“レトロ”で“最新”高級コンパクト『FUJIFILM X30』

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銀塩カメラ風のレトロデザインを採用した高級コンパクトカメラ。昨年発売した『FUJIFILM X20』の後継機にあたり、光学式ファインダーを電子式ファインダー(EVF)に変更したほか、液晶モニタのチルト可動化と大画面化、撮影機能の強化などを実現している。
撮像素子には、ローパスレス構造の「X-Trans CMOS II」センサーを搭載。センサーサイズは2/3型で、有効画素数は1200万画素となる。同じ「X」シリーズでも、APS-Cサイズのセンサーを搭載した『X100S』や『X100T』に比べると、やや小さいセンサーを採用することで、機能と画質、操作性のバランスを図っている。

■基本機能をチェック
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明るい光学4倍 ズームレンズも自慢

レンズには、前作から継承した光学4倍ズームを搭載。開放値はF2〜2.8と明るく、暗所でも感度をあまり高めずに撮影できる利点がある。

デュアルリングなどで撮影設定を自在に変更

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鏡胴部には、電源の働きを兼ねた手動式ズームリングと、カスタマイズ可能なコントロールリングを装備する。

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背面のコマンドダイヤルでは、メニュー選択や再生コマ送り、クイックメニューの設定値の変更などが行なえる。

ボタンカスタマイズなどで自在にクイック操作

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天面には、金属の削り出しの高品位な露出補正ダイヤルを装備。背面のボタン類には適度なクリックがあり、押しやすい。

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背面のQボタンを押すと、クイックメニューが表示。各種の設定状態を確認でき、必要に応じて値を即座に変更できる。

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驚きの大型EVF搭載

236万ドットの有機ELファインダーを装備。自動明るさ制御に対応し、シーンに応じて明るさを自動で最適化できる。

カメラの向きを横位置から縦位置に変更すると、ファインダー内に表示されるシャッター速度などの各種情報も自動的に回転する。

■画質チェック
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新しいフィルムシミュレーションの「クラシッククローム」で撮影。その名称が示すように古い時代のカラーフイルムを連想させるような雰囲気となる。発色は控えめで、彩度の強調はほぼない。適度なコントラストを保ちつつ、低彩度ながら重厚感が漂う表現が得られる。

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最近は1.0型以上の大型センサーを搭載した高級コンパクトが増えているので、本機の2/3型というセンサーサイズはスペック的には少々もの足りなさが残る。とは言え、実際の撮影画像からは、クリアな発色と滑らかな階調性、実用十分な解像感が感じられ、特に不満はない。

■結論
まず気に入ったのは、硬質な金属感とメカっぽさが際立つ高品位な外観デザインだ。外装は、天面と底面がマグネシウム合金で、前面から両側面、グリップ部にかけてはラバー素材を配置。ラバー表面にはシボ加工が施され、手に取ると心地良い触感が伝わる。サイズは手の平にギリギリ隠れるくらいで、コンパクトカメラとしては少々大柄だ。とは言え、手が大きな筆者にとっては、これくらいがちょうど良い。
新搭載した電子ファインダーについては、まずまずの見やすさだと感じた。表示の精細感は高く、表示サイズはコンパクトカメラとしては広め。必要に応じて、水準器やグリッド、距離指標、被写界深度といった情報をファインダー内に細かく表示できることや、カメラの向きに合わせて表示の縦横を自動回転できる点、アイセンサーで背面モニタとの切り替えがスムーズな点なども便利だ。惜しいのは、AF駆動の際に表示が一瞬静止すること。それ以外の視認性は悪くない。
機能面では、同時期発売の最新モデルで採用が始まった新しいフィルムシミュレーションモード「クラシッククローム」を面白いと感じた。これを選ぶと、発色はわずかに黄色っぽく、彩度は抑えめになる。トーン描写は、シャドウ部の黒をきっちりと締めながら、つぶれることなく、暗部から中間調までを階調豊かに再現できる。少々地味な色であり、パッと見のインパクトは乏しいが、渋くて味わい深い印象を生み出せる色と言っていい。雰囲気重視の風景やスナップ用に積極的に使いたいモードだ。
操作面では、レンズの付け根部分に新設したコントロールリングによって、絞りやシャッター速度をダイレクトに変更できる点と、背面十字キーの操作でAF測距点をスムーズに切り替え可能になったことが便利だ。前モデルから引き続き、手動ですばやくズーミングができる点も使いやすい。ただし、ズームリングの回転で電源オン/オフを行なうギミックについては個人的にはなじめなかった。
トータルとしては、趣味と実用を兼ね備えた製品であり、前作に比較して完成度は飛躍的にアップしている。

■『FUJIFILM X30』をおすすめな人は?
フイルム風の発色を楽しみたい人に

前モデルからファインダーやモニタを改良したことで、操作感が大きく向上。撮影可能枚数の増加やカスタマイズ性の強化など、細部にもブラッシュアップが施されている。「クラシッククローム」を始めとする多彩なフィルムシミュレーションモードを活用して、色にこだわった撮影を楽しみたい人には特におすすめできる。

富士フイルム
FUJIFILM X30

実勢価格:6万9650円

サイズ:W118.7×H71.6×D60.3mm 重量:423g 撮像素子:2/3型CMOSセンサー 有効画素数:1200万画素 液晶モニタ:3.0型液晶(約92万ドット) 光学ズーム:4倍(f=28〜112mm相当) 解放F値:F2.0-2.8 手ぶれ補正機構:レンズシフト式 シャッター速度:1/4000~30秒 ISO感度:100〜12800相当(拡張含む) 連続撮影枚数:約470枚 記録メディア:内蔵メモリ(約55MB)、SDメモリーカード(SDXC対応)

文・作例/永山昌克 撮影/江藤義典