モバイルでも妥協なし!Core M搭載2 in 1『TransBook T300 Chi』の真価は?
『TransBook T300 Chi T300CHI-5Y71』は、CPUに省電力な「Core M」を搭載し、高い性能を持ちながらもファンレスで動作するタブレット。さらに12.5型の液晶は2560×1440ドットと高精細で、目を近付けてもドット感のない緻密な画質を実現しているのが特長だ。キーボード部には新開発のマグネットヒンジを採用。引っ張るだけで簡単に外せるため、タブレット/ノートPCのスタイル変更が手早く行なえる。
CPUが「Core M-5Y10」(最大2GHz、2コア/4スレッド)、メモリーを4GB、解像度を1920×1080ドットに落とし、コストパフォーマンスを重視した下位モデル『T300CHI-5Y10』(実勢価格:9万9500円)もラインナップ。
■基本機能をチェック
本体とキーボードが完全に分離
▲タブレットスタイルでは本体だけとなるため、約720gと軽量。なお、着脱式のキーボードはBluetooth接続なので、分離したままでも操作できる。
省電力&高性能の「Core M」搭載
▲最大2.9GHzで駆動の「Core M」を搭載。タブレットでの採用が多い「Atom」より高速ながら省電力性に優れ、発熱も少ないのが特長だ。
2560×1440ドットの圧倒的高画質
▲12.5型の高精細液晶を搭載。ドット感のない緻密な画面は、滑らかな文字表示や細部までクッキリとした写真表示など、画質面で有利となる。
■充実の拡張性
多くのタブレットPCと同じように、『T300 Chi』もmicroSDカードスロットとmicroUSBを装備。ユニークなのが、このmicroUSBがUSB 3.0に対応していることだ。付属のアダプタは2.0用となるため別途アダプタの購入は必要となるが、高速なUSB 3.0を使えるのはうれしい。また、Windowsキーがタッチセンサーではなく、ハードボタンで側面にあるのも便利。不意に触れてスタート画面が表示されてしまうといった失敗もない。
USBアダプタで周辺機器を増設
▲付属のアダプタを使えば、光学ドライブやHDDなどのUSB機器を接続できる。さらUSB 3.0用のアダプタがあれば、高速なアクセスが可能だ。
機器間のファイルコピーやストレージの増強に
▲本体のSSDは128GBと必要十分だが、画像や動画を保存しておくには心許ない。microSDで増強しておこう。
Windowsキーは側面にハードボタンで装備
▲側面にあるためやや押しづらいが、不意に触ってしまってスタート画面が表示されるタッチセンサーよりは実用性が高い。
■注目のキーボードドック
本体との接続部には新開発のマグネットヒンジを採用。接続時はしっかりとホールドされ、本体をつかんで持ち上げても抜けてしまう心配はない。また外す時はキーボードドックを軽く押さえれば引き抜けるという絶妙なバランスがすばらしい。なお、キーボードドック側のバッテリーは本体と完全に別れており、装着時でも充電されることはない。充電するには、キーボードドック側にあるmicroUSB端子へ給電が必要となる。
ガイドのツメでずれを防止し装着ミスを未然に防ぐ
▲本体側の溝とツメを合わせて載せれば、マグネットでしっかりと装着。ずれて磁力が落ち、不意に外れてしまうといった心配は無用だ。
裏返して装着すればスタンドスタイルに変身
▲ツメは左右対称となるため、裏返して本体を装着可能。動画鑑賞に向き、タッチ操作に便利なスタンドスタイルへと変身できる。
キーボードのオン/オフやペアリングはスイッチで
▲使わない時は電源を落として、バッテリーの浪費を防げる。接続はBluetoothなので、スマホなど別の機器とのペアリングも可能だ。
■使い倒しインプレッション
タブレットの手軽さとノートPCの実用性を兼ね備えた2in1モデルは、今年になって特に注目されているジャンル。実際に多くの新製品が登場しているが、中でも『TransBook T300 Chi』は存在感のある製品だ。まず驚いたのが、タブレットとキーボードドックを合体させても約16.5mmしかない薄さ。通常、着脱型の2in1モデルはヒンジ部分のギミックが必要となるため厚くなってしまうものだが、新開発のマグネットヒンジを採用することで、この問題をクリアしている。さらに、CPUには省電力で低発熱の「Core M」を採用することでファンレス動作を実現し、タブレット単体でも約7.6mmという薄さを実現している。もちろん性能は省電力CPUの定番となる「Atom」よりも高く、ブラウザゲームや動画再生では処理落ちもなく、キビキビと動作してくれた。さすがに3Dゲームは難しいが、Officeソフトの利用や画像編集、ちょっとした動画編集といった用途であれば、十分期待に応えてくれる性能だ。液晶は12.5型ながら、2560×1440ドットの高精細。さすがに等倍表示で使うには細かすぎるが、その分なめらかな文字表示や、細部までしっかりと表示できる写真鑑賞といった用途で心強い。
キーボードドックはBluetoothで接続されるため、着脱の状況に関わらずいつでも利用できる。完全に分離し、友人に画面を見せながら操作したり、キーボードドックを膝の上に置いて使うといったことも可能だ。ひとつだけ残念なのは、このキーボードドックの重量が約700gと重たいこと。軽いとタブレット本体を支えられずにひっくり返ってしまうため重量が必要なのはわかるが、合計で1420gとなると、気軽に持ち歩ける重さとは言いがたい。せめてセカンドバッテリーとして使えればよかったのだが……。しかし、悪いことばかりでもなく、重たい分頑丈で入力時のたわみが少なく、フワフワしないカッチリとした打ち心地。打鍵感にこだわる人なら、重量以上に十分なメリットが感じられるだろう。
デザインにもこだわり、質感の高いアルミ合金ボディに加え、エッジ部にダイヤモンドカットを施すといった細部まで作り込まれているのがにくいところ。高性能で、実用的で、所有欲まで満たしてくれる製品だ。
■結論
いつもはタブレット時々ノートPCな人に
タブレットとしてみれば、「Core M」の性能と高精細液晶、薄型、約720gという軽さは、かなりの魅力。さらに、打鍵しやすいキーボードドックが付属するので、ノートPCとしての実用性も十分だ。普段はタブレットとして気軽に使い、いざという時はノートPCとしても使いたい、といったように1台で完結させたい人は迷わず本機を選びたい。
ASUS
TransBook T300 Chi T300CHI-5Y71
実勢価格:14万6790円
■SPEC
CPU:Core M-5Y71(最大2.9GHz、2コア/4スレッド) メモリ:8GB ストレージ:128GB SSD ディスプレイ:12.5型(2560×1440ドット) サイズ:W317.8×H7.6×D191.6mm(ディスプレイ部)、W317.8×H16.5×D191.6mm(キーボード部) 重量:720g(ディスプレイ部)、722g(キーボード部) インターフェイス:microUSB 3.0×1、microSDカードスロット、microHDMI出力など 通信機能:無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n準拠)、Bluetooth 4.0 バッテリー駆動時間:約6.6時間
文/宮里圭介 撮影/松浦文生
※『デジモノステーション』2015年7月号より