首に巻く“自転車用エアバッグ”、転倒の決定的瞬間をGoProで撮影

昨年発表され、世界中で話題となった自転車用のエアバッグ『HOVDING(ホーブディング)2.0』。マフラーのように首に装着しておけば、事故時の挙動を感知して瞬時にエアバッグが展開し、頭部を保護してくれるものだ。

作動時には頭部だけでなく、頸椎なども保護できるため、通常の自転車用ヘルメットよりも安全性が高いとされる。

▼転倒時にエアバッグが展開すると、頭部から頸椎までカバーするため安全性が高い。
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実際にクラッシュテストを繰り返し、事故時の挙動とサイクリング時の衝撃(段差を乗り越えたり、急ブレーキをかけたりした際のもの)を区別するアルゴリズムを完成させたとされるが、実際のところはどうなのか?
実際に作動する『HOVDING 2.0』を体験する機会に恵まれたので、その模様をレポートしよう。

▼編集部に届いた『HOVDING 2.0』の箱。女性が装着している写真が掲載されているが、確かにこの形で装着すれば頭部の蒸れや髪型などを気にする必要はないだろう。
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▼こちらが本体。この中にエアバッグが内蔵されている。カバーが付属しているので、それを装着して使用する。デザインの異なるカバーも販売されているので、ファッションなどに合わせて選ぶことも可能だ。
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▼使用前には充電が必要。USBポートがあり、PCなどからも充電ができる。6時間の充電で18時間の使用が可能。充電状況はスナップボタンの周りのインジケーターが光って知らせてくれる。
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▼実際に装着してみたところ。マフラーと比べると重量もあり、夏場は首まわりがやや蒸れるように感じるかもしれないが、ヘルメットをかぶることに比べるとずっと気軽に装着できる。
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▼ファスナーを閉じて、スナップを止めると電源が入り、エアバッグが作動可能な状態となる。電源が入るとイルミネーションが光る仕組み。
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では、実際にどんな状況でエアバッグが作動するのか?
自転車に乗って実験してみた。
確かに段差などを乗り越えた程度の衝撃では、作動することはない。そこで、転んでも痛くなさそうな芝生の上に低速で転倒してみた。
ゆっくりと転んだので、作動してくれるか半信半疑な部分もあったが、実際には頭が地面に当たる前にエアバッグが作動。見事、頭部を保護してくれた。
以下はその模様の連続写真。

▼上り坂なのもあって低速で走りながら……。
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▼バランスを崩して芝生の上に転倒。
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▼上半身が地面に付く直前にエアバッグが作動。一瞬で開いていることがわかる。
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▼頭部をきちんと保護してくれている。
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▼こちらは自転車のハンドルに取り付けたGoProで撮影した動画。残念ながら体が投げ出されたようになってしまったため、エアバッグが開いた瞬間は映っていなかった。しかし、コマ送りで見ると、転倒し、上半身が接地する前の状態でエアバッグが展開しているのがわかる。

▼GoProで撮影した動画から切り出した画像。一番左での写真では、まだ体は宙に浮いていてエアバッグは作動していない。真ん中の画像では『HOVDING 2.0』の向かって右側の部分が開き、エアバッグが出始めているのがわかる。右の画像ではエアバッグが展開されており、一瞬で開いていることが見て取れる。
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▼エアバッグが開いてからも、すぐにしぼんでしまうことがないので、例えばクルマに衝突し、その後地面に頭を打ち付けるような事故でも頭部の保護は万全。
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▼後頭部まで通常のヘルメットよりも広範囲をカバーしてくれている。ヘルメットをかぶっていても頸椎を痛めてしまう事故もあるが、『HOVDING 2.0』は頸椎まで守ってくれている。
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▼作動した後のエアバッグ部分。残念ながら1度作動してしまうと再利用はできない。しかし、事故の直前10秒間のモーションデータを保存しているため、作動後の製品は回収して今後の精度向上に役立てられる。
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自転車のヘルメット着用については、推奨されているものの、まだまだ根付いていないのが世界的な実情。そんな中、法律で強制するのではなく「これなら使っても良い」と思えるヘルメットを開発するほうが良いと考えたスウェーデンの2人の学生によって開発されたのがこの製品。
実際のサイクリストの動きを何百時間も収集したデータと、繰り返し行なったクラッシュテストによって自転車事故時の動きをデータベース化し、製品化された。

日本での販売価格は5万4000円で、1回だけの使い切りと考えると高価に感じるかもしれないが、実際に作動した際に後頭部や頸椎まで包み込んでくれる安心感は、通常のヘルメットにはないもの。
スウェーデンの保険会社によるテストでも、通常のヘルメットの3倍の衝撃吸収力があると測定され、ヨーロッパでは既に数千人のユーザーがいるという。
いざという時、命を守ってくれるアイテムと考えれば、決して高価ではないと言える。

HOVDING公式サイト
http://www.riteway-jp.com/pa/hovding/hovding.html

文/増谷茂樹 撮影/編集部・増谷茂樹