国内と捉え方が違う!? “SIMフリー先進国”に学ぶ海外のSIMフリー市場

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最新モバイル事情の疑問にケータイジャーナリスト石野純也が答える「ただしいMOBILE市場の歩き方」。今回のテーマは「日本と違う海外SIMフリー市場を知る」。日本でも徐々に定着しつつある、SIMフリースマホだが、“先進国”はやはり海外。今回はそんな海外でのSIMフリー事情を実例を交えながら紹介していく。

金額ベースではもう半数。伸び続けるオープン市場

日本でも脚光を集めるようになってきたSIMフリー端末。「格安SIM」と呼ばれるMVNOの台頭に伴い、それらを自由に使える端末が必要になってきたのが注目されるようになった理由だ。昨年、SIMフリー市場に大々的に参入した中国大手のファーウェイを皮切りに、台湾ASUS、中国ZTEなども力を入れる。さらには京セラ、富士通、ソニーといった日本メーカーまでSIMフリー端末を販売し始めた。

日本ではようやく定着しつつあるSIMフリー端末だが、海外ではすでに一般的な存在となっている。特に欧州やアジアが、SIMフリーについては“先進国”と言えるだろう。欧州やアジアは陸続きの国が多く、島国の日本より簡単に外国に行くことができる。その際に、端末とキャリアがひもづいていると現地のSIMカードが使えず、割高な国際ローミング代を支払わなければならなくなる。これを解決したのが、共通規格のSIMカードという仕組みだ。第2世代で導入されたSIMカードは、第3世代、第4世代にも受け継がれている。

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▲ソニーモバイルから登場したMVNO向けのSIMフリー端末『Xperia J1 Compact』。液晶サイズは4.3インチと小型ながら、おサイフケータイ機能も備えている。

では、海外ではどのようにスマホを買うのか。国ごとにスタイルは大きく異なるが、欧州やアジアでは端末は端末、回線は回線と独立しているのが一般的。家電量販店や携帯電話専門店に行けば、端末を単体で買うことができ、SIMカードも自由に選べる。“まずキャリアを選ぶ”のではなく、“端末ありき”なのが日本との大きな違いで、こうした市場のことを「オープンマーケット」と呼ぶ。日本とは異なり、海外ではまずメーカーが発表会を開くのもそのためだ。アップルであれ、サムスンであれ、ソニーであれ、まずメーカーが最新機種を披露し、国ごとにカスタマイズされた端末を導入する流れだ。その中の販路の1つに、キャリアがある。キャリアありきではないのが、海外市場と言えるだろう。

もちろん大手キャリアは日本と同様ショップを構えており、回線契約と端末購入を一緒に行なえる。また、国によってはキャリアで買う端末にはSIMロックがかかっている場合もあるが、大抵はロック解除が可能。最初からSIMロックをかけていない国もあり、この部分は千差万別だ。では、規模はどうだろうか。あるメーカー幹部は「キャリアマーケットとオープンマーケットは拮抗している」と語る。グローバルでならすと、金額ベースでのシェアは半々程度になる。依然としてキャリアの力は大きいものの、オープンマーケットが根付きつつあることはうかがえる。

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中低価格モデルがけん引。ネット販売もトレンドになった

こうしたオープンマーケットの伸びをけん引しているのが、中低価格帯のAndroidスマホ。日本でも、ASUSの『ZenFone 5』がスマッシュヒットを飛ばしたが、海外での主戦場も同じ。発展途上国などでは、もっと安い機種がヒットすることもある。キャリアマーケットとは違い、販売奨励金が出ず、ハイエンド端末を“割安”にできないことが理由で、海外では価格はユーザーが端末を決定する際のより重要なファクターとなるのだ。

一口にオープンマーケットと言っても、売り方はさまざまだ。家電量販店でPCの様にスマホを買えたり、MVNOのSIMカードとセットになっていたりと、販路は多岐に渡る。中国や東南アジアでは、端末の新古品を売るショップだけが集まったビルまである。こうした中、新たな販路として注目されているのがネットだ。急成長する中国メーカーの小米(シャオミ)が口火を切ったと言われており、共同創業者リン・ビン氏は「販売コストを徹底的に抑えた」と語る。ネット上ではファンのコミュニティーもあり、イベントを開くたびに数百万台のスマホが売れるという。

この動きに対抗したのが、ファーウェイ。同社はネット販売専用のラインナップ「honor」を立ち上げ、年間2000万台を出荷するようになった。まさに「honorの奇跡」(コンシューマー事業部 ジャオ・ミン氏)といった快進撃で、中国外への進出にも積極的だ。日本では楽天と提携し、オンラインショップを開設。スマホのネット販売が日本にも定着するのか注目が集まる。

文/石野純也


石野純也プロフィール
出版社勤務時代に数々のケータイ関連誌を立ち上げた後、ケータイジャーナリストへ転身。近書は電子書籍「ソーシャルゲームの最新トレンド!」(KADOKAWA)。雑誌版デジモノステーションにて「ただしいMOBILE市場の歩き方」を連載中。

※『デジモノステーション』2015年8月号より抜粋