コンデジ匹敵サイズでフイルム感覚を。『FUJIFILM X-T10』の実力は

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富士フイルム『FUJIFILM X-T10』は、APS-Cサイズの有効1630万画素センサーを搭載したミラーレスカメラだ。最大の特長は、金属を多用した高品位なボディに、アナログダイヤルやチルト可動液晶、高精細EVFなどを凝縮しつつ、約381gという軽さを実現したこと。
多彩な撮影機能も見逃せない。AFには、コントラストAFと位相差AFを併用するインテリジェントハイブリッドAFを採用し、測距点は手動で49点、自動で77点に対応。動体撮影に適したゾーンモードやワイド/トラッキングモードも新搭載した。連写は最高8コマ/秒で、シャッターは機械式と電子式の2種類が用意されている。

■基本性能をチェック

フリーアングルなチルトモニタ搭載
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液晶は3型/92万ドットのチルト式を装備。ローアングルやハイアングルからの撮影に役立つ。ただし左右には動かず、自分撮りには非対応だ。

持ち運びやすい小型・軽量ボディ
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コンパクトカメラに匹敵する小さなボディ。グリップ感は乏しいが、両手で持ち、左手でレンズを下から支えるようにしても持つと安定する。

動いている被写体にも強くなった新AFシステム
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画面全体に77点のコントラストAFエリアがあり、中央部には15点の像面位相差AFのエリアがある。
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▲ワイド/トラッキング、ゾーン
新搭載した「ゾーン」では、AFエリアを3×3、5×3、5×5から選択できる。また「ワイド/トラッキング」では全77点から複数のエリアが自動的に選択される。

便利なAF補助機能で撮影がさらにスムーズに
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▲マクロモードに自動切り替え!
AF速度を落とさずに、自動的にマクロモードに切り替わるオートマクロ機能を搭載。

上位機にない『X-T10』だけの独自機能も多数用意
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天面にオートモード切換レバーを新設。「AUTO」の位置にセットすると、カメラが自動的に最適な状態に設定して撮ることができる。

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ポップアップ式ストロボを内蔵。スローシンクロや後幕発光に対応するほか、外部ストロボを制御するためのコマンダーとしても機能する。

■画質チェック

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ガラスとタイルで作られた屋根飾りを標準ズームのテレ側で撮影。絞り開放値では四隅にやや甘さがあるものの、中央部はシャープに解像する。また、絞りを少し絞り込むことで全域でくっきりした描写になる。発色はクリアで見栄えがいい。

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新搭載したオートマクロ機能を利用して、標準キットレンズの最短距離付近で撮影してみた。ピントを合わせた花びらの部分は、その質感をリアルに表現できている。一方で背景部分は滑らかにぼけて、主役である花を際立たせることができた。

■結論
富士フイルムの新作『FUJIFILM X-T10』は、昨年2月に発売され、シリーズ初の一眼レフライクな形状で好評を博した『FUJIFILM X-T1』の弟分と言える製品だ。搭載するイメージセンサーや画像処理エンジンは同じであり、AF測距点、連写スピード、最高シャッター速度、動画性能などにも違いはない。フイルムカメラを思わせるレトロなデザインや、各種機能を即座に操作できるようメカダイヤルを多用している点も似ている。
その上でボディのサイズと重量は、『X-T1』より、およそ一回り小さく、軽くなっている。液晶モニタのチルト可動機構を維持しながら小型軽量化したことや、『X-T1』にはない内蔵フラッシュを搭載したことはうれしいポイントだ。ただし、ボディのホールド感については、グリップの膨らみがなくなったため、大きなレンズを装着した際のバランスはあまりよくない。必要であれば、オプションのハンドグリップを利用してホールド性を高めてやるといいだろう。
その他撮影機能に関しては、電子シャッターや電子水準器、フォーカスピーキング、デジタルスプリットイメージ、多重露光、フィルムシミュレーション、点像復元処理、カメラ内RAW現像などを継承。充実した内容と言っていい。
さらに操作の細かい部分には、『X-T1』からのさまざまな進化も見られる。特にありがたいのは、背面ボタンのクリック感が向上したことと、割り当てのカスタマイズが充実したことだ。また、すばやくフルオートに設定できる「オートモード切換レバー」を備えたことは手軽なスナップ撮影用に役立つだろう。逆に『X-T1』に及ばない点は、防塵防滴に非対応であることと、バッファメモリが少なく、最高速度での連写可能コマ数が7コマと少ないこと。これは少々残念だが、価格差を考慮すれば仕方がない。
トータルな評価としては、『X-T10』は非常にコストパフォーマンスに優れた製品と言っていいだろう。レンズ交換式カメラのビギナーから、写真撮影を趣味にする中級者以上のユーザーまで幅広くおすすめできる良品だ。

■『FUJIFILM X-T10』をおすすめな人は??
フイルム感覚を楽しみたい人に好適

上位モデル「X-T1」に匹敵する性能を、より小さなボディで味わえる高コストパフォーマンスなカメラ。防塵防滴に非対応であることや連写コマ数に物足りなさはあるものの、それ以外に大きな不満はない。レトロなデザインを好む人や、アナログ感覚の操作性にこだわる人に最適と言える。富士フイルムならではの発色の良さも魅力。

富士フイルム
FUJIFILM X-T10

[レンズキット]実勢価格:12万9060円
[ボディのみ]実勢価格:9万6660円

サイズ:W118.4×H82.8×D31.9~40.8mm
重量:381g
撮像素子:APS-Cサイズ有効1630万画素
CMOS モニタ:3.0型(約92万ドット)
ファインダー:0.39型236万ドットEVF
レンズマウント:富士フイルム Xマウント
シャッター速度:1/4000~30秒
ISO感度:100~51200相当(拡張含む)

文・作例/永山昌克 撮影/松浦文生