機種を発表。「ライフログを軸に、スマートフォンの新たな体験を作っていきたい」(ソニーモバイル シニアバイスプレジデント 田嶋知一氏)と言い、ウエアラブルをスマホの体験を広げるためのツールと位置付けた。前者はリストバンド型で、電子ペーパーのディスプレイを搭載して、ヘッドセットのように通話にも使える商品。後者はOSに「Android Wear」を採用し、腕で通知を受けることができる。「Smart Watch」はこれまで2機種発売しているが、OSをAndroid Wearに変えたことで、「エコシステムの規模が一気に広がる」(同)期待が持てる。ディスプレイだけを簡単に切り離せる仕様で、アパレルブランドなどがバンド部を作るといったコラボも可能にした。
同様に、IFAではスマートウォッチの発表が相次いで行なわれた。LGは円形ディスプレイを採用し、「クラシカルな時計を追求した」(LG担当者)という『G Watch R』を公開。ASUSも、メタルやレザーをふんだんに用いた『ZenWatch』を披露している。
一方で、TizenというOSを自社で主導するサムスンは、3Gの通信対応の『Gear S』を用意。IFAの展示会場では、BMWのエアコンを遠隔で入れたり、ロックを外したりといったデモを行なっていたが、腕時計に通信が入ればわざわざスマホを鞄やポケットから出す必要なくこれらの操作が可能。こうした利用シーンをどこまで実際に広げられるかが、普及の鍵になりそうだ。
しかし、ウエアラブルは「何がヒットするか見えていないところでの競争、トライアルの段階」(平井CEO)。IFA会期中、米国で発表された『Apple Watch』も含め、どこが勝者になるのかはまだ未知数だ。

IFA 2014で注目のウエアラブル端末をレポート

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▲スマホの体験を広げるデバイスとして各社が注目しているのが、ウエアラブルだ。IFAではAndroid Wear採用のスマートウォッチを、ソニー、LG、ASUSが発表。対するサムスンはTizen採用で3Gの電話、通信が可能な『Gear S』を投入する。

取材・文/石野純也


石野純也 プロフィール
出版社勤務時代に数々のケータイ関連誌を立ち上げた後、ケータイジャーナリストへ転身。昨秋は電子書籍「ソーシャルゲームの最新トレンド!」(KADOKAWA)を上梓した。