2015年、ハイレゾはほんとに普及期を迎えられるのか?

2014年で確かに流行し、一般ユーザーでもその言葉を知っているほど認知度を上げた「ハイレゾ」。しかし、その先の“普及”に至れるかは、この2015年が大きな分岐点となる。オーディオライターの野村ケンジ、音楽ライターの油納将志、デジモノステーションオーディオ担当の玉造優也で、ハイレゾを取り巻く環境がこの先1年でどのように変化していくのか話し合ってみた。

*     *     *

油納 「ウォークマン」がハイレゾ対応したことで、14年はオーディオマニア以外にもハイレゾが流行しましたが、実際のところ圧縮音源を入れて楽しんでいる人がかなり多いんじゃないでしょうか?

玉造 確かに僕も使っている『NW-F887』に圧縮音源を入れていますね。僕は意識的に「ハイレゾ対応」だからこのモデルにしましたが、ただ「ウォークマン」が欲しくてという人だったら圧縮音源主体になるかもしれませんね。

油納 うーん、だったらせめてハイレゾ音源をアルバムでプリインしておいて、購入者がすぐにハイレゾ音源を試せるようにはしてほしいですね。せっかく「ウォークマン」を持っていてもハイレゾを聴いていないのでは意味がないので……。

野村 そう、当然ですがまずは聴いてみないと良さがわからない。入門機なら、やはりハイレゾらしい音質差がわかりやすいタイトルが入ってあるべきだし。ただ、売れているハイレゾ音源というのは価値があると感じたらちゃんとお金を払うという行動に慣れている人が好むジャンルが売れている。ジャズしかり、クラシックしかり、そしてアニソンも。

玉造 よく言われる「音楽をお金で買わない人たち」にお金を払って楽しんでもらうようにするには、ハードのプリインも効果的でしょうが、より若い年代に幅広く響くタイトルの増加など、根本的な市場拡大が必要というのも否めないですね。

野村 中高生はまだハイレゾ音源を買うには金銭的に難しいかもしれませんが、いざ聴きたくなった時に聴けるような、スマホのハイレゾ化などの環境作りも大切です。

玉造 環境の話で言うと、スマホからのダウンロード購入には配信サイト全てが対応してほしいと思います。また、先日「ディーガ」が対応したようにホームオーディオ環境でも手間をかけずにハイレゾを聴けるようになっていくと、もともとホームオーディオには理解のある層が、ハイレゾ音源を聴きたいと思っていくんじゃないかな、と思います。

油納 音楽業界にいる立場として最近良く考えるのは、これからは買う買わないを別にして、定額配信サービスとハイレゾ音源がどう違うのかを認識してもらうことが必要だということ。個人的には、圧縮音源は販売よりも定額配信のみになっていき5年後くらいになると、お金を出して1曲1曲を買うのはハイレゾだけになる気がします。

野村 個人的には10年後もCDを始めとするパッケージは存在しているでしょうが、圧縮音源というのはほぼなくなっている気がしますね。ネット上で扱われる音楽はレコーディングした時の状態で聴くことができる、それはつまりハイレゾなんですが、そういう状況ではもはやハイレゾという呼ばれ方はされていない気もします。

玉造 ハイレゾという言葉がなくなるくらい「浸透」するように普及するのか、または圧縮音源、CD、ハイレゾというレイヤーに分かれてあくまで選択肢の1つとして普及していくかは、来年あたりからの動きによって左右されていきそうですね。

油納 最後に、配信サイトにぜひやってほしいのが、ヒット曲を集めたり、またオーディオ評論家が録音の良い曲を集めたりした「コンピレーション化」。何を買えばいいかわからない人は変わらずいるので、わかる人が集めた音源やミュージシャンによるレコメンドがあれば一つムーブメントになるんじゃないかな。

2015年、普及のためにしてほしい3つのコト

1.お試しハイレゾアルバムを同梱した入門機の登場

news20141217_01

ハイレゾを知らない、または知っていても未体験のユーザーが聴き比べるために、ハイレゾ音源と圧縮音源で「同じアルバムを丸ごと」プリインストールした低価格モデルが欲しいところ。さらに欲を言うと、複数ジャンルのアルバムが入っているのが望ましい。

2.音源を自動ダウンロードする環境の整備

news20141217_02

「ディーガ」の2014年秋モデル4機種が、スマホやPCで購入したe-onkyo musicの楽曲を自動的に「ディーガ」にダウンロードする機能に対応。「ディーガ」に転送&保存された音源は、DLNA対応のネットワークオーディオ機器から再生できる。今後はホーム/パーソナル共に自動ダウンロード環境が進んでいくだろう。

3.未経験者に対する選曲の提案

news20141217_003

現在、ハイレゾ音源はアルバム単位で販売されているが、普及のためにはコンピレーションの存在が欠かせないように思われる。ミュージシャンによる選曲のコンピや、ハイレゾと非ハイレゾ楽曲の聴き比べができるようなコンピなど、作品だけの魅力だけでなく企画力が加わることでさらなる普及が期待される。