カメラのスタンダードに!? 森永卓郎が“本当の意味での3D”と太鼓判を押すカメラとは

撮影した後に最前方ピン、後方ピンといった再フォーカスが可能となる画期的なシステムを採用したカメラが昨年12月ついに発売された。カメラ、デジタルガジェットにも造詣が深い、経済アナリスト・森永卓郎氏はこのシステムがカメラのスタンダートになっていくのではないかと推測する。

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撮影後にピントを変えられるカメラ「LYTRO ILLUM(イルム)」が発売されました。20万円を超える高価格なので、すぐに普及するとは思いませんが、私は、とても興味をひかれています。それは、これが本当の3Dで、将来的に写真のスタンダードになっていくのではないかという気がしているからです。

私自身も仕組みが完全に分かっているわけではないのですが、仕掛けはこんな感じです。イルムには通常のデジカメと同じように単眼のレンズがついています。しかし、それは覗き穴のようなもので、その奥にはマイクロレンズがびっしり並んでます。このマイクロレンズを通した光が、CMOSセンサーに記録されるのです。ですから、上下左右にレンズがたくさん並んでいるというのが、イルムの正体です。

たくさんレンズがあると、どの方向から来た光かを区別することが可能になります。そのため、撮影後に専用のアプリケーションを使って、ピントを変えることができるのです。異なる方向からやってきた光を組み合わせることで、後付けで焦点を結ぶことができるからです。ピントが変えられる点ばかりが話題になっていますが。イルムは、視線を変えることも、被写界深度を変えることもできます。

これまでの3Dカメラでも、奥行きを感じることはできましたが、それは一点を見つめた時の風景の再現でした。しかし、イルムの創り出す世界は、頭を動かすことはできないけれど、どこを見つめて、どこに焦点を当ててみるかというところまで含めて、再現することができるのです。私はこれこそが、本当の意味での3Dなのだと思います。

昔、コニカが自動焦点カメラを発表した時に、「そんなことができるのか」と心底驚きましたが、今では、それが常識になりました。同じようなことが、デジタルカメラの世界でも起きるのではないでしょうか。写真は、3Dのデータで保存しておいて、2次元が欲しいと思ったら、必要に応じて、適切なピントや被写界深度や視線で切り出す。そうした時代がやってくるのではないかと思います。できれば、イルムの世界を映し出す立体型の3Dモニタが出てくれば、いいなと思います。

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加賀ハイテック/ライトロ『LYTRO ILLUM』(実勢価格=21万3840円)。一眼カメラのように撮影し、撮影後にピント合わせが可能という新発想のカメラ。絞りはF2固定、光学8倍(f=30~250mm)。撮影後はブラウザにアップ後、動画のようにフォーカス画像を楽しめる。