時計の達人が伝授、電波時計の価値と選ぶ理由とは

携帯電話の普及とともに、いつしか腕時計から遠ざかっている人も多いのではないだろうか。そんな中、メンテナンスフリーで正しい時を刻む電波時計の機能美が今、注目を集めている。大人の男にふさわしい電波時計の選択基準を、腕時計ジャーナリストである並木浩一氏が語る。

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「腕時計をつけるのが面倒くさい、煩わしい」「スマートフォンで十分」という理由から、腕時計から遠ざかっている人は少なくないでしょう。そんな理屈に対する最終最後的なソリューションが、“ソーラー電波時計”です。

最大の利点は電池交換の必要もなく、時刻合わせも自動のメンテナンスフリーであること。つまり「時刻を知る」というニーズに対して、コンマ秒以下でソリューションを提供するデバイスと言えます。

では、どんな電波時計を選ぶべきなのか。腕時計の世界で、最も進化のスピードが速いのが電波時計です。進化が速いということは新製品・新機能の陳腐化も、腕時計の常識で考えると途方もなく速いのです。だからこそ、選ぶポイントの筆頭は「最新バージョンを買う」ということに尽きるでしょう。型落ちの店頭在庫など、いくら割引されていても無視すべきです。

電波時計の進化のベクトルは「新機能の搭載」「多機能化」と「省電力」にはっきりと向いています。大半がソーラーパワーを利用するのに「省電力」にこだわるのは、効率良くパワーを消費することで、さらなる新機能を搭載できるからです。

また、電力消費を少なくすれば、より太い針を使うことができます。デザインの選択肢と可能性も、技術によって変わってくるわけです。根幹技術である、効率の良いエネルギーの取得と消費が何より重要です。

今シーズンは、GPSソーラー電波の進化が目覚ましい当たり年ですので、一番食指が動くのがこのカテゴリでしょう。GPSソーラー電波は、いわゆる電波時計に加えて、人工衛星からの信号を受信します。その衛星電波の受信スピードが格段に向上し、「3秒で受信」が当たり前になった。

これが威力を発揮するのは海外に行った時です。面倒な時差計算も針合わせも、数秒で可能になる。そもそも電波時計は、「時刻が合っていて当たり前」なので、ありがたみはどんどん希薄になっていくのですが、その「当たり前」が覆るのが海外渡航時、しかも地上電波がカバーしていないエリアに行った時です。その不便を一気に解消するブレイクスルーです。

現在、GPSソーラー電波時計の第一線を走っているのは日本メーカです。各社とも基本的なニーズを満たしていますが、ざっくり言えば「ニーズを生み出すセイコー」「ニーズにきめ細かく応えるシチズン」「ニ達人が教えてくれた、おすすめのソーラー電波時計3モデルズの先を考えるカシオ」といったポリシーの違いが見える気がします。

言い換えれば「時計そのものを変革しようとするセイコー」「時計としての進化を志向するシチズン」「未来を時計の形で表現するカシオ」という違いでしょうか。各社のおすすめモデルは、下記の3製品。

GPSレシーバーは非搭載ですが、Bluetooth® SMART対応によりスマホと連携する、カシオの『エディフィス EQB−500』にも注目しています。スマホが先に捉えた現地時刻を利用し、ワンプッシュ自動時刻修正できる。世界どこでも、スマホを持っていくのは当たり前の時代に、これはまさにスマートなアイデアかと思います。

電波時計は高価なモデルが多いため、購入後のメンテナンスを気にされる方も多いでしょう。腕時計の内部は素人では手を出せませんが、逆に外側は、素人である持ち主だけが毎日ケアできるところです。時計の敵は汗、高温、強い磁力(クォーツでもモーターがあるので)、酸、海水、砂など。ですから、基本は「使ったら拭く」。防水時計なら、中に水が入らないように注意しつつ、優しく洗うといったところでしょう。長期的なケアは、時計のプロ(販売店)に相談してください。

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シチズン『エコ・ドライブ サテライト ウエーブ F100 CC2001-57A』(価格=税別17万円)
日本マイナス15分を設定するオーストラリアの非公認タイムゾーンをカバー。これぞジャパン・テクノロジー。

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セイコー『ASTRON SBXB003』(価格=税別24万円)
ケース径を2.4㎜サイズダウンしクロノグラフ機能を新搭載。ザラツ研磨で美観も優れた「ASTRON」第二世代。

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カシオ『オシアナス OCW-G1000-1AJF』(価格=税別20万円)
鳴り物入りで登場する最新鋭機。技術面だけでなくルックスもより腕時計らしい「フルメタル」。ただひと言、格好いい。


【並木浩一】
桐蔭横浜大学教授、腕時計ジャーナリスト。京都造形芸術大学大学院博士課程修了、博士(学術)。1961年横浜生まれ。ダイヤモンド社編集委員を経て現職。