ハイレゾをポータブルで楽しむ理想のプレイヤー『ウォークマン NW-ZX2』

review20150225_1

前機種『NW-ZX1』からイメージを一新したブラックボディは、剛性を高めるため肉厚にした切削アルミ仕様。トレードマークである隆起した背面下部には、大型コイルや「OS-CON」など、多数の高品位パーツを格納するアンプブロックを搭載している。高音質を求めた設計コンセプトは変わらずも、その質はさらに徹底されている。
細かな前機種からの変更点は多く、microSDスロットや新規格「LDAC」の採用に加え、DSD 5.6MHz/1bit音源対応などハイレゾスペックの拡充にも成功。反面、音質向上技術「DSEE HX」や、フルデジタルアンプ「S-Master HX」など音質のコア機能は引き継がれた。

■基本機能をチェック

厚みを増したブラックボディ

review20150225_2
切削アルミフレームによる高剛性ボディは、手にした時のフィット感にも優れている。ボタンデザインもスマホっぽいなじみやすいものに変更された。

microSDカード対応

review20150225_3
最大128GB対応のmicroSDカードスロットを1基搭載。PCとのUSB接続を都度行なわずに、容量の大きいハイレゾ音源を入れ替えられるように。

新Bluetooth規格「LDAC」採用

review20150225_4
従来に比べて最大約3倍の情報量を伝送できる独自の高音質コーデック「LDAC」に対応。さまざまな音源を高音質でワイヤレスリスニングできる。

■NW-ZX2の音質設計

ピュアで安定度の高い再生力を生む細部設計

アルミブロック削り出しのシャーシは、ボディ剛性を向上させて余分な振動を排除するとともに低インピーダンス化を求めたもの。これによってノイズバランスを刷新、特にノイズレベルの低減を実現した。電源部に搭載した「OS-CON」コンデンサーは、『NW-ZX1』の4基から7基に増加。パワーと質の両面を改善している。また、「高純度無鉛高音質はんだ」の採用は、「NW-A10」シリーズから使われ始めた手法だが、これにより自然なバランスのサウンドを獲得した。

review20150225_5
「S-Master HX」と周波数特性が良く、ノイズの少ない電気を供給する「OS-CON」。前機種からその数を4基から7基に増やし安定度がさらに向上された。

review20150225_6
フレームの中心部に抵抗率の低い銅板を採用。その銅板に金メッキを施すことで、結合するアルミフレームやオーディオ基板との間の接触抵抗が最小化され、クリアで力強い低域再生を導き出している。

review20150225_7
何千カ所にもおよぶ部品接続用の「はんだ」に、ハイエンドオーディオで使用される独自開発の「高純度無鉛高音質はんだ」を採用。全音域において、自然なバランスを生み出す。

■音質チェック

review20150225_8
ボルティモア交響楽団, マリン・オールソップ
『ドヴォルザーク:交響曲第6番/第9番「新世界より」』
#5「ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 – 第1楽章」
価格:1440円(e-onkyo music、moraにて販売) ナクソスジャパン
(音源形式)WAV/FLAC 96kHz/24bit
(ジャンル)クラシック

艶やかできめ細かな表現の弦楽器が印象的。「S-Master HX」ならではのキレの良さも手伝い、演奏がとてもリズミカルに。金管楽器の音色も良好で、フルートは伸びやかさと煌びやかさを併せ持つ。低域は、もう少し締まりが欲しく感じた。

review20150225_9
Nobie, “Especial” band
『”Especial” Live @ praca 11 Special Edition』
#1「Tombo in 7/4」
価格:4115円(e-onkyo musicにて販売) amp’box
(音源形式)WAV/FLAC 96kHz/24bit DSD 2.8~5.6MHz/1bit
(ジャンル)ジャズ

PCM変換で再生されるものの、歪みの少ないピュアでダイレクト感の高いDSDサウンド。空間表現も良好で、定位感も抜群だ。おかけで、ライブハウスにいるようなリアリティが楽しめる。ボーカルのいきいきとした歌声もすばらしい。

review20150225_10
ナノ
『Rock on.』
#8「INFINITY≠ZERO」
価格:2592円(e-onkyo music、mora、VICTOR STUDIO HD-Music.にて販売) Victor Entertainment Inc./FlyingDog
(音源形式)WAV/FLAC 48kHz/24bit
(ジャンル)J-POP

シンプルな演奏が、本機のキャラクターとマッチした。この曲でもキレの良い、躍動感に富んだ演奏が聴けて好印象。ボーカルはみずみずしさが増し中性的なイメージが際立った。ギターの音色もたっぷりとした厚みを持ち心地良い。

review20150225_11
fhána
『Outside of Melancholy』
#1「Outside of Melancholy~憂鬱の向こう側~」
価格:6048円(e-onkyo music、mora、にて販売) Lantis
(音源形式)WAV/FLAC 96kHz/24bit
(ジャンル)アニソン

高域のヌケ、ギターの厚みの表現に優れ躍動感あふれるサウンドが楽しめる。しかし製品と楽曲との相性の問題だが、低域の量感は十分なもののフォーカス感の甘さが目立った。また、解像感は高いが付帯音が残っているのも気になった。

音質の総評

音楽ジャンルにおいて全方位で死角なしの圧倒的完成度

サウンドキャラクターに関しては、『NW-ZX1』や「NW-A10」シリーズに比べて圧倒的な“ノンジャンル”さを持ち合わせているのが『NW-ZX2』の特長。J-POPやハードロックからジャズ、クラシックまで、幅広いジャンルの楽曲を存分に楽しめる。音質傾向では低域のクセが強いことは気になったが、全体としてはハイレゾならではの緻密で上質な表現を、しっかりと伝えきれる文句のない完成度。万人におすすめできる魅力的なサウンドだ。

中高音域の質感 9/10
低音域の質感 8/10
音の広がり 9/10
解像感 10/10
ノイズバランス 10/10

■使い倒しインプレッション

史上最高峰と呼ぶにふさわしい、ハイレゾ時代の新たな象徴となる「ウォークマン」が誕生した。
ボディをアルミの塊から削り出し、ベースシャーシに金メッキ銅板を使用するなど、音質重視の高品質パーツをふんだんに採用。電源部も強化され、7基に増設した「OS-CON」コンデンサーや電気二重層キャパシタ、専用設計されたリチウムイオンバッテリー&コントローラーなど、前機種『ウォークマン NW-ZX1』で培ったノウハウを注入している。それらの作り込みでポータブル環境でもハイレゾ音源のハイクオリティを存分に堪能できるレベルを目指したのが、この『NW-ZX2』だ。
その音質レベルは『NW-ZX1』と大きく差がつく。ハイレゾ音源ならではの広がり感の大きい空間表現やボーカルの実在感などが、はるかにブラッシュアップされている。
ちなみに音色傾向としては、(『ウォークマン』として)これまでに類のないリアル志向で、素直なキャラクターを持ちつつも、「ウォークマン」らしい、キレが良く躍動感に富んだ表現も持ち合わせている。
これまで耳の肥えたオーディオファンから、「『S-Master HX』ならではの快活なサウンドがどうも苦手」という声もあがっていたが、これだったら大いに魅力的に感じられるはず。懐の深いサウンドキャラクターと言えるだろう。
手に取った時の上質感あふれる外観も、『NW-ZX2』ならではの特長。このような高級プレイヤーでは、音質的なクオリティを徹底追求した末にかなりの重量になってしまうものも少なくないが、本機は重からず軽からず、確かな手ごたえを感じる凝縮感と存在感をキープしている。
また、ポータブルヘッドホンアンプ『PHA-3』と共通する外観デザインは、『NW-ZX1』や「NW-A10」シリーズなど、ほかのモデルとは一線を画すシックな雰囲気だ。まさに、ハイエンドモデルならではの上質さと気品を携えている。
総合的には、音質も佇まいもフラッグシップと呼ぶに相応しい製品だと感じた。音質とのトレードオフで『NW-ZX1』よりも大柄なボディサイズとなったが、それも含めて強い存在感を示す、完成度の高いモデルだ。

■結論

ポータブル環境を極めたい人に大推奨

音質、機能、外観を総合して一切文句の出しようがない。フラッグシップだから当たり前だ、と思うかもしれないが、機能が音質にとってのノイズになることが多いのにも関わらず、このトータルバランスを実現するのは極めて稀なこと。その音質を保ちつつ、ポータブルの域を脱しない重量に仕上げているので、もはや見事の一言に尽きる。

■スペック
対応音源形式:PCM 最大192kHz/24bit/DSD 最大5.6MHz/1bit(再生時はPCM変換される) サイズ:W65.1×H131.2×D18.5mm 重量:約235g メモリ:内蔵128GB、microSD×1(最大128GB) 液晶サイズ:4.0型 連続再生時間:約43時間(FLAC 96kHz/24bit再生時) 充電時間:約4.5時間(USB) Bluetooth:対応(LDAC対応) Wi-Fi:対応

文/野村ケンジ、油納将志 撮影/松浦文生