創風機「Q」──その奇抜なスタイルは必然だった

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既存の空質技術をより最適化した『Q』の形状
パナソニック
創風機「Q」 F-BL25Z
実勢価格:4万3200円

その奇抜すぎるルックスは、一見何をする家電か分からず、デザイン先行で作られた製品だと勘違いする人も多くいるだろう。だが、創風機『Q』の、空質家電としてあまりにも特殊すぎる360度フォルムは、実はいい風を生み出すために必然の“技術的産物”だったと同製品開発担当、パナソニック エコシステムズ IAQビジネスユニット 空質家電ディビジョンの吉田哲也氏は語る。

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▲置き方も自由で、送風方向も本体を手動で回転させるだけで選べる360度フォルムを採用している。コンパクトな本体は場所を取らず、ソファのサイドテーブルから本棚まで、どこにでも設置可能だ。

「元々『Q』の原型は、社内で開催されたプレゼン会議『ヤングワーキング』で2012年頃、技術担当の若手から提案されたものでした。プレゼン段階のイメージ図から実は8割方、現在の製品と同じ形状で描かれていて、実際にその後、弊社で特許を取得した際に、提出した説明図にも、既に製品と同じような技術の詳細が書かれています」

仕組みはこうだ。内部のDCモーターの回転により、背面から空気を吸い込み、内側の流路を通って、前方の吹出口から噴出気流を発生させる。前方の気圧が高まることで、本体周辺の気圧は必然的に下がり、その気圧差から周囲の空気が本体内側へと誘引。一旦内側の空間へと集められた空気が、一気に前方の送風穴から押し出されることで、増幅された力強いターボ気流として直進的な風が生み出される。

このターボ気流の技術は、実は以前から社内に存在していたという。今回は、そこに低騒音化などを実現するために、周囲の穴のサイズやフォルムを流入口を滑らかにするなど、主にパフォーマンスを高めるための開発を進めていったという。

「最適な圧力バランスに微調整する際に、周囲に6つ存在する誘引吸込口の穴のサイズの総面積を、前方の送風口の穴の面積より大きくすることがポイントでした。誘引される空気が多過ぎても少な過ぎてもダメで、適正に調整した結果、噴出口からの風量1.2立方メートル/分を、最大約7倍の8.6立方メートル/分にまで増幅することに成功しました」

また、パナソニックは快適な風として、これまでの扇風機同様『1/fゆらぎ』を採用する。これは蓼科高原の実際の風を計測し、心地良いと感じる自然なリズムを再現したものだ。

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▲1/fとは“心地良いと感じる自然のリズム”のこと。パナソニックは信州の蓼科高原に吹く風を理想の風として計測し、風速や強弱のリズムなど緻密なデータを長年採取分析、再現してきた。長時間あたり続けても疲れない心地良さを実現している。

「羽根のないモデルで『1/fゆらぎ』を再現したのは、扇風機として今回が初めてでした。自然界の風というのはもともと捻れがないもの。『Q』も羽根特有の脈動がないぶん、DCモーターの調整で、より理想的な『1/fゆらぎ』を実現できたと自負しています。『1/fゆらぎ』は通常の連続風に当たっている時と違って、体温の低下を最小限に抑え、特に夜眠っている時などにおすすめです。朝起きた時に疲労感も少なく気持ち良く目覚められます」

風量は5段階で調整でき、直接風にあたる場合は1~3、4~5はサーキュレーション目的で使って欲しいと吉田氏。

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▲吸気口から吸い込まれた空気をターボ気流により高圧化。高風速の噴出気流を吹出口から発生させる。本体周囲の空気を最大限に誘引できる球体形状により、パワフルで直進的な風を生み出す。サーキュレーターとして、部屋中の空気を効率良く攪拌できる。

「風量“5″だと、最大約9mほど風を届けることができます。これは一般的な部屋なら隅々にまで届く距離なので、エアコンなどと併用して、部屋の空気を素早く対流させたい場合などに最適です。こちらの試算ではありますが、約8畳の部屋で3分以内に天井と床付近の温度差を1℃以内にすることができました」

いい意味で、この奇抜すぎる『Q』のフォルムに騙されて欲しい。その裏に秘められた技術力やパフォーマンスの高さに、きっと“騙されてよかった”と思えるはずだ。

SPEC
サイズ:W250×D250×H277mm(スタンド含む) 重量:約2.1kg タイマー:(切タイマー)1/3時間 消費電力:最大18.5~最小2.5W

文/滝田勝紀 撮影/下城英悟(GREEN HOUSE)

※『デジモノステーション』2015年7月号より