クルマを操る楽しみは、自動運転でもなくならない【よろしくデジテック】

main

電気自動車や自動運転に積極的に取り組む日産。そんなメーカーのキーパーソンである二見徹氏に、『よろしくメカドック』の主人公・風見潤がクルマ社会の未来を直撃!

日産
リーフ
価格:(実験車両)
car
▲電気自動車『リーフ』をベースとした自動運転の実験車両。ナンバープレートを取得し、高速道路を中心とした公道で実証実験を行なっている。過去にはCEATECの会場でデモ走行を行なったことも。

クルマ社会の問題解決には
電動化と知能化が不可欠

風見 日産は電気自動車(EV)に力を入れているイメージがあります。

二見 クルマが抱えている課題は大きく4つありまして、石油の枯渇などの「エネルギー」問題、「地球温暖化」、それに「事故」、「渋滞」がそれに当たります。その内、前2者の解決にはクルマの電動化が不可欠なんです。そして、残りの2つの問題を解決するには「知能化」が必要です。

people
▲メカドックの風見潤氏(左)。漫画『よろしくメカドック』(作:次原隆二)主人公。作中ではチューニングショップ「メカドック」のメカニック兼ドライバーとして活躍。
▲日産自動車 電子技術開発本部 エキスパートリーダーの二見徹氏(右)。車載電子システムの研究・開発、ITシステムの企画・開発などを経て、現在はIT&ITSや自動運転技術の企画・開発を担当する。

風見 クルマの知能化ですか……。

二見 これまでの交通事故対策はエアバッグを装着するなど、事故が起きた際にいかに乗っている人を守るかというものでした。それによって事故による死者は減ってきましたが、これ以上減らす、交通事故による死者をゼロにするためには事故そのものを起こさないような対策が必要です。そのためにはクルマが交通状況を先読みして事故を避けるようなシステムが必要となります。

風見 なるほど! クルマが自分で事故を避けるようになるために賢くなるということですね。それは自動運転になるということですか?

二見 ドライバーを必要としない完全自動運転が実現するのはまだ先ですが、クルマが賢くなってドライバーをサポートしてくれるというイメージが近いかもしれません。事故の原因を探っていくと、その90%以上はヒューマンエラーなんです。運転に必要な要素は「認知」「判断」「操作」の3つですが、人間とセンサーやコンピュータなどの機械を比べると、今はもう3つとも機械の方が100倍くらい速いんです。機械の方が正確で速い部分はクルマに任せればいい。

風見 確かに計算などはコンピュータの方が速いですもんね。

二見 ただ、コンピュータはデータベースにないシーンへの対応などは苦手としていますから、市街地の信号のない交差点など不確定要素の多い場所でも正確に対応するには、さらに知能化を進める必要がある。そのためにも今回ご紹介している『リーフ』の実験車両などを使って、色々なデータを集めています。

風見 確かに市街地では歩行者や自転車も混在していますし、交通の流れを読むのも大変ですよね。

二見 ですから日産では、自動運転の実用化を高速道路から段階的に進めていく計画です。2016年までに高速道路の単一レーンでの自動運転を、2018年には高速道路で車線変更や追い越しを含んだかたちで、そして2020年には交差点を含む市街地で実用化すると発表しています。

風見 そう考えると、もうすぐですね。楽しみです!

クルマを操る楽しみは
自動運転でもなくならない

二見 自動運転の実現にも、実は電動化が不可欠なんです。

風見 どういうことですか?

二見 電動化というのは何も動力だけに限りません。例えば、ハンドルを切って曲がる場合、昔はステアリングシャフトを直接回していました。それがパワーステアリングでアシストされるようになり、今はモーターなどで操作できるようになっています。『スカイライン』に採用されている「ダイレクトアダプティブステアリング」がそれです。

風見 ステアリングシャフトではつながっていないんですか?

二見 万一に備えてシャフトは残してありますが、普段はつながっていません。電機系のトラブルなどがあった場合にはシャフトがつながるようになっています。

風見 ハンドルもスイッチと同じ役割になっているということですね。

二見 その通りです。こうした操作が電気的にできるようになると、カメラやセンサーで認知し、コンピュータが判断した情報を信号として送るだけで操作が行なえるので、その部分の反応が飛躍的に速くなります。動力が電動化していれば、駆動力も自在に操れますから、自動運転には非常にメリットが多いのです。

風見 なるほど。でも、自動運転が実現すると、運転する楽しみもなくなってしまいそうで心配です。

二見 そんなことはありません! 自動運転をロボットに例えると、鉄腕アトム型とガンダム型に分けられると思います。アトムは自分で考えて自分だけで行動しますが、ガンダムに出てくるモビルスーツは人間の能力を拡張してくれるものですよね。日産が考える自動運転はこちらのタイプです。つまり自動運転が実現すると誰でもF1ドライバーのような高度なコーナーリングなどができるようになるということ。しかも、事故の心配なく安全にです。

風見 そうか! そう考えると、自動運転に対する期待がますます高まってきました!

二見 「電動化」と「知能化」が進むと、クルマの楽しみはさらに広がります。自動運転ができれば、疲れている時や退屈な道はクルマに任せて、面白そうな道だけ運転を楽しむこともできます。それもF1ドライバー並みのテクニックを駆使して。

風見 それは楽しみです。

二見 もう1つ、「情報化」と言いますかクルマ同士がネットワークでつながって情報を共有するような進化も進んでいます。全てのクルマがつながればクルマ同士の事故もなくなりますし、群れのように走行できるので渋滞もなくすことができます。渋滞による経済的な損失は日本だけで年間12兆円に上るという試算もありますから、これは大きいです。

風見 クルマ同士が通信でつながるなんて、ワクワクしますね。

二見 クルマだけでなく、信号などのインフラともつながるようになれば、例えばこの方向はクルマが多いから信号が青の時間を長くするようなことも可能です。そうなれば、クルマでの移動も電車のように時間を正確に読めるようになります。

風見 「電動化」も「知能化」も「情報化」もデジタルな進化だと思いますが、デジタル技術でクルマはもっと楽しく安全になるんですね! 本日はありがとうございました。

eye
メカドック風見の眼
安全性が高まればクルマはもっと楽しくなる!
運転が自動化されるとクルマを操る楽しみが薄れてしまうのかと思っていたけど、運転が今よりもっと楽しくなると知って安心! 事故や渋滞が減れば、クルマをもっと楽しめるようになるし、安全性も高まるならデジタル技術によるクルマの進化に期待したい。

 

イラスト/次原隆二 文/増谷茂樹

※『デジモノステーション』2015年7月号より抜粋

関連記事
多くの世界初を盛り込んだ『アルファード』【よろしくデジテック】
かっこいい!EVの魅力をレースで伝える【よろしくデジテック】

関連サイト
NISSAN EV blog