キヤノンがラインナップを一新!今春の一眼レフ市場の動きは?

人気ミラーレスカメラと切磋琢磨しつつ、こちらもむしろ大きく伸長している一眼レフ市場。特にこの春はキヤノンがラインナップを大幅拡大しており、ミラーレスカメラ同様、選択の幅を拡げている。

そんなキヤノン新ラインナップの中で、特に注目したいのが同社初となる5000万画素級フルサイズセンサーを搭載した『EOS 5Ds』。ハイアマチュアに絶大な人気を誇る『EOS 5D MarkIII』をベースに、待望の超高画素化を果たした。

また、これをローパスフィルターレス化(キヤノン初)した『EOS 5Ds R』も同時発売。ただし「ローパスフィルタが必要であるというキヤノンの主張に変更はなく、自力で対策でき、解像度を優先する一部のユーザー向け」としている。

そのほか、入門機「EOS Kiss」シリーズの最新世代機として『EOS Kiss X8i』が登場。そして、それと中級機『EOS70D』(2013年8月発売)の中間を埋める新グレード機『EOS 8000D』も新投入された。昨年10月に発売されたAPS-Cセンサー搭載最上位機『EOS 7D MarkII』と合わせ、「EOS」シリーズライナップがよりぶ厚いものに。より細かな製品選びが可能となった。

対するニコンからはハイスペック入門機『D5500』が発売。近年のニコン新製品で重視されているWi-Fiやタッチ操作、バリアングルモニタなどを完備しつつ、ミラーレス機に迫る小型化も果たしている。「D3000」シリーズからの乗り換えはもちろん、これが初めての一眼レフという人にもおすすめだ。

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ニコン『D5500』([18-55mm レンズキット]実勢価格=9万9900円/[18-140mm レンズキット]実勢価格=12万9560円/[ダブルズームキット]実勢価格=13万5000円/[ボディのみ]実勢価格=8万9100円)。モノコック構造ボディによって、小型・軽量化を追求(可動式モニタ搭載一眼レフとして世界最小・最軽量)。ニコン製一眼レフとして初めてタッチパネルに対応する。

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有効画素数は2416万画素(APS-Cサイズ)で、先代モデル『D5300』から変わっていない。

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タッチフォーカス、タッチシャッターに対応。もちろん光学ファインダー利用時でも利用できる。

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2軸タイプの可動式モニタを搭載。ハイ/ローアングル撮影のほか、自分撮りも楽しめる。

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ライブビューへの切り替えはモードダイヤル横の専用レバーで実施。即座に表示が切り替わる。

【評価人のコメント】
上位機『D7100』と同等の高画質をこのサイズ、この価格で得られるのがすばらしい。付属レンズの品質も上々です。ニコン初のタッチ対応機ということでも話題ですが、タッチでフォーカス後、指を離すと撮影されるといった仕組みはよく考えられていると思います。ただ、ライブビュー時のAFはもう少し高速化してほしい。(プロフォトグラファー/永山)

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キヤノン『EOS 8000D』([レンズキット]実勢価格=14万5570円/[ダブルズームキット]実勢価格=14万5570円/[ボディのみ]実勢価格=10万5620円)。撮像素子や映像エンジンなど、基本性能は同時発売の『EOS KissX8i』同等だが、サブモニタやサブ電子ダイヤル、ロック機能付きモードダイヤルなど一部機能で差違を付けた上位モデル。そのほか、ライブビュー時のサーボAF&連写にも対応している。

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ロック機能付きのモードダイヤル。また、『EOS Kiss X8i』と異なり、撮影者から見て左側に配置されている。

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このクラスの製品では初となるサブ液晶モニタを搭載。一目で各種撮影設定を確認できるようにしている。

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自由な方向に向けられる2軸方式のバリアングル液晶モニタを搭載。各種タッチ操作にも対応している。

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本体背面にはサブ電子ダイヤルも配置。グリップ部の電子ダイヤルと合わせ、各種操作を即座に行なえる。

【評価人のコメント】
プロカメラマンとしては、サブモニタやサブ電子ダイヤルがない一眼レフはあり得ないのですが、そこに『EOS Kiss X8i』との価格差、約3万5000円の価値があるかと問われると難しい。発表直後ということで、上位機『EOS 70D』とほぼ同価格というのも悩ましいところです。とは言え、これまでぽっかり空いていたグレードを埋める製品が出てきたことは素直に歓迎したい。価格が熟れてきたころが狙い目の製品ですね。(プロフォトグラファー/永山)

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キヤノン『EOS Kiss X8i』([レンズキット]実勢価格=10万9930円/[ダブルズームキット]実勢価格=14万170円/[ボディのみ]実勢価格=10万220円)。人気入門機『EOS Kiss X7i』の後継機、撮像素子が高画素化したほか、コントラストAFの高速化(最大約4.8倍)など、多くの点が順当に進化している。

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撮像素子が「EOS Kiss」シリーズ初の2420万画素に。より高精細な写真が撮影できるように。

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モードダイヤルは、同時発売『EOS 8000D』と比べてロック機構がなく、位置も右側。

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『EOS 8000D』と異なり、従来同様の4方向ボタン方式。機能の割り振りもやや異なる。

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モニタスペックは完全に同一。3.0型104万画素で、バリアングル&タッチ対応となっている。

【評価人のコメント】
2010年発売の『EOS Kiss X4』以降、これまでずっと1800万画素だった同シリーズですが、今回やっとその壁を突破。ニコンの入門機はずいぶん前から2000万画素オーバーでしたが、やっと追いつきました。ライブビュー時のAF速度も先代モデルと比べて明確に高速化しています(前が遅すぎたんですけれど……)。入門機としては良い選択肢だと思いますね。(プロフォトグラファー/永山)

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キヤノン『EOS 5Ds R』([ボディのみ]実勢価格=53万7840円)/キヤノン『EOS 5Ds』([ボディのみ]実勢価格=50万5440円)。ライバル機を一気に追い抜く、有効5060万画素のフルサイズセンサーを搭載。これに合わせ、ミラー駆動時の振動を抑える機構の新開発や、精細感を強調する「ディテール重視」のピクチャースタイルを追加するなどしている。ローパスフィルターレス版である『EOS 5Ds R』も用意。

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モードダイヤルも『EOS 5D Mark III』そのまま。前面製品ロゴを見なければどちらかわからないほどだ。

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『EOS 5D Mark III』(右)と全く同じ外観。ボタン配置も全く同じだ。ややボディの質感が変わっている程度。

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新開発の50メガセンサー。取り込まれた映像データは、デュアル「DIGIC 6」によって高速に処理される。

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クイック設定パネルがカスタマイズに対応。21項目の機能を任意の位置に配置できるようになった。

【評価人のコメント】
5000万画素という超高画素化を果たしつつ、操作性などはあえて従来機『EOS 5D Mark III』そのままに。良い意味で全く変わっていないので、従来ユーザーなら即座に使いこなせるようになるでしょう。高画素化したことでクロップモードが使えるようになったこともポイント。トリミングしても、充分な画素数があるので安心です。ただしデータサイズもそれに合わせて肥大化。50万円以上という価格設定も含め、よりユーザーを選ぶ製品になっています。(プロフォトグラファー/永山)

評価人/プロフォトグラファー
永山昌克

海外スナップ写真を中心に活躍する写真家。97年からはカメラレビューの執筆開始、これまで試用した製品は千台以上。カメラグランプリ選考委員も歴任。

取材・文/山下達也(ジアスワークス)
撮影/松浦文生