新生VAIO1号機、開発者に魅力を聞いてみた

昨年7月にソニーから独立する形でPC事業をリスタートさせたVAIO株式会社。これまでは「VAIO Pro」などの既存製品を継続販売していたが、今春、ついに待望の新モデルを投入する。新生VAIO株式会社の記念すべき1号機となった「Z」シリーズの魅力の真髄について、開発者に聞いてみた。
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真似できないこだわりが凝縮された新しい「Z」

――まず、今回の「Z」が生まれた背景について教えてください。

黒崎 昨夏、VAIO株式会社のスタートにあたり、これからの製品開発をどの方向に進めていくかという議論がありました。その際、使い勝手をある程度妥協しても手軽さを追求したコンパクトなタブレットなど、いろいろな案が出たのですが、最終的にはPCをPCらしく使っている方に“完璧な道具”を用意することこそが我々の使命であり、強みだという結論に。創業直後に一部のお客様を対象に行なったアンケートでも「Z」を望む声が圧倒的でした。

笠井 新たに2in1という形状を選択したのは、お客様に提供できる“価値”を妥協なく凝縮したものが「Z」であるという信念から。なお、ここで誤解していただきたくないの
が、キーボードモード=生産性重視、タブレットモード=手軽さ重視という意味でこの形状を選んだのではないということ。前者はもちろん後者も“生産性重視”なのです。ペンとリアカメラでユーザーの作業効率向上をとことん追い求めています。

――生産性重視にあたり、「Z」が特にこだわったのはどこですか?

黒崎 こだわりだらけなので、どこから話せば良いのか悩んでしまうのですが(笑)、まずは“レスポンスの良さ”でしょうか。CPUやSSDなどのパフォーマンスを追求したのはもちろんのこと、指に対するレスポンスという点でキーボードに、目に対するレスポンスという点でディスプレイの品質にもこだわりました。

笠井 レスポンスが良いというのは、お客様にとって普遍的な価値。速ければ速いほど良いと考えています。もっとも、多くの部材が共通化されているPCで他社に先んじるのは簡単ではありません。しかし、それを長年やってきたのが「VAIO」です。10年以上に渡る蓄積が、新しい「Z」にもいかされています。そしてその上で、新会社ではソニー時代には踏み込めなかった領域にも踏み込めるように。大きな会社ではできなかった、より小回りの利いた開発が行なえるようになりました。

――それが今回の製品にいきた具体的な例を教えていただけますか?

笠井 例えばキーボードですね。実は今回、キーボードを最終試作の段階で製造メーカーごと変更するということをやりました。当然ですが、大きなメーカーではとてもこんなことはできません。承認を得るためのプロセスが長すぎますし、何より会社全体の方針がありますから、PCチームだけのこだわりを押し通すなんてことはできなかったんです。

――それは多くの大企業が抱えている問題でもありますよね。

笠井 ほか、クリックパッドやSDカードスロットなど、あらゆるところを最後まで細かく調整しています。修正が必要な時、現場レベルで即断即決できるようになったのは大きかったですね。協力会社の皆さんにも面白がっていただき、結果、ほとんどがカスタムパーツという恐ろしく贅沢な内容に。ここまで作り込むのにどれくらいの開発費がかかったか教えて差し上げたいくらいですよ(笑)。その違いは、一度手にとっていただければ伝わるはず。あえて断言しますが、こんなPCは我々にしか作れません、絶対に。

黒崎 PCにここまでの完成度は必要ないと考える人も多いと思います。“これまで通り”の作業をしたいという方にはこれまで通りのPCでも良いでしょう。しかし、“これまで以上”の仕事をしたいと考えている方には、ぜひともこの新しい『VAIO Z』を手にとっていただきたいですね。先進的なツールには、自己を革新に導く力があります。実際に「Z」に触ってみて、新しいことに挑戦したいと思ってもらえたらそれに勝るよろこびはありません。

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(写真左)設計 VAIO株式会社 笠井貴光氏/本機プロダクトマネージャーとして、企画、設計、デザインなど全ての部署を統括。(写真右)企画 VAIO株式会社 黒崎大輔氏/『VAIO Z』では商品企画を担当。東京オフィスで製品の方向性を吟
味・決定した。

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VAIO『VAIO Z VJZ13A1』(実勢価格=税別18万9800円~)。13.3型ディスプレイを搭載したスリムモバイルノートPC。出先でもオフィス同等の生産性を求めるビジネスユーザーをメインターゲットに、彼らが欲する全ての性能を高密度に凝縮させた。
【スペック】
CPU:Core i5-5257U(最大3.1GHz 2コア) メモリ:8GB HDD:128GB SSD ディスプレイ:13.3型 2560×1440ドット サイズ:W324.2×H15.0~16.8×D215.3mm 重量:約1.34kg インターフェイス:USB 3.0×2、SDカードスロットなど カメラ:リア799万画素、フロント92万画素 通信:IEEE802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.0 バッテリー駆動:約15.5時間(JEITA 2.0)※製品スペック及び実勢価格はは最小構成時のものです。

[Check Points]

【充実したインターフェイス】
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薄型・小型ながら、拡張性にも一切の妥協なし。2基のUSB3.0ポート、HDMIポートを本体側面に配置。SDメモリーカードスロットも用意されている。

【マルチフリップ機構採用】
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ディスプレイが背面パネル中央部を支点に180度回転する独自機構を採用。画面だけを露出させたタブレットモードでもキーボード部分が露出しない。

【こだわりの操作ボタン類】
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タブレットモード時のみアクセス可能な位置に音量調整ボタンを配置。キーボードを隠した状態でも物理キーで即座に音量調整できるようにしている。

【打鍵感良好なキーボード】
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キーキャップ裏のツメと、可動部金型の加工精度を極限まで高めたことで、打鍵感を劇的に向上。パシャパシャという耳障りなノイズを低減している。

【専用ペンの書き心地も抜群】
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ディスプレイに直接描き込めるタッチペンが付属。筆圧カーブ調整機能を新開発し、ユーザーの好みに合わせた書き味にカスタマイズできるようにした。

【高画質内蔵8メガカメラ】
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本体背面カメラは一般的な高精細でクリアな撮影が可能な“ExmorRS for PC” CMOSセンサーを採用。ドキュメントスキャンアプリもプリセットされる。

文/山下達也(ジアスワークス) 撮影/松浦文生