まずは耳型採取から。オーダーメイド・イヤホン「カスタムIEM」って何だ?

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高級ヘッドホンの一つとして、カスタムIEM(インイヤーモニター)の流行がきている。その反響から1、2年で急速にブランド数が増えた。ミュージシャンのステージ用途を前提としたプロユース製品が、そのような盛り上がりを見せる背景には、アーティストへの憧れだけでなく、実質的な性能の高さがある。オーダーメイドの特別感ももちろんだ。さらに、ユニバーサルモデルでは得られないフィット感があり、格段に高い遮音性や装着性で別次元のメリットを獲得できる。

故に、入門としては、注目度の高いマルチBAドライバー(12基搭載モデルまで存在する)の高級機である必要はない。それよりもデュアルドライバーがおすすめだ。カスタムIEMは高い遮音性を持つため、低域と高域で1基ずつでも従来とは桁違いなほどピュアな音質を堪能できる。もともとデュアルドライバー構成を原点としているため、どのブランドでも安定した音質を確保できるのも推薦の理由だ。少し背伸びをして自分だけの1本をぜひ!

 

【カスタムインイヤーモニターって何?】

そもそもどのような用途で使われる?
もともとはライブステージでミュージシャンがPAの音をモニタリングするために作られたもの。爆音にしないと聴こえないモニタースピーカーから、ミュージシャンの耳を守るために生まれた経緯がある。

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▲プロの多くが自前のモデルを所有。好きなミュージシャンに遇わせたブランド選びもあり。

どうやって製作するもの?
まず補聴器専門店で耳型(インプレッション)を採取。その耳型をカスタムIEMのオーダーを受け付けている販売店へ持ち込むこととなるが、最近ではイヤホン専門店ばかりか、一部の家電量販店でも期間限定で耳型採取を受け付けている。

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▲自分の耳型ぴったりに製作されるため、かなり強めの遮音性と抜群の装着感が得られる。

ハンドメイドのメリットは?
オーダーメイドだと音漏れ防止だけでなく、小音量でも音楽が良く聴こえるメリットがある。そのメリットを均一化するため例えばアルティメットイヤーズのラボでは、耳型シェルの型が各々違っても同じ音響特性になるよう、細やかに調整される。

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▲1台ずつ音響特性を計測して、全て均一なサウンドにするため、徹底的なチューニングが行なわれている。

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▲耳型からシェルを作る。シェルは1、2年ほど保存されるので別途作る時に、再度耳型を送る必要はない。

 

【ドライバーの構成数でグレードと傾向が変化する】

小型のバランスドアーマチュア(BA)ドライバーを複数搭載して、音質を向上させていくのがカスタムIEMの方法論だ。BAは細かな音を持つ代わりに、再生周波数帯域幅が狭い。これを補うためマルチドライバー構成が流行していて、なかには12基搭載する超高級モデルもある。

<代表的なドライバー構成>
フルレンジ
破綻の無いナチュラルなサウンドが特長。帯域幅が狭く、低域はやや迫力に欠ける傾向にあるが、バランスドアーマチュアらしい、いきいきとしたボーカルが楽しめる。

2way
カスタムIEMの父と呼ばれるジェリー・ハービーが生み出した、原点と言えるシステム。自然なサウンドを保ちつつもBAに足りない帯域幅を補うことで、上質なサウンドを実現。

3way
スピーカーに負けないワイドレンジな帯域幅と高解像度な表現には、どうしても3Way以上の構成が必要となってくる。とはいえ、作り上げるにはかなりのノウハウが必要だ。

 

【どこで作れる?】

e☆イヤホン 秋葉原店 カスタムIEM専門店
http://www.e-earphone.jp/

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大阪にも店舗を構えるヘッドホン専門店内に設立された、カスタムIEMを専門に取り扱うショップ。カスタムの相談にも応じてくれる。

取り扱いブランド
アルティメットイヤーズ、FitEar、カナルワークス、ウエストン、くみたてLab、ヴィジョンイヤーズ、エア・オーディオ、JH AUDIO、ユニーク・メロディ

フジヤエービック
http://www.fujiya-avic.jp

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都内有数のオーディオショップで据え置き製品のラインナップも豊富。カスタムIEM下取り買換キャンペーンなども積極的に行なう。

取り扱いブランド
FitEar、カナルワークス、ウエストン、JH AUDIO、ユニーク・メロディ、1964EARS、ノーブル・オーディオ、j-phonic、LIVE ZONE R41

 

【カスタムIEM入門おすすめモデル5】

音楽をキレ良く聴かせるエントリー
アルティメットイヤーズ
UE 5 Pro
価格:7万9800円から

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数多くのカスタムモデルを揃え、アーティストからの支持も強いアルティメットイヤーズのエントリーモデル。フラットサウンド傾向の強いカスタムIEMの中では、ローエンドまで低域を出しつつ、鮮やかな高域も描くフレッシュな再生音を特長とする。

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▲フェイスプレートにはUEのロゴが入る。ロゴの有無や左右どちらに入れるかなども、専門店で選べる。

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▲他ブランドでも共通することだが、カスタムIEMのボディは、スケルトン仕上げであることが多い。

カスタム入門に最適な優良バランスの2way
FitEar
Private 222
価格:8万9800円から

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低域×1基、高域×1基ずつ搭載した同ブランドのエントリー2wayモデル。補聴器製作で培った技術から理想的なフィット感が高い遮音性も兼ねる。音楽ジャンルを選ばず、スムースに全帯域を無理なく鳴らす再生音も心地良い。

低域ドライバー追加でクリアさアップ
カナルワークス
CW-L32
実勢価格:10万8000円から

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ロック/ポップス向きの2Wayモデル『CW-L12』と同じ方向性で、楽器ごとのディテールを描く低域ドライバーを1基追加した。高域×1、中域×2、低域×1の4ドライバー構成。

老舗ブランドの技術を凝縮したフルレンジモデル
ウエストン
ES10
価格:6万8000円から

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耳用カスタム製品製作で50年以上の経験を持つ独自のドライバー技術により、フルレンジのBAドライバー1基でも繊細でクリアな音を楽しめる。独自のフレックスカナルにより雑音を低減。

歪みを排したドライバー設計
くみたてLab
KL-カノン
価格:7万4800円から

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低域×2基、中高域×1基構成に加えて、超高域を担当するドライバー1基を搭載。ドライバーユニットごとに音導孔を分けることで、歪みの少ないピュアな再生音を実現する。

 

文/野村ケンジ、編集部 撮影/松浦文生

紹介製品の外観はすべてサンプル。個人の耳型によって形状が異なりフェイスプレートもオーダー次第で変わります。
価格はe☆イヤホン、フジヤエービックでのキャンペーン対象外時、オプション未選択の価格です。

※『デジモノステーション』2015年7月号より