IoT、クラウドファンディング…2015年家電注目ワードをおさらい

2015年の家電を読み解くうえで、3つのキーワードが重要になると話すのは、新聞や雑誌、Webメディアなど幅広い媒体で活躍するジャーナリスト西田宗千佳氏。昨今さらに流れが速くなっている家電は今年どのように変化していくのか、解説してもらった。

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2015 年、第1のキーワードとしてお話させていただきたいのが去年くらいから話題になっている「IoT(Internet of Things」こと「モノのインターネット」。今後は、PC 、スマホだけでない、より多くの“ モノ”がネットに接続されて活用されるようになります。

直近ではまず、スマホと接続して利用する“ モノ”が増えていくはず。家の外から照明を操作したり、室内の温度を確認したり、鉢植えの水の状態をチェックしたり……その場に家族がいればやってくれそうなことをスマホで代行できるようになるというものが流行りそうです。

それらの中で、今私が気になっているのが鍵をインターネットに接続して使う「スマートロック」。これを自宅の鍵と交換することで、スマホを使って遠開地から鍵の状態を確認したり、施錠/解錠できるようになります。DlY精神の強い米国では昨年あたりから流行っているんですが、今年、いよいよ工事不要で使える『Qrio Smart Lock』が登場。国内メーカー製ということもあり、日本でも受け入れられそうです。

ちなみにこの『Qrio Smart Lock』、インターネットで資金提供を呼びかける「クラウドファンディング」という仕組みを利用して開発されています。そしてこれが、2015年、第2 のキーワード。今年は国内でもこの取り組みが当たり前のようになっていくのではないでしょうか。

理由は2つ。1つ目は、日本人でも気軽に使える、日本語のサービスが増えたから。英語べースのサービスだと、出資を募る側も応募する側も辛かったのですが、「Makuake」や「CAMPFIRE 」など、全てを日本語で行なえるサービスが増えました。まずはこれが大きい。

2つ目はこれも日本ならではなのですが、実現可能性の高い、真面目なプロジェクトが多い傾向があるということも定着を後押しするはずです。既にブームが一巡した米国では、できるかできないかわからない博打みたいなプロジェクトも多いのですが、日本ではそのあたりがとてもきちんとしている。呼びかけ人が元一流メーカーのエンジニアだったという人だったり、スジの良いプロジェクトが多いんです。

「DMM・make AKlBA」のような、ハードウエア系ベンチャー企業のビジネスをサポートする施設も増えてきており、「製造」の敷居も下がってきています。これによって、今後ユニークなハードがたくさん登場してくると楽しくなりますね。

そして、第3のキーワードですが、これはより具体的に「Netflix(ネットフリックス)」で。米国内インターネットトラフィックの3分の1はこのサービスのものと言われる映像配信サービスの大本命が今秋、いよいよ日本に上陸します。

「Netflix」のすごいところは、キビキビした操作感に加え、番組のレコメンド機能が圧倒的に優秀なこと。どのサービスも似たようなことをやっていますが、同社のそれはレベルが違う。一説には5万種類とも言われるタグを駆使してコンテンツを管理しているほか、再生停止や早送りなどの視聴情報も含めて解析することで、視聴者の好みを的確に見抜いてくれるのです。

しかも、それらのビッグデータを元に、ウケる番組とは何かも解析。「ハウス・オブ・カード 野望の階段」などの大ヒットオリジナルコンテンツを矢継ぎ早に生み出しています。もちろん今後は日本人向けコンテンツも多数追加される見込みです。

それに加えて「4K」映像の配信手段としても活躍してくれそう。日本でも当面はインターネットを使った4K配信が中心となりますが、そこではやはり「Netflix」が強い。テレビメーカーにも積極的に働きかけており、既に東芝から対応テレビが発表済み。今後のテレビの“標準機能”となりそうです。

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WiLとソニーによる合弁会杜「Qrio」がクラウドファンディング「Makuake」で資金調達に成功した「Qrio Smart Lock」。工事や工具不要で自宅の鍵を“スマート化”できる。

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昨夏、「Makuake」で資金調達に成功した腕時計ブランド「Knot」。昨年末に実施された直営展オープンに関わる資金調達第2弾も成功させるなど、上手にクラウドファンディングを活用している。

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3Dプリンタを使うなどして筋電義手を低価格に提供することを目指した「handiii」(昨年12月に目標額達成)は、ソニー、パナソニック出身の技術者による新プロジェクト。

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動画配信サービス「Netflix」。世界5700万人の会員を擁し米国では4割の家庭が加入しているほど。公式サイトでは日本でのサービス開始が予告されている。

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東芝「REGZA J10」は国内初の「Netflix」対応テレビ。リモコン専用ボタンを押すとテレビが起動し「Netflix」トップ画面を表示される。

ジャーナリスト/西田宗千佳

“電気かデータが流れるもの全般”に精通するジャーナリスト。本誌を始め、新聞や雑誌、Webメディアなど幅広い媒体で活躍するほか、個人メルマガも配信している。

取材・文/山下達也(ジアスワークス)