例えばPerfumeならどれで聴く? 音楽ジャンル×ヘッドホンを“相性診断”

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音質に好みがある以上、完璧なヘッドホンは簡単には見つからないし手に入らない。そこで新たなヘッドホン選びの手法として提案したいのが、良く聴く音楽をどういう音で聴きたいのかに焦点を絞って探すという方法だ。その例として今回は、いま主流のポップサウンドからモデルを紐解いていった。

例えばPerfumeのような最新のエレクトロサウンドは、3D映画のように人工立体的な空間性や、たくさんの音が飛び交う豊富な情報量が魅力。頭の中で音が大きく広がる空間性や細かな音まで逃さない描写力に優れたモデルで聴きたい。

Daft Punkの最新アルバムで聴けるオールディーズなダンスサウンドに乗りたいならグルーヴィで深い低域が必須。ボリューム感だけではなく、弾みや深みを備えた低域表現が合うだろう。同じくパワー感の類で言うと邦楽トレンドの一つである、凛として時雨などテクニカルなJ-ROCKならパワーのほかに、鋭い音色や手数を再現するスピード感やキレが欲しい。

ポップスでも増えてきたスタイルだが、管楽器なども含むビッグバンドサウンドを満喫したいなら、ドカンと派手に鳴り響くダイナミックなモデルがぴったり。圧倒的に多数だと思うが、ポップスでボーカルを大事に聴きたいなら、肉声感を生み出す中域の厚みや息遣いを優しく描きこむ高域のモデルだろう。各音楽ジャンルのサウンド分析とモデルの音質解説含めて、推薦ヘッドホンを厳選したので参考にしてほしい。

■エレクトロサウンドにおすすめな2モデル
エレクトロポップの特長は人工的な空間表現。加工されたボーカルやシンセの無数の音が綿密に配置され、異世界感を生み出す。その空間性と情報量を再現できるかが鍵となる。

原音再生と高域表現に優れたポータブルエース
オーディオテクニカ
ATH-MSR7
実勢価格:2万9970円

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マグネシウムをブレンドしたアルミ製の音響スペースを重ねた「レイヤードメタル構造」を採用し、ハウジング内部の空気の流れまでコントロール。高解像度でレスポンスの良い原音再生を実現している。

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▲ハウジング内部に1つ外部に2つの音響孔を設けた「トリプルベンドシステム」で空気を対流させない構造。

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▲駆動力を最大限に高めた新開発のφ45mmドライバーにより、高レスポンスで高精細な再現力を得ている。

ATH-MSR7の音質評価】
例外的に空間表現を得意とする稀有な密閉型
チャート2MSR7
▲密閉型は基本的に空間表現が得意でないが、その例外的なモデル。開放型ほどは音の広がりが自然ではないことが、エレクトロの人造的な構築には、逆にむしろぴったりくる。

高磁力密度ドライバーが描く緻密かつ繊細な世界観
beyerdynamic
T51p
実勢価格:3万1320円

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1万ガウス(1テスラ)を超える磁束密度を実現したテスラドライバーを採用。軽量・シンプルなドライバーながら深い低域のレスポンスと澄んだ高域を実現。その高音質をコンパクトに持ち歩ける。

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▲低反発クッションとシンセティックレザーを使用することで、快適な装着感と高い遮音性を実現している。

【T51pの音質評価】
規格外にシャープで繊細な描写力!
チャート2T51
▲空間表現も不得手ではないが、それ以上に感嘆するほどシャープな描写に優れる。散りばめられた音のひとつひとつが、大胆に加工された音色の質感まで余すところなく描かれている。

■ダンスサウンドにおすすめな2モデル
流行の80年代ディスコ風ダンスビートは、洒落たギターカッティングとドライブ感のあるベースが特長。腹に響く重量感と弾みでグルーヴ感をうまく表現する必要がある。

持つ歓びを満たすラグなポータブルの名シリーズ!
ゼンハイザー
Momentum On-Ear
実勢価格:1万9440円

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音質だけでなく、見た目や所有する満足感も含めて妥協のない仕上げが施される。18Ωトランスデューサーの採用により、クリアでリッチなサウンドを耳に届けてくれる。

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▲イヤーパッドには高級車のシートなどに使われるイタリア製のあるカンターラを採用している。

【Momentum On-Earの音質評価】
小柄だが量感溢れるボリューミーな音質
チャート2MOMENTUM
▲コンパクトなオンイヤーにしては低音のボリュームも十分で、低音にムッチリ感がある。古い言葉になるが、トランジスタグラマーと言える音質。その肉感がダンスビートと相性抜群!

キレのある低域から解像感の高い超高域まで鳴らし切る
ソニー
MDR-1A
実勢価格:2万6200円

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低域から可聴音域を超える100kHzの超高域までを再生するφ40mmの高性能ドライバーを搭載。ハウジング上部に設けたポートにより空気を開放し、低域のリズムを正確に刻む。

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▲振動板の素材として理想的なLCPにアルミをコーティング。色付けのないクリアな中高音を実現。

【MDR-1A音質評価】
ディープに詰まった「真のローエンド」
チャート2MDR
▲ベースやドラムなど低音楽器のアタックが滑らかで明確。低域の詰め込み具合もちょうど良く、張りがあって弾みが素晴らしい。これこそ“気持ちいい”グルーヴだと言える。

■ボーカルを大事に聴くのにおすすめな2モデル
人の声は最も聴き慣れている音だけに、違和感があると気になりやすい。特に「肉声感」への影響が大きい中域の肉厚さと「息遣い」を感じさせる高域の繊細さが重要。

最も手頃なハイレゾ対応のスタンダード
エレコム
EHP-CH2000
実勢価格:9550円

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余分な振動を低減する高剛性の真鍮製ハウジングを採用し、φ12.5mmのドライバーにはラジアル構造の振動板を用いる。手抜きのない仕上がりで高解像度なサウンドを実現している。

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▲ドライバー、マグネットからボールピースまでを一直線上に配したストレートポート構造を採用。

【EHP-CH2000の音質評価】
綺麗な高域と自然な中低域の両立
チャート2CH2000
▲比較的手頃な価格帯でボーカル表現が綺麗なモデルの筆頭。整った高域と自然にどっしりした中低域で落ち着きのある声を届ける。ウィスパーボイスやバラード曲におすすめ。

ポータブルで実現した初の平面磁界駆動
OPPO
PM-3
実勢価格:6万6820円

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非常に高音質だが能率が低く、屋外での使用には向かないとされていた平面磁界駆動型をポータブルで実現。新開発ドライバーで十分な能率を実現し、異次元のクリアな音を味わえる。

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▲振動板全体を均質に振動させ、全域でフラットに鳴る平面磁界駆動型ドライバーを採用する。

【PM-3の音質評価】
歌の説得力を生み出す厚みある中域が特長
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▲ハイエンド機はフラットなワイドレンジ志向が多いが、本機は比較的ミドルレンジも充実。その中域が声の厚みを生み出す。高域も平面駆動効果か、歪み感が無く綺麗な息遣い。

■テクニカルなJ-ROCKにおすすめな2モデル
高域の尖ったギターに幅広い音域をドライブするベース、圧倒的な手数のドラム。これらのアグレッシブサウンドを鳴らすにはパワー+キレ+スピードが必要だ。

エッヂィに切り裂く高域表現を生み出す!
Marshall
MODE
実勢価格:1万990円

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Marshall初となるカナル型。このモデルのために設計されたφ9mmドライバーは、小径ながらも高出力なサウンドを実現し、20〜20000Hzまでの周波数帯域をカバー。スマホで通話可能なマイクも備える。

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▲φ9mmのドライバーは見た目にも小さいが、そのサイズからは想像もできない高出力。独自のサウンドチューニングが施されている。

【MODEの音質評価】
ジャギジャギとした鋭く荒い超高域!
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▲高域から超高域のエッジ感は、今までのMarshallヘッドホンの中でも、特に同社のギターアンプに近い。荒く歪んだ音色のギターカッティングを凶暴と言えるほど鋭く聴かせてくれる。

超小型ドライバーが再生するパワーサウンド
Shure
SE112
実勢価格:4400円

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ダイナミック型のMicro Driverを搭載し、力強い低音に代表されるサウンドと、快適な付け心地を提供。遮音性の高いイヤーパッドを採用し、周囲の騒音を最大37dBまでブロック。長時間の使用でも疲れない。

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▲高いフィット感と遮音性を備えたイヤーパッドを採用。耳の形に合わせて3つのサイズから用意されている。

【SE112の音質評価】
適度にエッジの利いた荒い質感がマッチする
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▲質感が適度に荒く、ギターの歪みやシンバルのざらりとした手触りを伝える。ミドルからローにかけての押しとスピード感を両立。さらにベースのドライブ感も加速させる。

■管楽器なども含むビッグバンドサウンドにおすすめな2モデル
管楽器の明るく抜けつつ重厚な音色は、イントロや歌の勢いを後押しとして活躍。楽器のアンサンブルが生む抜けと分厚さを表現する、広帯域&押しの強さが求められる。

全帯域の特性を引き出すHDハイブリッドドライバー!
ソニー
XBA-A2
実勢価格:2万7950円

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φ12mmのダイナミックドライバーと2基のバランスドアーマチュアを組み合わせた「HDハイブリッド3ウェイドライバー」を搭載。深みのある低域から、きめ細かい高域までを再生。

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▲縦に2基並んだバランスドアーマチュアは下側のものがHDスーパートゥイーターを兼ねており、低域から高域まで豊かな広帯域再生を実現。

【XBA-A2の音質評価】
勢いと精彩さを両立するワイドレンジ
チャート2A2
▲ハイブリッドドライバーのワイドレンジさで管楽器の迫力を低域から高域まで余さず再現。高域にも低域にも少し荒く乱暴な感じもあり、ビッグバンドの勢いをうまく描く。

ウッドハウジングがもたらす深く響く中低域
JVC
HA-FX850
実勢価格:2万77600円

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ウッドと比重の大きな真鍮のリングでユニットを抑え、ダンパーにもウッドと真鍮を採用。広い帯域で振動ロスを低減し、解像感を高めている。自然な音の響きを伝えるウッドハウジングが、余韻までも耳に届ける。

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▲ハウジングだけでなく、振動板やディフーザーにもウッドを採用し、自然な音の鳴りを実現。

【HA-FX850の音質評価】
生の質感を持つ楽器を躍らせる!
チャート2FX850
▲太い音を響かせるモデルと言えばコレ。深い低音というよりはその少し上の「ベースの真ん中」あたりの勢いの良さが持ち味。ホーンやウッドベースが唸り、スイング感が高まる!

文/高橋敦、増谷茂樹 撮影/江藤義典

※『デジモノステーション』2015年6月号より